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日プ女子は公平性とサバイバルオーディション番組「投票ゲーム化」の是非

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JO1(写真/Getty Imagesより)

 吉本興業と韓国のCJ ENMによる合弁会社LAPONEエンタテインメントが主催するサバイバルオーディション番組『PRODUCE 101 JAPAN THE GIRLS』(通称、日プ女子)の最終回が、12月16日にTBS系で生放送され、グローバルグループ「ME:I(ミーアイ)」として活動する11人のメンバーが、国民プロデューサー(視聴者)の投票によって決定した。

 CJ ENMが運営する韓国の音楽専門チャンネルMnetで放送されたオーディション番組『PRODUCE 101』の日本版として始まった『PRODUCE 101 JAPAN』。その第1弾ではJO1が、第2弾ではINIが誕生。そして、第3弾となる今回は、日本版として初の女性アイドルオーディションとなった。

 番組内では、練習生たちが合宿に参加。そのなかでグループバトルや楽曲パフォーマンスを繰り返し、視聴者がそれを観てデビューさせたい練習生に投票するというシステムだ。『PRODUCE 101 JAPAN THE GIRLS』では合計4回の順位発表式が行われ、その都度下位の練習生が脱落していく。

 特徴的なのは、第1回と第2回の国民投票では11人の練習生を選んで投票し、第3回では2人を選んで投票、そして最終的に合格者を決める第4回では1人の練習生に投票するというルール。また、投票結果は毎回リセットされる。投票は期間中であれば1日1回可能だ。

「1人1票であれば単純な人気投票ですが、1人の視聴者が11人に投票するシステムになると、視聴者は“推しではない練習生”にも票を入れることとなる。その結果、番組内で目立っている練習生や、スキルが高い練習生に自然と票が集まっていきます」(音楽業界関係者)

 第3回では2人の練習生を選んで投票するが、ここでは「死票」が問題となってくるという。

「第3回となるとサバイバルもかなりシビアになってきて、視聴者も推しの練習生を脱落させないため、戦略的な投票をする。自分の推しの練習生の票を伸ばしたいけど、2人に票を入れなければならないので、他の練習生の票も伸ばしてしまうことになる。ならば、できるだけ順位に影響が出ないようにと“ほぼ合格確実な練習生”に投票する視聴者が増えてくるんです。

そのような、“順位に影響を与えないように入れられた票”を『死票』と呼び、今回の日プ女子での第3回投票では、1位だった笠原桃奈に“死票”が多く入れられたと言われています」(同)

 中間投票で死票を多く獲得していた練習生は、最終投票では票を大きく減らす傾向にあると言われる。しかし、笠原は最終投票でも2位に40万票以上の差をつけて1位となった。

「今回の笠原さんはあまりにも強すぎた。ハロー!プロジェクトのアンジュルムのメンバーとして第一線で活躍していたということで経験値もパフォーマンスレベルも高かった。また、その経歴もあり注目度が高かったため、新規の視聴者を多く連れてきたのも事実。裏を返せば、これだけ強い練習生であれば、視聴者も気兼ねなく死票を投じることができたとも言えるでしょう」(同)

 また、最終投票では、合格ラインギリギリの練習生を救うための「救済票」なるものが動くケースもある。

「この手のオーディションでは“ケミ推し”などといって、仲がいい2人の練習生をコンビで推す視聴者も多い。2人を同時に合格させたいけど、どちらかにしか票を入れられないので、2人のうち“より落ちそうな方”に救済票を入れるという投票パターンがあります。

これで両方合格すれば大成功ですが、時に救済票を得た“落ちそうな方”だけが合格し、受かりそうだったもう1人が落ちてしまうこともある。単純な人気投票ではないがゆえに、割を食ってしまう練習生がいるということです」(同)

 複雑な投票ルールを深く読み取り、より効率的に推しの練習生をデビューさせるべく投票するのはもちろん、周囲に投票を呼びかけることもある視聴者たち。パフォーマンスやキャラクターとは切り離された部分で、多くの票が動いているのだ。

「オーディションといいつつ、“投票ゲーム”の色合いも強い。そうすることで、視聴者は“自分たちの力でデビューさせる”という思いを強くさせ、より一層番組にのめり込む。これはMnetのサバイバルオーディションに共通するもので、戦略としてはかなり上手い。

ただ番組の編集次第で練習生の印象を良くすることも悪くすることも可能ですし、視聴者の投票ルールの理解度が結果に関係してくるので、オーディションとしてはフェアではないのとの指摘も多い。

K-POPのグループというとダンスや歌のスキルが高いことが大きな特徴ですが、投票ルール的にはスキル以外の要素が重要になっているわけです。このあたりの矛盾については、是正していくべき要素でしょう」(同)

 今回の日プ女子では、第3回の投票でデビュー圏内に入っていた練習生のうち、最終投票で脱落したのは1人のみ。そこまで大きな番狂わせはなかった。

「これもやはり、笠原さんという話題性の高い練習生がいたからこその結果だという分析もあります。これまでの日プを熱心に観ていた視聴者だけだと、より強く“投票ゲーム”の様相を呈していたはずで、最終結果ももっと波乱含みになっていた。

しかし笠原さんをきっかけに、今回初めてサバイバルオーディションを観たという視聴者も多く、その結果、比較的“人気投票”に近いものとなりました。これはある意味、健全だったと言えるでしょう。今回の日プ女子は、サバイバルオーディションをフェアなものにするための、よいケーススタディだったかもしれません」(同)

 真摯にダンスや歌に取り組み、デビューに向けて一生懸命頑張っている練習生たちのためにも、オーディションはフェアであるべきだ。その点において、日プ女子はサバイバルオーディションの今後を占う重要なターニングポイントになったといえそうだ。

田井じゅん(エンタメウォッチャー)

1985年生まれ。神奈川県出身。専門学校在学中より、ミニコミ誌やフリーペーパーなどでライター活動を開始。一般企業への就職を経て、週刊誌の芸能記者に転身。アイドル業界や音楽業界を中心に、その裏側を取材中。

たいじゅん

最終更新:2024/01/03 08:00
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