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aimiインタビュー

「日本のR&Bは連帯が必要」 aimiが語る、R&Bと〈STAY READY〉への強い想い

「チャプター0」でまずは目の前にいるみんなを喜ばせたい

「日本のR&Bは連帯が必要」 aimiが語る、R&Bと〈STAY READY〉への強い想いの画像4
写真/二瓶彩

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――ちなみに〈STAY READY vol.2〉の出演者についてですが、當山みれいではなく「MIREI」っていうチョイスも、その想いと関係している部分がありそうですね。

aimi ありますね。當山みれいっていうプロジェクトは日本の市場にけっこう寄り添ってたって本人も語ってるんですけど。彼女がMIREIとしてアメリカでやってることってすごいんですよ。日本の社会問題を取り上げた曲とか、今までの當山みれいでは見せてきてないような、メッセージ性がすごく強い曲をMIREIでやってて、それが世界でめちゃくちゃ再生されてるんです。世界進出は私の中でもずっとある目標なので、いい刺激をもらっています。

――先ほど〈Lights On Festival〉の話が出ましたが、主催のH.E.R.のことはよく名前を出してますよね。ギターの弾き語りをしていたり、本名から別名義に変わって活動というところとか、R&Bフェスの主催とか、ちょっとaimiさんと共通点を感じたり。

aimi 言われてみれば一緒ですね(笑)。私がもともとギターで弾き語りをしてたので、H.E.R.の音楽を聞いたときにめちゃくちゃ入っていきやすかったんですよね。ミュージシャンシップのある、こういう内省的なR&Bみたいなのが今トレンドなんだっていうのがけっこう衝撃的だったんですよ。私はディーバ系のメアリー・J.(・ブライジ)とか、アリシア・キーズとか、キーシャ・コールとか、パワフルなボーカルがR&Bのイメージだったんですけど、H.E.R.とかジェネイ・アイコとか、ああいうソフトな歌声のR&Bが今こんなに世界で聴かれてるんだっていうことにパワーをもらいました。気づかずに参考にしてるところがあったかもしれないですね。

――外野の勝手な思いとしては、ダニエル・シーザーとH.E.R.の「Best Part」みたいな男性とのデュエット曲もいつかやってほしいなっていう。

aimi ああ、確かに。やってみたいですね。ディヴィジョン(dvsn)とスノー・アレグラとか、ラッキー・デイとヴィクトリア・モネイとか。

――ラッキー・デイは丸々デュエットのEPも出してましたね。

aimi 『Table for Two』ですよね。良かったですね、あれも。アリ・レノックスとかジョイス・ライスとか入ってるやつ。ちょっとそういう話したら止まんなくなっちゃう(笑)。

――ちなみに最近ハマってる曲はなんですか?

aimi 最近来日したので、UMIちゃんを聴き直したりしてますね。ヒーリングとR&Bを共存させるアーティストで、あんなにジャパニーズフレンドリーなアーティストっていないなと思って。彼女の昔の曲とか聞いてると、前のほうがちょっとロウで大人っぽいというか、歌声が全然違うんですよね。新曲「happy im」は今本当に幸せになったんだなっていうのがすごい感じられる曲で。こないだのライブも会場を抱きしめるような、愛に溢れた空間を作っていてめちゃめちゃ良かったし、涙が出ました。あとヴィクトリア・モネイがやばすぎる。この記事が出る頃にはニューアルバムが出てますね、『‎JAGUAR II』。もうどんなふうになるんだろうって期待が高まるばかりです。

――止まんなくなるので話を戻しまして(笑)。去年出した『Chosen One』でaimiとしてのEPは3枚リリースされましたが、そろそろアルバムとか期待していいんでしょうか。

aimi 個人的には作りたいのは山々なんですけど。この半年~1年くらい、ちょっと日本に標準を合わせているところがあって。『Chosen One』のときまでは「国内で活動をもっとしたい!」みたいな気持ちはそんなに強くなかったんですけど。当たり前かもしれないですけど、本国で聞かれているアーティストこそ海外で活動しやすかったり海外の人とコラボレーションしやすかったりっていうのがあるみたいだし、あと日本でやればやるほど、日本でR&Bが流行ってないのがちょっとモヤモヤしてきたので、「どうやったらもっとR&Bで躍らせられるかな」と思い始めていて、それで〈STAY READY〉が始まってるんですけど。なので、自分の中でまた「チャプター0」に戻ってるところがあって。『Chosen One』のまま先に進んでいるっていうよりかは、またちょっと道を変えて、新たな道をたどっているような感覚があって。なので、しばらくシングルが続くかもしれないです。

