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VIKN、日本のストリートカルチャーの母「MILK」創業者へ捧げる新作

VIKN、日本のストリートカルチャーの母「MILK」創業者へ捧げる新作の画像1
写真=24young、以下同

 BUDDHA BRANDの面々とも親交が深く、TETRAD THE GANG OF FOURの一員としても活躍してきたラッパーのVIKN(ヴァイケン)が、ソロアルバム『HITOMI』をリリースした。

 1970年に設立されたファッションブランド「MILK」の創業者である大川ひとみへのリスペクトを込め、ファッションと音楽が形作ってきたストリートカルチャーを彼なりの視点で描写する力作だ。

 アルバムにはJinmenusagi、KWSK AGGY、B.D.、Takayoshi Shirakawaから、VERBALやNIPPSに至るまで豪華な面々が参加している。今回、彼が北千住で経営しているジュースバー『JUICE BAR ROCKET』にて話を聞いた。

――アルバム制作に着手したのはいつ頃ですか?

VIKN 2020年の年末にここ(『JUICE BAR ROCKET』2Fイベントスペース)でSCARSのライブをやったんですけど、それがSTICKYと会った最後になったんですよ。めっちゃ楽しそうにしてて、でもその1週間後に亡くなった。すごくショックだったんですけど、同じくらいのタイミングで(本作のエグゼクティブ・プロデューサーの)ルーカス(バレンタイン)さんからビートが届いたのかな。これはもうやるしかないと思って、その時の気持ちを込めてラップしたのが「The experience」です。

(KWSK)AGGYくんもSTICKYと10代の頃からの仲間なんで、俺の送ったプリプロに10分くらいですぐ返してくれました。その時はまだアルバム作るまでは考えてなかったんですけど、作っていくうちに曲が溜まっていって、じゃあそれならアルバムにしようかと。

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――どの曲もストリートカルチャーへの想いがリリックに込められていてVIKNさんらしいと思うんですが、とりわけNIPPSさん、VERBALさんとのコラボ曲「FLUXUS」はラップもビートもスリリングですね。

VIKN VERBALさんは AMBUSH®をやってるじゃないですか。その関連で、honeyee.comの企画でVERBALさんとデミさん(※NIPPSの愛称)の対談があって、自分がデミさんと仲いいんでそれをきっかけにVERBALさんからルーカスを紹介してもらい、みんなで今回の「FLUXUS」を作った感じです。

――ビートスイッチが激しくて面白い曲ですよね。ラップもかなり個性的。

VIKN 予想がつかない感じになってていいですよね。

――ここから、どういった流れで大川ひとみさんにたどり着いたのでしょうか?

VIKN カニエ・ウェストが『DONDA』(2021年)で自分の母親をタイトルにしたじゃないですか。カッコいいなと思ったんです。自分だったらどうするかなと考えたときに、日本のストリートカルチャーの母である大川ひとみさんしかいないだろうと。人によってはいろんな始まりを考えると思うけど、自分の中では完全に大川ひとみさんしかいなかった。

 YOPPI(江川芳文)さんは初めてブランドやらせてもらったのがMILKだったって言ってたし、ほかにも藤原ヒロシさんとかいろんな方が影響を受けてますよね。

――原宿セントラルアパートに「MILK」があった時代からお店に行かれてたんですか?

VIKN いや、自分は明治通りに移転してからです。本当にひとみさんっていろんな逸話があって。1970年代、サングラスをセレクトしているショップって、まだ少なかったらしいんですね。当時のMILKはサングラスのセレクトが豊富で、そこにサングラスを買いに来ていたのがジョンレノン&オノヨーコ夫妻やデヴィッド・ボウイとかだったり。

 ほかにも、今回アルバムが完成してから作品のギフトセットをいろんな方に贈ってるんですけど、ロンドンにいるギミーファイブっていうデザイナー・クルーにも贈ったんですね。ディオールのキム・ジョーンズが以前在籍していたチームです。ギミーファイブって原宿とすごく密接なつながりがあって、90年代にグッドイナフやア・ベイシング・エイプをUKで売ってたのが彼らなんですよ。

 今回メッセージが返ってきていろいろ知ったんですけど、ギミーファイブには日本人の女性がいて、その方もひとみさんって名前なんです。

 で、そのひとみさんとギミーファイブを繋げたのがMILKのひとみさんらしくって。そういう濃いエピソードがいっぱいあって、大川ひとみさんはいろんな人やカルチャーを繋いできたんだなって。

――大川ひとみさんは、現在80代になられたんですよね。

VIKN それもすごいんですよね。自分のストリートカルチャーの定義って、音楽と服がミックスされて生まれているものという認識なんですけど、そのカルチャーはやっぱりイギリスがオリジナルだと思うんです。

 マルコム・マクラーレンもヴィヴィアン・ウエストウッドももう亡くなってしまったけど、もし生きてたら77歳と82歳。アメリカのそういったアイコンになってる人たちって、せいぜい60代とかなんです。でも、日本には80代の偉大なデザイナーがいて、それがひとみさん。

 だから、世界のストリートカルチャーの偉大な人の中で最高齢なんじゃないかな。

――大川ひとみさんは、裏原ファッションのデザイナーへ与えた影響も大きいですね。VIKNさんは裏原シーンはまさにリアルタイムで見てきているのでは。

VIKN 中学1年生の時、兄貴が原宿のノーウェア関連の服を買い漁っていて、「これいくらだと思う?」とか聞いてくるわけですよ。それが全部3万円とかで、当時1カ月の小遣いが1500円だった自分には衝撃すぎて。「そんなに儲かるのか、夢があるな」と思いましたね。今でいうヤフオクみたいな『QUANT』って個人売買雑誌があったんですけど、それを兄貴に渡されて「お前、これで稼げるから」って。

 そこからファッションに一気にハマっていきました。都市伝説かもしれないですけど、『QUANT』でグッドイナフのスタジャンとベンツが取り引きされたっていう話とかもあったんですよ。当時はマジで驚きました。

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