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特撮新時代到来! フル3DCGアニメ映画『プランゼット』披露試写会完全レポート

plz_main.jpg左から宮野真守氏、粟津順監督、石原夏織氏。

 4月20日、東京・お台場のシネマメディアージュにて、話題のフル3DCGアニメーション映画『プランゼット』の試写会が行われた。

 『プランゼット』は『惑星大怪獣ネガドン』の粟津順監督が手がけた53分の作品。前作『ネガドン』(約25分)はほぼひとりで作り上げたインディーズ作品だったが、その倍近い上映時間とあり、今回は白組などのクリエイターが参加。スタッフワークによる映像表現の広がりに期待が高まる。

 物語の舞台となるのは2053年の地球。謎の生命体の侵略により、人類は人口の大半を失っていた。反撃作戦はいずれも功を奏することなく、残されたのは日本方面軍のみ。

 絶滅の危機に瀕したこの段階で、富士基地では最終作戦「プランゼット」の実施が決まる。ロボット兵器の搭乗員である主人公・明嶋大志(CV:宮野真守)は、戦いを翌日に控え、ただひとりの家族である妹のこよみ(CV:石原夏織)を火星へと避難させるてはずを整えた。

 大志たちは、圧倒的な戦力を誇る敵から富士基地を死守することができるのか──。

 元ちとせインディーズ時代の名曲「竜宮の使い」を用いたスタッフロールが終わると、客席からは拍手が。あいにくの天気にもかかわらず、駆け付けたファンも満ち足りた様子だった。

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 レトロな特撮映画風のルックを維持しつつもパワーアップしたCG、キャストの熱演が、好印象をもたらしたようだ。

 近未来にもかかわらず昭和な電化製品が登場する世界観は、粟津監督作品の特徴として確立した感がある。3DCGがクリアな映像として洗練されていく一方で、現代の特撮映画ともいうべきスタンスは独特だ。また粟津監督が掲げた「家族」というテーマに対し、自然な演技で応えた声優陣の奮闘も見逃せないポイントとなるだろう。

 上映終了後は主演の宮野真守、ヒロインこよみ役の石原夏織、粟津順監督による舞台挨拶が行われた。「高校2年生の16歳です」というあどけない石原の自己紹介に、客席がほんわかしたムードに包まれると、宮野が「26歳です」とかわいらしく続けて場内の笑いを誘う。さらに粟津監督からも「36歳です」という年齢公表がなされ、はからずも各々10歳違いのトリオであることが明らかになった。

 和んだ空気のなか進行した質疑応答の主要部分は以下の通り。

──収録中の雰囲気はいかがでしたか?

宮野真守氏(以下、宮野)(石原との)年齢差も劇中の明嶋兄妹と一緒なので、本当に兄妹のような感じで収録できました。

石原夏織氏(以下、石原)(劇場用作品のアフレコは初めてで)最初はやっぱりスタジオに入るときに緊張してしまったんですけど、宮野さんが「ここに座りな」と言ってくださったおかげで、緊張がほぐれて、アフレコもやりたいように順調にでき、楽しい現場でした。

宮野 ありがとー。そういうこと、もっとどんどん言ってね(場内笑い)。

──石原さんにとっては本当にお兄さんのような感じで、安心して収録できたんですね。

石原 そうですね。頼れるお兄ちゃんという感じで。

宮野 どんどん言って(場内さらに笑い)。

──宮野さんはいろいろな作品に出演していらっしゃると思いますが、フルCG作品は?

plz_sub02.jpg(C)Jun Awazu/MEDIA FACTORY/
CoMix Wave Films.,

宮野 出来ているフルCGに声を当てるのは初めて(※通常、アニメ作品では線画など制作途中の映像で収録を行うことが多い)だったので、新鮮な気持ちでお仕事をさせていただくことができました。絵がすごくリアルで、本当に息づいているように動くので、呼吸感を大事にしようと。絵に違和感のない、生っぽい自然なお芝居をみんなで心がけて。呼吸をしている感じが絵に乗れば、という感じで演じました。

──監督から見てお二人はイメージどおりでしたか?

