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映画『ランサム』公開記念インタビュー

元超新星のユン・ソンモの不安―日本での好演続きに「恵まれすぎている」

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写真|宇佐美 亮、以下同

 K-POPグループ・超新星の元メンバー、ユン・ソンモの日本映画初主演作『ランサム』が7月21日から劇場公開される。

『SCORE/スコア』の室賀厚が監督を務め、日本アクション映画界の雄・小沢仁志など豪華キャスト陣がラインナップした本作にて、ソンモは仁義なき身代金争奪戦の実行犯役をスリリングかつハードボイルドに演じている。

 最近では韓国のみならず日本でも主演作が続き、国境をまたぐ活躍をみせるソンモ。韓国デビューから今年で16年、日本では来年でデビュー14周年を迎える彼に、これまでの歩みと現在地について語ってもらった。

──いつ日本に到着されたんですか?

ユン・ソンモ(以下、ソンモ):今朝着いたばかりです。もともとは明日入国の予定だったのですが、有り難いことに『ランサム』の取材をしてくださるメディアの方が多かったので、スケジュールを変更して。

 最近は韓国でも撮影や取材が立て込んでいるので、忙しい日々を送っています。

──多忙な中、プライベートを楽しむ時間はありますか?

ソンモ:このあと韓国に帰ったら、久しぶりに家族と旅行に行くんです! 海外へ行けるほどの日程はさすがに休めないので国内旅行ですが、すごく楽しみですね。僕の家族はみんなアウトドアが好きなので、釣りやバーベキューをする予定です。

 それから最近では、料理にもハマってるんですよ。このあいだはキンパにアワビを載せてみたんですけど、それがめちゃくちゃ美味しかったんですよ! 

 豆腐料理や野菜料理みたいな健康にいいメニューも作ってみるんですけど、僕は食べることも大好きなので、「ラーメンとキムチを食べないとシマラないな!」とか言って、結局コンビニに走ることに。それなら最初からラーメンだけ食べればいいんですけど(笑)。でも、そんな時間が幸せなんですよね。

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──プライベートも充実されているとのことで、安心しました! 今回は主演作『ランサム』についてはもちろん、ソンモさんご自身のお話もお聞きできればと思います。

 まずは映画についてですが、バイオレンスなだけでなく、人情や正義などが誠実に描かれている作品ですよね。

ソンモ:そうですね。この映画で特に印象に残った場面のひとつが、寺さん(寺中寿之)との共演シーンだったんです。このシーンが自分にとって一番難しくて。2人の男同士の距離感や関係性をしっかりと表現して観客へ届けたいけど、一歩間違えればやりすぎになってしまう。その微妙な人間関係のラインを見極めるのに苦労しました。

 また、僕が演じるソジュンと由美(演・吉田玲)との関係性を表すのも難しかったですね。ふたりは恋愛関係ではないし、友人関係でもない。でも、お互いを思いやり合って、気にかけている。『ランサム』は、そういった複雑な人と人との繋がりを描いた作品だと思います。

──ソジュンも、すごく奥深いキャラクターですよね。ひと筋縄ではいかない、様々な感情が入り混じったソンモさんの表情演技が印象的で。

ソンモ:嬉しいです。ハードボイルドアクションの作品ですし、派手な戦闘シーンも見どころのひとつではあるのですが、そういった凶暴な側面と共に“人間らしさ”を感じさせるキャラクターとして表現することを心がけていました。

──そもそも本作のプロジェクトは、いつ頃から走り出していたんですか。

ソンモ:「日本で打ち合わせしましょう」と連絡がきたのは、コロナのパンデミックが始まる直前のことでした。その後、渡航制限などで2年くらい全体の進行がストップしてしまっていたんです。この作品は僕にとって日本映画の初主演作になるし、日本語での演技も初めてだったので、楽しみにしていただけにすごく落ち込んでしまいました。

 状況が落ち着いてきて、ようやく撮影ができるという話を聞いたときは本当に信じられない気持ちでいっぱいになって、頭が真っ白になりました。

──実際に撮影してみて、いかがでしたか。

ソンモ:本当に素敵な現場で、ずっと幸せでした。この作品もそうですし、4月に放送された『婚活食堂』(BSテレビ東京)でも、とにかく人に恵まれて。共演者の皆さんもスタッフの方々もすごく人柄が良くて、気遣ってくださったので、その気持ちに応えようと一生懸命演技に打ち込むことができました。

 でも……あまりに素敵な現場が続きすぎて、正直不安な気持ちがあるんですよね。韓国の先輩たちから「良い現場が続くとそれが当たり前だと思ってしまうけど、そうじゃないぞ~」と、冗談半分で脅しみたいなアドバイスをいただいたことがあったので(笑)。

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──恵まれすぎているんじゃないかと不安になるほど、現場の雰囲気が良かったんですね。『ランサム』では名優・小沢仁志さんと共演されましたが、印象的なエピソードはありましたか。

