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ドラマ『インフォーマ』NetflixにてTOP10入り…その先に見据えるものは?

『インフォーマ』(C)カンテレ

カンテレでの地上波放送に先立ち、Netflixで先行配信されるというスタイルのドラマ『インフォーマ』。その人気もNetflixが先行しているのか、さまざまな話題作を押しのけ、同サービスの人気作品ランキングのTOP10入りを果たした。ドラマをヒットさせ、原作小説の売上にもブーストをかけたいと考えている著者・沖田臥竜氏にとって、今回のトピックはどのように響いたのか。ドラマ放送と並行して、『インフォーマ』の世界を重層的に楽しむための恒例コラム、こちらも中盤戦に突入である――。

映像と小説が相乗効果を生む条件

 ようやく時代が追いついてきたようだな……と投稿しても、Twitterの反応の悪さよ。

 はっきり言って、爆発するほどの財を手に入れれば、秒でLINE以外のSNSをすべてやめてやろうと思っている……もとい。私は何の話をしていたのか……そうである。Netflixでついにドラマ『インフォーマ』がTOP10入りを果たしたのだ、どうだ! 見たか! すごいだろう! ヒャッハッハッハ !!! 

 と思うとでも思うか。

 もちろん純粋にうれしいよ。「よっしゃ!」と拳だって握った。だが手放しで舞い上がっているかといえば、そうではない。それは私に限ったことではないだろう。『インフォーマ』という作品に携わる多くの人たちは、あくまでもっと遠くを見ている。ただ、私もそうだが、今回のTOP10入りは、作り手側のモチベーションを維持する材料となったのは間違いない。

 私は知っていた。ずっとTOP10入りしそうなところで、『インフォーマ』が彷徨っていることを。何だったら、みんな見逃していたようだが、一瞬だけTOP10入りしたこともあった、という知らせだって受けていた。

 もちろんうれしいことだ。そこは応援してくれるすべての人々に感謝している。生みの親、名付け親としてこんな喜ばしいことはない。だが、はしゃぎたい気持ちをずっと我慢している。なぜならば、こんなものじゃないからだ。

 全然、関係ない話をしてよいだろうか。

 小説はもう諦めた。諦めたといえば誤解が生じるだろうが、違かったのだ。気づかぬ私がバカでございました…。違うのである。そうではなかったのだ。

 映像と小説がピタリとハマり、相乗効果を生むのは、クライムサスペンスではなく、恋愛系か究極な感動系なのだ。クライムサスペンスでは、刺さらないのである。

 だって、映画『スラムダンク』を観たあと、久しぶりにマンガで山王戦を読んだのだが、めちゃくちゃ泣いたもん。あれはスポコン史上最高だよ。だって、バスケットボールをまったくやったことがない読者が見ても、バスケをやりたくなるじゃん。素晴らしすぎるよ。オレだって三井くんみたいにスリーポイント打てるようになりたいもん。ナニナニ…? だったら、クライムサスペンス史上最高の物を書けばよいではないかだと⁈ よい意見である。実は書いてある。もうすでに、この天才・桜木が……。

 書いているのだ。小説『インフォーマ』(サイゾー文芸部)は絶賛発売中なのである。これをクライムサスペンス史上最高と言わずして、何を……と、これ以上、書くとだんだん虚しくなりそうなので、小説家の苦悩を赤裸々に綴るのはよそう。

 ただ、私のことである。ドラマと小説でしっかりとリンクする仕掛けをしているに決まっているではないか。私はただの原作とか監修とかの領域に収まっていないぞ。なんだってするよ。人が思いつかないことを考えるからこそ、既成概念はぶち破られるのだ。そしてときに奇跡が起きるのだ。まだ奇跡は起きていない。ただ順調に進んでいる。だが、すまぬが私は、社会を裏で動かすリアル『インフォーマ』だ。

 「こ…転がった…」とまでは、まだなっていない。物語に限らず、ニュースや流行でも何でもそうだが、話題になるときには、「転がった…」と感じる瞬間があるのだ。転がるとは、雪玉が山の上から転がり始め、どんどん大きくなるイメージなのだが、そうなるとコントロールなんて良くも悪くも効かなくなるのだ。それを私は何度か体感してきている。

 まだ『インフォーマ』は、そうはなっていない。ただ、間違いなくいえることは、今、雪山の上で雪の塊が出来上がりつつあるということだ。

見据える先は100万部なのだ

 私の言っていることは、もしかすると戒めなのかもしれない。自分自身に対して、こんなところで満足するなよ! あぐらなんて書いている暇はないぞ! それではダメだと、私自身が無意識のうちに感じているのかもしれない。

 あくまで世界に羽ばたくのである。日本TOP10入りは申し訳ないが、喜んでばかりいられない。「ヨシっ!」と手ごたえを感じながら、もっともっと先を見ていなくてはならない。それは、ランキングを上げることもそうかもしれないが、物語としての価値を上げることはもっと大事だ。