粟津順監督(以下、粟津) 明嶋大志と明嶋こよみはヒーロー・ヒロインなので、オーディションの人数が多く、絞り込む作業をしたのですが、お二方はイメージにぴったり合う声でした。耳に狂いはなかったな、と。

──石原さんはオーディションに受かりましたと言われたとき、どんな気持ちでしたか。

石原 もう、信じられなくて! とにかく「私でいいのかな!?」って思いました。自分の全力を出し切りたいなと思い、お風呂とか、家の部屋とかトイレで練習をして。

宮野 すごい偉いんですよ。みんなで本番の収録をする前に何回もスタジオに通って、練習していたんです。

石原 粟津監督と音響さんたちと一緒に、イメージ通りになるように一所懸命やらせていただきました。

──監督は今回の『プランゼット』では、どのようなお気持ちで作品作りに臨み、このような映像になったのでしょうか。

粟津 前作の『ネガドン』で、技術的にも、制作期間的にも、やりたかったけど見送った部分をやりたいなという気持ちがあって。5年が経ち、自分が使えるようになってきた技術を思い切ってドーンと入れて作ってみました! という感じです。

──ここは見逃さないでね、ここは苦労した、というポイントを教えてください。

宮野 最初のシーンが(明嶋大志は)けっこうぐうたらなんですけど、あのシーンを固めるのにちょっと時間がかかりました。無気力感と自然な感じをがんばって作りました。見どころは最初の部分ですね。本当に細かい息遣いとか。ぶどうを喰っているところとか(場内笑い)。

石原 7歳のとき(過去の場面)のこよみちゃんと13歳のときのこよみちゃんで、お兄ちゃんに対する気持ちの距離感が全然違って。7歳のときはお兄ちゃんがダラダラしていて、上から目線で叱るので、距離が近いんですけど、13歳になると離れてしまう。そこの気まずさを大切にして演じていきたいと思い、がんばりました。

──一言ずつコメントをいただければと思います。

石原 本日は雨のなかお越しいただき、ありがとうございます。『プランゼット』は私の初めての映画で、とても思い出深いものとなっております。5月22日から劇場公開するので、今回観た方も、また観ていただけると本当にうれしいです。まだ観ていない方も、ぜひぜひ、たくさん観に来てください。よろしくお願いします。

宮野 今日はご来場いただきまして本当にありがとうございました。やっとみなさんに観てもらえて、ぼくらも嬉しく思います。この作品は激しくド派手なアクションが印象深いとは思うんですけど、そのなかに流れる人と人のつながりが印象的で。兄妹愛だったり、大志が抱える同僚への思いだったり、そういう人とのつながりが根底にすごく流れている作品なので、そういう思いがみなさんに届けばいいなと思って演じました。これから劇場公開されますが、今後ともよろしくお願いします。

粟津 今日はお忙しいなかみなさんお集まりいただき、本当にありがとうございます。いま、アニメ映画ブームと言われていますけれども、やっぱり原作ものであったり、テレビシリーズの映画化が多いなか、『プランゼット』はオリジナルの作品です。そういう意味ではちょっと特殊と言いますか、あまり例のない作品だと思うんですけれども、そういう部分に価値があると思っておりますので。ここでご覧になったみなさんが面白いと感じられたのでしたら、ご友人や同僚の方に宣伝していただければと思います。

 小規模劇場公開のアニメーション映画が各地の小屋を賑わせ、映画やアニメをめぐる環境が著しく変わりつつあるなか、どのような刺激となるのか。『プランゼット』は5月22日から池袋テアトルダイヤ、テアトル新宿ほかで公開される。
(取材・文・写真=後藤勝)

●上映館は公式サイトにてご確認ください
<http://www.planzet.jp/>

惑星大怪獣ネガドン

いとうせいこう氏も絶賛。

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最終更新:2010/04/21 18:00
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