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賢いだけじゃない!? 新・ホームズが大暴れ『シャーロック・ホームズ シャドウゲーム』

shsg.jpg(C)2011 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED

 今週は、セクシーでダンディーな大人の男の魅力を堪能できる洋画の話題作2本を紹介したい(いずれも3月10日公開)。

 まず1本目の『シャーロック・ホームズ シャドウゲーム』は、コナン・ドイルの古典的推理小説『シャーロック・ホームズシリーズ』をベースに、ガイ・リッチー監督がロバート・ダウニー・Jr.主演で映画化した『シャーロック・ホームズ』(2009)の続編。19世紀末、ヨーロッパ各地で頻発する爆破事件。探偵ホームズは、天才数学者のモリアーティ教授こそが黒幕だと推理する。助手の医師ワトソンと共に、事件の手がかりを求めてロンドンからフランス、ドイツ、そしてスイスへ。行く先々で命を狙われるが、国際会議が開催されるアルプス山中の別荘で、ついに2人の天才が対決の時を迎える。

 ダウニーが演じるホームズは、知能だけでなく格闘能力にも優れたアクションヒーローとして描かれており、敵の攻撃を先読みして鮮やかに反撃する様子をスローモーションも駆使した映像でスタイリッシュに見せるのは前作同様。エキセントリックなホームズと、ジュード・ロウ演じる真面目なワトソンの皮肉混じりの会話も楽しく、派手なアクションシーンの緊張を笑いで緩和してくれる。やはり前作から続投のレイチェル・マクアダムスは出番が少なくて少々残念だが、初参加のノオミ・ラパス(『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』)がジプシー役で熱演。連続爆破事件の謎解きと、ダウニーとロウの色男2人が繰り広げる冒険活劇を合わせて楽しめる、ウェルメイドの娯楽大作だ。

 一方の『SHAME シェイム』(R18+指定)は、セックス依存症のニューヨーカーの苦悩を描くドラマ。ハンサムで仕事でも成功しているブランドン(マイケル・ファスベンダー)は、バーで知り合った女性と裏通りで交わり、コールガールをアパートメントに呼び、さらに職場でも自宅でも暇さえあれアダルトサイトでポルノを眺めている。そんなブランドンのもとに、リストカット癖があり男と別れたばかりの妹シシー(キャリー・マリガン)が転がり込む。繰り返し衝突し気持ちがすれ違う2人は、ますます孤独を深めていく。

 『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』(11)で若き日のマグニートーを演じたファスベンダーが、本作ではセックスの魔力にとらわれた男に。内面の渇きを繊細に表現し、昨年のベネチア国際映画祭で主演男優賞を受賞した。本作でヌードを披露したマリガンは、ジャズバーで「ニューヨーク・ニューヨーク」を切々と歌うシーンが印象的。イギリスの新鋭スティーブ・マックイーン監督による固定カメラの長回しに、哀感を込めた声の演技で見事に応えた。セックス依存症が題材にはなっているが、心の渇きや虚しさから何かに頼ろうとする人間の普遍的な弱さを見つめた作品だ。

 なお、米国人のダウニーがロンドンの名探偵に扮した『シャーロック・ホームズ シャドウゲーム』はハリウッド製で、ドイツ出身のファスベンダーがニューヨーカーを演じた『SHAME シェイム』はイギリス製作。こんな違いに注目して両作を見比べるのもまた一興だろう。
(文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉)

『シャーロック・ホームズ シャドウゲーム』作品情報
<http://eiga.com/movie/57187/>

『SHAME シェイム』作品情報
<http://eiga.com/movie/57624/>

シャーロック・ホームズの冒険

オールドスタイル。

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最終更新:2013/09/09 11:32
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