 ずっと思っていたことがある。私は尼崎出身なので、尼崎出身の有名人が「『ムショぼけ』おもしろかった!」とか言ってくれないかと。そんな考えは、文芸を志す者にとって穢らわしいことなのかも知れないが、内心では思っていた。

 だが、『インフォーマ』は違う。作品に携わってくれたすべての人たちのお陰で、文芸としても戦える状態だ。これで私の目指す領域まで辿りつけなければ、それは、私の筆力と運がなかったと認めざるを得ない。

 今の時代、本を売るには話題性と筆力と運が重ならなければ、とてもじゃないが100万部など売ることはできない。すまない、私が見ているのは100万部なのだ。昔は、賞くらい獲らないとと考えていたこともあったが、よくよく考えてみると、私はそうした物に背を向けてきた人間だ。作品やそれを書いた作家の評価など、賞では決して計れない。バカほどすぐに権利や肩書きにひれ伏すが、私はそもそもそういった物に反骨心を滾(たぎ)らせてきたのだ。

 芸術とは、数学ではない。答えなんてないのだ。それをジャッジするのも人間なのだ。すまんが、言わせてもらうぞ。なんだ、今年の日本アカデミー賞の受賞作は。

 私は、なんだかんだでヤクザ物を好きなんだろうな、と誤解されがちだが、すべてのジャンルを網羅している。そして気になった作品は必ず映画館に足を運んで見る。去年もいろいろな作品に出会い、気になった作品は一回ではなく、何度も観てみた。その上で、映画『余命10年』を超えた映画があったか。考えるまでもないではないか。小説『余命10年』は文芸社からで、80万部を売り上げたのだ。

 ないぞ、こんなこと。今の時代、映画からこんな小説が売れることは、まずない。それだけ映画『余命10年』が持つ観客を動かす力がすごかったということではないのか。なのに、『余命10年』はアカデミー賞から漏れた。遠慮せず言わせてもらうが、せめて優秀作品賞くらいは、さまざまな思惑や馴れ合いではなく、市場や観客の動きも踏まえて正当に評価されるべきではないだろうか。それをできないのならば、アカデミー賞をやる意味なんて、本当にあるのだろうか。

 小説『インフォーマ』を出す以前、宝島の某役員から「沖田さんに本を売れる醍醐味を味合わせる」と言われ、ほったらかしにされたこと、講談社の第一文芸部のバカから「あなたは黒川博之にはなれないんですよ!」と言われたことがあった。見ているだろうか。売れない、売れないとボヤいてるが、少なくともあなたたちが私に言った言葉は、今では気にもならなくなった。

 そして、もう時期、ドラマ『インフォーマ』の神回が放送される。楽しみにしていただけるとうれしいです。

(文=沖田臥竜/作家)

小説『インフォーマ』
沖田臥竜/サイゾー文芸/税込1320円
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週刊誌記者、三島寛治の日常はひとりの男によって一変させられる。その男の名は木原慶次郎。クセのあるヤクザではあったが、木原が口にした事柄が次々と現実になる。木原の奔放な言動に反発を覚えながらも、その情報力に魅了された三島は木原と行動をともにするようになる。そして、殺人も厭わない冷酷な集団と対峙することに‥‥。社会の表から裏まで各種情報を網羅し、それを自在に操ることで実体社会を意のままに動かす謎の集団「インフォーマ」とはいったい何者なのか⁉パンデミック、暴力団抗争、永田町の権力闘争、未解決殺人事件…実在の事件や出来事を織り交ぜ生まれた「リアル・フィクション」の決定版!


ドラマ『インフォーマ』
毎週木曜深夜0時25分~0時55分放送中(関西ローカル)
見逃し配信:カンテレドーガ・TVer
Netflixでは地上波に先駆けて先行配信中


ドラマ『インフォーマ』予告映像

桐谷健太演じる主人公で、裏社会・政治・芸能など、あらゆる情報に精通するカリスマ的情報屋“インフォーマ”木原慶次郎と、佐野玲於(GENERATIONS)演じる週刊誌「タイムズ」記者・三島寛治が、警察・ヤクザ・裏社会の住人たちを巻き込み謎の連続殺人事件を追うクライムサスペンス。事件の背後に存在する謎の集団のリーダーで、木原の因縁の相手となる男を、事務所移籍後初のドラマ出演となる森田剛が演じる。

作家。2014年、アウトローだった自らの経験をもとに物書きとして活動を始め、小説やノンフィクションなど多数の作品を発表。小説『ムショぼけ』(小学館)や小説『インフォーマ』(サイゾー文芸部)はドラマ化もされ話題に。最新刊は『インフォーマ2 ヒット・アンド・アウェイ』(同)、『ブラザーズ』(角川春樹事務所)。調査やコンサルティングを行う企業の経営者の顔を持つ。

Twitter:@pinlkiai

最終更新:2023/02/08 15:36
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