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キンプリ高橋海人主演『95』、世代を超えた支持を狙う“平成カルチャー”ドラマという手法

キンプリ高橋海人主演『95』、世代を超えた支持を狙う平成カルチャードラマという手法の画像1
King & Prince・高橋海人

 King & Princeの高橋海人が主演を務める、テレビ東京開局60周年連続ドラマ『95』が4月8日にスタート、15日には第2話が放映された。

 早見和真の同名小説を原作とするこのドラマの舞台となるのは、1995年の東京・渋谷。1995年は、1月に阪神・淡路大震災があり、3月に地下鉄サリン事件が発生するという激動の年で、その世紀末的な時代の空気を目の当たりにした広重秋久(高橋海人)を中心に、高校生たちの青春群像劇が描かれる。

 ドラマの中では、実際の渋谷の街の風景はもちろんのこと、1995年当時のカルチャーも多数登場。小沢健二「愛し愛されて生きるのさ」、安室奈美恵「Body Feels EXIT」、H Jungle with t「WOW WAR TONIGHT ~時には起こせよムーヴメント」といった、1995年リリースのヒット曲も印象的な形で使用されている。

 阿部サダヲ演じる中学教師が1986年から2024年にタイムスリップするという内容の『不適切にもほどがある!』(2024年1月期、TBS系)では、1980年代の昭和カルチャーが多く扱われ、当時を知るアラフィフ以上の世代には懐かしさを、当時を知らない若い世代には新鮮さを届け、大きな話題となった。一方の『95』では、1990年代の平成カルチャーにスポットが当たり、主に40代の視聴者に懐かしさを届ける形だ。

 1990年代の半ばの渋谷は、さまざまな流行の発信地だった。1990年代前半に隆盛を極めた「チーマー」は下火になりつつも、安室奈美恵のブレイクとともにコギャル文化が爆発。音楽シーンでは、1990年代初頭から小沢健二、Cornelius(小山田圭吾)、ピチカート・ファイヴ、カヒミ・カリィ、ラヴ・タンバリンズなどが「渋谷系」というムーブメントのなかで大きな支持を得るようになり、渋谷の街には多数の輸入レコード店が立ち並んでいた。

『95』では、これらのさまざまな渋谷にまつわるカルチャーが、上手くミックスされる形で登場。平成カルチャーの中心地として、日本中の若者たちの憧れの場所であった渋谷を生々しく描いている。

 広い世代にイメージされる“ざっくりとした昭和カルチャー”を取り上げた『ふてほど』に比べると、『95』では渋谷という街にフォーカスし、当時のカルチャーをよりディープに掘り下げている。『ふてほど』では時代考証の矛盾を指摘された部分もあったが、『95』では1995年がより現実に即した形で描かれており、矛盾点も少なくなりそうだ。だからこそ、当時を知る現在の40代の視聴者にとっては青春時代を呼び覚ます作品になっていくはずで、平成カルチャーに新鮮さを覚える若い視聴者にとっても、十分に刺激的な作品となるだろう。

 また、ネットでバズることがヒットの条件となる現在のドラマ界において、平成カルチャーを扱うことは、理に適った方法であるとも言える。

 1995年に青春を生きた40代は、20代の頃からネットに触れてきて、黎明期からSNSを駆使してきた世代でもある。X(旧ツイッター)では、活き活きと自分の意見を発信する40代のユーザーも多く、『95』はそんな40代にとって格好の“話のネタ”になる。少なくとも、昭和カルチャーど真ん中の世代よりも、SNSへの親和性は高く、だからこそ『95』はネットでバズりやすい要素を多分に含んでいるのだ。

 若い視聴者にもアピールしなければならないのはもちろんだが、現在のテレビ視聴者のメインの層が40代以上であるのは確か。40代以上の視聴者を上手く取り込みつつ、ネットでのバズりを画策していかなければならないのが、いまのドラマなのだ。そういったなかで“懐かしのカルチャー”を上手く扱うことは、ドラマをヒットさせる有効な手段となる。『ふてほど』や『95』のように“懐かしのカルチャー”を題材とするドラマが、定番のジャンルとなっていく可能性も高そうだ。

手山足実(ジャーナリスト)

出版業界歴20年超のベテランジャーナリスト。新聞、週刊誌、カルチャー誌、ギャンブル誌、ファンクラブ会報、企業パンフレット、オウンドメディア、広告など、あらゆる媒体に執筆。趣味はペットの動画を見ること、有名人の出没スポットパトロール。

てやまあしみ

最終更新:2024/04/22 09:00
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