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aimiインタビュー

「日本のR&Bは連帯が必要」 aimiが語る、R&Bと〈STAY READY〉への強い想い

個々にバラバラに活動していても「海賊王」にはなれない

「日本のR&Bは連帯が必要」 aimiが語る、R&Bと〈STAY READY〉への強い想いの画像3
写真/二瓶彩

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――近年は「ブラックミュージックの影響を受けた」みたいなプロフィールのアーティストは多いですけど、ストレートに「R&Bシンガーです」って名乗る人って日本にはなかなかいないじゃないですか。そこはやはり、プライドを持って名乗っている?

aimi まずは、R&Bばっかりを聴いてR&Bばっかりを作ってるっていうアーティストがあんまりいないように思えるので、「私が言わないとな」って思ったっていうのがあります。あとは、私が作ってるR&Bは、往年のどストレートな、重厚感のあるコーラスが積み重なったR&Bみたいなものではないんですよね。「新しいR&Bをやっている人が出てきたな」って思ってもらうには、やっぱりR&Bって言ったほうが早かった。「これR&Bなの? 今っぽいね」みたいな、そういう認識をしてもらうためにも、R&Bって言おうっていう感じはありました。

――昨年はblock.fmでのR&B番組『Vibe-In Radio』だったりディスクユニオンの連載『The Conscious of R&B』だったりと「R&Bアンバサダー」的な活動も目立ちましたが、aimiとしてこの3年ほどやってこられて、日本のR&Bシーンについてもどかしいとか、もっとこうなってほしい、みたいなところはありますか。

aimi めちゃくちゃ難しい問題なんですよね。R&Bが日本のメインストリームで存在感がない理由があまりに根深すぎて、どこから取り掛かろうっていう感じで、私もよく絶望的な気持ちになったりするんです。でも、いちアーティストとしてできることは何かなって考えたときに、まずは良質なR&Bの作品を出していくことなんですけど、それをやってる人は私以外にもいるなと思っていて。すごくいいR&Bの曲が出ているけど、“それ以上”にならないところがちょっと私はもどかしいというか。メジャーで活躍されてるアーティストの人が下のアーティストを引っ張ったりとか、アーティスト同士が手と手を取ったりとか、そういうふうにしてイベントとか番組とか企画モノがどんどん立ち上がれば、きっと「R&Bを作って出して終わり」じゃなくて、もう一つネクストレベルに持っていけるはずなんです。

 でも、それを今、1人ひとりが一つの小さな船に乗ってやってるんですよね。それじゃ海賊王にはなれない(笑)。みんなで大きな船に乗って進んだほうが、もっと遠くへ行けるんじゃないかって私は思っちゃうんですよ。船でいえば、例えばABEMAの『ラップスタア誕生』とか、ああいうシステムがあればみんな乗りやすいじゃないですか。でもR&Bって一時のブームに過ぎなかったから、いま誰も仕掛けてる人がいない。だから個人でやるしかないっていうふうに思っていると思うんです。でもみんなすごい歌もかっこいいし、ビートもどんどんみんな良くなってるから、私は「一緒にやろうぜ」って思いが強いんです。

――日本のR&Bシーンはもうちょっと連帯する必要があると。

aimi 連帯する必要はあると思いますね。でも、それを呼びかけるのは私の役目かな?って思うんですよね。もっと他にできる方がたくさんいるだろうし、たくさんヒットを産んでる人たちが先陣切ってやればいいんだけど。そこまでの想いがないのか、人任せなのか、怖いのか……。そこが歯がゆいです。

――だからこそ主催R&Bイベント〈STAY READY〉を始めたわけですね。

aimi そのとおりです。

――〈STAY READY〉っていうタイトルは「stay」となっているところが印象的ですが、どういう想いを込めているんでしょうか?

aimi STAY READYは「準備をしておく」みたいな意味なんですけど。世界規模で見渡したときに、いまR&Bって復活していると言われているじゃないですか。世界レベルではR&Bがメインストリームというかポップミュージックになってきている中で、日本は「R&Bはニッチな音楽」だと認識されているような気がしていて。もしくはJ-POPになってないと聴かない、みたいな。でも私は「必ず流れは来る」と信じているんです。

 そして流れが来たときに、“準備ができている”コミュニティが小さくてもあればと思うんですよ。例えばこの前来日していたUMIちゃんがSpace Oddでライブしましたけど、〈STAY READY〉の1人のアクト、もしくはスペシャルゲストみたいな感じで迎えられるかもしれないし、日本ではそこまで知名度がない海外のアーティストが日本でショウケースするときに「STAY READYに出ればいいんだ」って思ってもらえるような、そういう受け皿になってほしい。今、現状はそんなに数多くないかもしれないですけど、「R&Bがおもしろい」って作り始める若手たちが、ヒップホップの文脈じゃなくて、どストレートなR&Bでやっていきたいんだと思ったとして……たとえばFLOみたいな3人組がもし出てきたとして、今の日本に受け皿がないじゃないですか。そういう子たちの居場所にもなったらいい。そういう意味で「準備をしておく」っていう。これから大きな波が来てほしいという願いも込めて。

――その時のための準備。

aimi 準備をするのは、アーティスト自身の意識もそうだし、一番はリスナーと一緒に作っていくものだと思ってます。で、もっと言うと関係者ですよね。それが一堂に集まって、R&Bをセレブレーションする場所っていうのは今の日本にないから。アメリカなら〈Lights On Festival〉とか〈Lovers & Friends〉みたいなR&Bの音楽フェスがありますけど、あれの超ベータ版みたいな感じ……になれてるかわからないですけど(笑)。それを目指している感じです。

――でも今回の第二弾はBACARDIさんがサポートに入って、一つステージが上がったのでは?

aimi そうですね、アクトを増やせたりとか。みんなが来やすいようなアプローチができてるのは本当にBACARDIさんの協力あってのことです。

 あと、いかに想いの通った、血の通ったイベントにするかっていうのが私の中で裏テーマとしてあって、今回出てくれるEMIさん、MIREIちゃん、Sincereに、特別な想いをどうやったら持ってもらえるか。私のイベントに対して想いを持ってほしいというより、R&Bシーンというものに特別な想いを持っている人が1人でも増えてほしいという願いなんですよね。地元でイベントをやってたときもそうなんですけど、地元愛ってみんなの中にあるんですよ。それと同じように、R&Bに対する愛情ってみんな一定数あって、でもそれが行動に出るほど大きなものにはならない。でも共通言語がR&Bの人たちが集まって、R&Bに対する思い入れをもっとみんなが持てれば、それがコミュニティの始まり。地元に集まる人たちが地元愛を語って「成田いいね」って言ってた、あの様子をR&Bでも見たいのかもしれないです。(2/3 P3はこちら

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