――なるほど。そのチャプター0で具体的にこういうことをやりたいみたいなイメージはすでに見えてますか?

aimi 他の人とのコラボがけっこう続いたので、ソロはやりたいなっていうのがまず大前提にあるのと、あとは、ちょっとすぐにできることかわからないですけど、別のプロデューサーの人とコ・プロデュースみたいな。コライトをみんなでするみたいな、そういう共同制作にすごく興味があって、実はちょっとやり出したりしてます。

――それはいいですね。また新たな扉が開きそうです。

aimi 最初は合う人があまりいなかったっていうところもあって、アーティストとコラボするのが一番入りやすかったんですね。でも、いいご縁があって、一緒にできるかもみたいな。aimiの英語の作品って、意外と暗い曲もあったり、すごく内省的な曲とか、波乱万丈などろっとした曲とか書いてるんですけど、それをそのまま日本語にできないなって思っていて。今この不安な世の中というか、いろんな問題がある日本に住んでる私たちが、少し希望を持てたり、毎日を頑張れたり、そういうメッセージって、なんか別だと思うんですよね。そういう意味での新たなaimiとしてのストーリーを今、また紡ぎ始めているというか。全英詞みたいな路線は、よっぽどのことがないとやらないかもしれないです。

――これまでも日本語はちょこちょこ入ってはいたじゃないですか、でももうちょっと日本語の割合が増える?

aimi そうだと思います。tofubeatsさんとやった「No One Is」がけっこうそれに近かったです。「自分らしさとは」「自由とは」「開放とは」っていうBACARDIのコンセプトを自分が音楽で表現するってなったときに、全然自由じゃない自分に出会って、書いた曲が何かすごく日本語にフィットしたんですよね。それはやっぱり自分が日本で感じてることだったから、より日本語がリアルだったのかもしれないです。そういうストーリーをまた書いていきたい。

aimi 今まで3年間やってきてるんですけど、また振り出しに戻ってる感覚っていうか、それにワクワクしています。変わらず「世界を目指したい」っていう気持ちはあって、そこにどうたどり着くかのルート変更して、また新たな道を見つけていく感じです。まずは目の前にいるみんなを喜ばせられれば、そこから世界につながっていくんじゃないかなって思ってます。突然海を越えなくても。

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aimi(アイミ)
繊細さとパワーを兼ね備えた歌声を持ち、グルーヴィーかつエモーショナルな楽曲で魅了するR&Bシンガー。日本語と英語を自由にフローするソングライティング力を活かし、ルーツである90年代・00年代R&Bのフレイバーを纏った現行R&Bサウンドを乗りこなす。これまでの作品は全て自主制作で、作詞作曲・ビジュアル・レーベルワークに至るまで自身でこなしながら、同じ志を持つ仲間と共に精力的に活動を続けている。2022年2月に3rd EP『Chosen One』をリリースし、iTunes R&B/ソウルチャート1位を獲得。昨年末に国内のR&Bシーンを盛り上げるため自ら立ち上げたイベント〈STAY READY〉を代官山SPACE ODDにて初開催、大成功させた。またラムブランドBACARDIによる新企画「BACARDI Sound Distillery(音楽蒸溜所)」の第一弾フィーチャリングアーティストに大抜擢され、プロデューサー/DJのtofubeatsと楽曲「No One Is」をリリース。またEMI MARIA、JASMINEとのコラボシングルを連続リリースするなど国内のR&Bシーンを盛り上げる強い思いを発信している。
https://www.aimimusicofficial.com

●〈aimi presents ‘STAY READY vol.2’ supported by BACARDI
「日本のR&Bは連帯が必要」 aimiが語る、R&Bと〈STAY READY〉への強い想いの画像6
日時;2023年9月15日(金)18:30開場/19:00開演
会場:東京・代官山 SPACE ODD
料金:ADV. ¥3,500 / DOOR ¥4,000 (各1D代別途)
出演:[LIVE] aimi, MIREI(當山みれい), EMI MARIA, Sincere [DJ] DaBook, DJ AKITO
https://www.aimimusicofficial.com/events

末﨑裕之(ライター/編集者)

ライター・編集者。音楽を中心に、俳優・ドラマ~映画の取材まで。共著に『新R&B教本 2010sベスト・アルバム・ランキング』(スペースシャワーブックス)。まれにラジオ出演(NHKラジオ第1、FM802他)、作詞(アイドリング!!!他)も。
Twitter:@hsuezaki

すえざきひろゆき

最終更新:2023/09/08 12:14
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