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『M-1グランプリ』ルール改訂を徹底解説! その裏に見る、吉本興業の全国制覇計画

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『M-1グランプリ2023』(テレビ朝日系)公式サイトより

 毎年盛り上がる、漫才日本一決定戦『M-1グランプリ』(テレビ朝日系)。今年も開催が発表されたが、一部ルールが改訂され、その“狙い”についてさまざまな指摘がなされている。

 今回改訂されるのは「1回戦シード権」「1回戦ネタ時間」「特別賞」の3点。シード権については、昨年までは「前年大会の準決勝進出者」が1回戦免除の対象だったが、今年は「前年大会の準々決勝進出者」が免除対象に。1回戦のネタ時間は「2分15秒で警告音、2分30秒で強制終了」から「2分5秒で警告音、2分15秒で強制終了」に短縮される。さらに「キッズ漫才師」「地方漫才師」を表彰する特別賞が新設される予定だという。

 今回の改訂について、ある芸能事務所関係者は「エントリー数の増加と関係している」と指摘する。昨年の2022年大会では、7261組がエントリー。21年は6017組、20年は5081組で、ここ数年の間で毎年1000組ほどエントリー数が増えているのだ。

「7000組以上の漫才師のネタをライブで審査しなければならないわけで、必要となる時間もかなりのものとなっている。運営サイドとしては、いかにして時間をかけずに、ネタを見極るかが重要となる。そのためには、シード権を広げて、1回戦のネタ数を減らしたり、ネタ時間の制限を厳しくしたりするのは有効だというわけです」(同)

 一方で、エントリー数を増やし、大会規模をさらに拡大したいという吉本興業の思惑も見え隠れしているという。

「2016年から『ナイスアマチュア賞』と『ベストアマチュア賞』というものが導入されました。『ナイスアマチュア賞』は1回戦で印象に残ったアマチュアの出場者をMCが選んで表彰するというもの、『ベストアマチュア賞』は予選を通じて最も高い得点を獲得した出場者に贈られるものです。

この賞を設定したことで、アマチュアの出場者が増えたと言われています。ベストアマチュア賞受賞者からは完熟フレッシュやラランドなど、プロの芸人になったコンビもいて、アマチュアにとっては重要なモチベーションになっているんですよね。

 そして今回『キッズ漫才師』と『地方漫才師』に贈られる特別賞が新設されることで、そこを目標とするアマチュアが参加しやすくなる。エントリー数が増えれば、もっと大会が盛り上がって、大会の価値は高まるし、それに関わる“M-1ビジネス”も拡大していく。吉本としては、そこを狙っているのだと思います。1回戦のネタ時間短縮は、エントリー数が増えることを見越したうえでの措置だといえそうです」(同)

 M-1の大会規模の拡大を狙う吉本興業。なかでも「地方漫才師」に大きな可能性を感じているとの指摘もある。

「吉本では『あなたの街に“住みます”プロジェクト』と銘打って、所属芸人が日本全国に移住し、『住みます芸人』として活動しています。芸人たちが地域に根ざした活動をすることで、地元企業や自治体との関係も強まり、芸能系以外の事業にも食い込めるという点で、吉本にとっては旨味も大きい。この活動にM-1を絡めることができれば、さらにプロジェクトを盛り上げることができるわけです。M-1の『地方漫才師賞』が、吉本の“全国制覇”のための重要な一歩となる可能性もあるでしょう」(メディア関係者)

 この「地方漫才師賞」によってエントリー数が激増すれば、M-1グランプリの大会形式が一気に変更する可能性すらあるという。

「現在のM-1は、東京、大阪、名古屋、福岡、仙台、千葉、札幌、広島、静岡、沖縄で1回戦が行われています。これだけでもかなりの広範囲ですが、もし地方漫才師がもっと増えていけば、日本各地で地方予選大会を行い、勝ち抜いてきた漫才師達による“全国大会”を開催できるかもしれない。それを“地方漫才師限定の大会”とすれば、新たなM-1の軸ができるでしょう。あるいは“地方大会の優勝者は、M-1本戦の準決勝に出場できる”といったルールでもいいかもしれません。

 いずれにしろ、地方漫才師を増やすことでM-1の規模が一気に拡大し、吉本興業の全国に対する影響力も高まるというわけですね」(同)

 すでに国民的一大行事となっているM-1グランプリだが、まだまだ大きな大会にしようと目論んでいる吉本興業。M-1が日本を支配する日も近い?

浜松貴憲(ライター)

1980年生まれ、東京都出身。大学卒業後、出版社に入社。その後、いくつかの出版社を渡り歩いた末に、現在はフリーライターとして、テレビ番組、お笑い、YouTubeなど、エンターテインメント全般について執筆している。

はままつたかのり

最終更新:2023/07/05 19:00
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