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「絶対怒らない」広島・新井監督 VS「厳格派」中日・立浪監督、功者はどっち?

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中日・立浪和義監督(Getty Images)

 プロ野球はまもなくオールスター戦を迎え、前半戦は終了。セ・リーグでは阪神が18年ぶりのリーグ優勝を目指して首位を走っているが、好位置につけているのが、新井貴浩新監督が率いる広島だ。

 2016年からリーグ3連覇を達成し、1度は常勝軍団となったが、19年以降は3位が最高で、5シーズン中4シーズンはBクラス。しかし今季は苦戦しながら勝率5割をキープし、夏場に向けて少しずつ調子が上がってきた。

「開幕前の順位予想では、広島はほとんど5位か6位。投手力も打撃力も“中の下”といったところで、厳しいシーズンになることが予想されましたが、投手陣では床田寛樹と九里亜蓮、野手陣では西川龍馬と坂倉将吾がキャリアハイの成績を残す勢いでチームを牽引し、Aクラスでの折り返しが見えてきました」(週刊誌スポーツ担当記者)

 その一方で、一向に調子が上がらないのが立浪和義監督率いる中日だ。昨年は最下位に終わった中日は、今季もスタートから躓き、ヤクルトと最下位争いを展開。浮上の目が見られない。

「立浪監督の就任1年目だった22年は、投手陣の頑張りにより1ケタの借金でシーズンを終えたものの、得点力不足は深刻で順位は最下位。オフには中軸の阿部寿樹も放出してしまい、攻撃面での見劣りが懸念されましたが、はたして今季も貧打線ぶりは酷く、1試合平均得点が3点未満では、とても上位進出は望めません」(同上)

 ここで注目すべきなのが、両監督の采配だ。新井監督は1年目、立浪監督は2年目といずれも経験が浅いフレッシュな監督だが、チームを率いるスタイルは対象的だ。

「広島の躍進の一番の理由は各選手の頑張りですが、見逃せないのは新井新監督の手腕です。コーチ経験はなく、いきなり監督としての現場復帰した新井監督はチームを“家族”と表現し、厳しさの中に愛情があるチーム作りを方向性として提示。叱ることはあっても怒ることはなく、選手を一切批判しないスタイルは選手にもファンにも支持されています。

 一方の立浪監督は昔ながらの厳格なスタイル。昨年はふがいないプレーをした京田陽太に2軍行きを即通告し、オフにはトレードで放出。選手を名指しで批判することはありませんが、チャンスで三振した場面について『ゴロを打てば点が入るのに』とボヤいたり、相手エースに完全に抑え込まれ、『狙っていない球が来たら空振りしろ』とコメントしたり、求めるレベルが高すぎて若手は萎縮しています。6月には敗戦直後にゴミ箱を蹴り上げ、選手はドン引きしていました」(フリーのスポーツ記者)

 チームを率いるスタイルは人それぞれ。正解はひとつではないが、現状を見れば軍配が上がるのは新井監督だろう。昨今、ビジネスの世界ではあらゆるハラスメントはご法度だが、スポーツの世界でもそれは変わらない。

「かつての野村克也監督や星野仙一監督のやり方は、一般社会に当てはめれば完全に“アウト”。人前で罵倒したり、無視したり、鉄拳制裁を加えたりが当たり前でしたが、結果がすべての世界では“それもアリ”で、名監督という呼び名をほしいままにしました。ただ、現在ではもうそんなやり方は許されない。今季から阪神に復帰した岡田彰布監督も、かつてはメチャクチャに厳しい人でしたが、すっかり穏やかになりました。まぁ、チームが好調なこともあるでしょうが。

 立浪監督の場合、厳格なPL学園で育ったこともあり、常にクレバーで礼節も欠かしませんが、一瞬たりとも気を抜ける瞬間がなく、笑顔を見せることも一切許されないスタイルは、今の若手選手には受け入れられづらい。成績が良ければ手綱が緩むこともあるでしょうが、最下位の今ではそういったこともなく、ベンチの雰囲気は明らかに重苦しいです。

 並の監督であれば2年連続最下位ならクビの話しも出てきますが、立浪監督の場合、生え抜きスターが満を持して監督に就任したわけで、最低でも3年、実際にはもっと長く、立浪政権は続くはず。中日は年俸の査定も辛いですし、選手には厳しいチームですね」(同上)

 まだシーズンは半分を過ぎたあたりだが、広島がさらに躍進できるか、中日が巻き返せるか、監督というキーワードから見ても面白いかもしれない。

石井洋男(スポーツライター)

1974年生まれ、東京都出身。10年近いサラリーマン生活を経て、ライターに転身。野球、サッカー、ラグビー、相撲、陸上、水泳、ボクシング、自転車ロードレース、競馬・競輪・ボートレースなど、幅広くスポーツを愛する。趣味は登山、将棋、麻雀。

いしいひろお

最終更新:2023/07/07 09:00
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