ソンモ:もちろん大先輩ですし、見た目も重厚で声も渋いので雰囲気に押されて緊張していたのですが、待機中に僕の話を熱心に聞いてくださったり、すごく優しい方でした。

 撮影中、小沢さんが僕の役名を呼ぶシーンがあったんですが、ものすごく低い声で「ソンモ!」って本名を言ってしまって(笑)。現場は笑いに包まれたのですが、僕はその時「名前を覚えてくださったんだ!」って一人ひそかに感動してしまいました。

 インスタでもお互いにツーショットを投稿したり、有り難い経験をさせていただきましたし、あの余裕あふれる演技を間近で見て、とても勉強になりました。

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──本作でソンモさんが演じるソジュンは、謎が多くミステリアスな雰囲気漂う人物ですよね。しかし少しずつその素性が現れていく、そのグラデーションに人間味を感じました。ご自身との共通点はありますか。

ソンモ:一見すると冷たいキャラクターに思えるけど、作品が進むにつれてだんだんと人間らしくなっていくというのは、すごく僕らしい役柄だなと思います。

 僕はもともと、周りに対して少し距離を置くタイプだったんですよ。自分の本当の姿を見せることがどうしても怖くて……学生時代も僕だけニックネームがなかったほどなんです。でも超新星として活動を始めてからは、そんな僕の冷たい一面をファンのみなさんが“クール”という風にポジティブに変換してくれて、「男前」というキャラクターを作ってくださったんです。それから僕も、ミステリアスなイメージをどんどん前に出せるようになった。自分の欠点だと思っていた部分について前向きに考えられるようになったのは、ファンの皆さんのおかげなんです。

 今は大人になって、僕も周りとしっかりコミュニケーションをとって人間関係を築きたいと思えるようになりました。そういう意味では、『ランサム』で演じた役柄とすごく似た部分を感じましたね。

──いま、アイドル時代のお話が出ましたが、最近では多くのK-POPアイドルがグローバルな活躍を見せていますよね。2007年に超新星としてキャリアをスタートさせたソンモさんは、いわばそのパイオニアの一人となっています。

ソンモ:僕たちが活動を始めた時代は、韓国の芸能界は本当に問題だらけでした。例えば、日本でツアーを1カ月やって、終わった直後に1日だけ休みがあって、すぐ韓国での仕事。なので僕みたいな地方出身者は、家族と過ごす時間がまったくなかったんですよ。アルバムが失敗して「お前らはこの練習室を使え」って、3坪くらいの狭い部屋をあてがわれたこともありました。

 最近では法律も整備されたり、僕がグループ活動していたときと比べるとアイドルを尊重する芸能事務所も増えてきているようには思います。

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──なるほど……。本当に大変な苦労をされたんですね。

ソンモ:そうですね。昔のことですが、悪天候のなか無理やり飛行機に乗せられたこともありました。もともと、子供の頃に乗っていた飛行機がすごく揺れたことがあったのですが、それをすっかり忘れていたんですよ。でもアイドル時代に台風の真夜中、スケジュールを強行するために「飛行機に乗りなさい」と言われて……「嫌なのにな」と思いつつ乗ったら、案の定ものすごく機体が揺れて。

 その瞬間、幼い頃のトラウマがフラッシュバックしてしまったんですよ。それからというもの、飛行機への恐怖心が大きくなってしまい……仕事柄、飛行機移動は避けられないので精神的にかなり大変でした。

 今は僕の意志が尊重される環境で働くことができるので、天候が落ち着いているタイミングで、明るい時間帯の便を選べるからすごく快適です(笑)。

──主体性を持てる環境に身を置いてこそ、安定した精神状態でいられるわけですね。

ソンモ:そうなんです。最初の方でお話したとおり、家族との時間を確保できるようになったり、趣味に没頭することもできて、昔に比べると今は心の底から楽しいと感じられる瞬間がすごく増えました。仕事にもより前向きに取り組めるようになったので「飛行機は怖いけど、やりたいことのために乗ろう!」と思えるんですよ。

 ファンの皆さんは僕のことをとても良く見ていてくださるので、そういう変化にも気づいてくれています。「最近のソンモさんは表情が明るくなったね」と声をかけてくださる方もいて……そういったことでよりいっそう、「これからも頑張ろう」と力がみなぎりますね。

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【プロフィール】

ユン・ソンモ
1987年6月15日、韓国・釜山出身。身長180cm。超新星として2007年9月21日韓国デビュー。モデル並みのスタイルと甘いマスクに加え、実力派のダンスと歌で評価を得ている。日本語のヒアリング力は周囲が驚くほどのレベルで、アーティスト活動のほか日韓で俳優としても数々のドラマや映画作品に出演している。現在「婚活食堂」(BSテレビ東京 ) 「Dr.チョコレート」(日本テレビ) に出演。次作も準備中。

編集者、ライター。1990年生まれ。webメディア等で執筆。映画、ポップカルチャーを文化人類学的観点から考察する。

すがわらしき

最終更新:2023/07/06 19:00
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