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読者にも好評! 都条例の不安の中で生まれた前代未聞の「18禁BL」がもたらす可能性

 岩本氏の発言からは、条例改定反対の立場の主張の一つである「表現が萎縮する可能性」が、現実のものとなっていることがうかがえる。そうした中で、流れを変えるきっかけになったのは、書店から寄せられた声だ。

「売り場担当の方から作家さん宛にいただいたお手紙の中に、『仮に不健全指定されても、返品しないで区分陳列する道を模索したい(筆者注=不健全図書指定を受けた雑誌・単行本を、即返品する書店は多い。Amazonでも、東京都で不健全図書指定を受けたものは、すぐに消える)。それが、作家さんのために自分たちにできることだから』というメッセージがありました。そんなこともあり、じゃあ18禁本を出せないかなと考えたんです」(岩本氏)

 ただ、前例のない(これまで18禁扱いになっていたのは、BLかゲイマンガか判然としないものだけ)、BLに「成年コミック」の黄色い楕円マークをつけて販売することは、簡単ではなかった。まず、書店のBLコーナーに18禁の棚は設けられていない。そのため、書店で売ってもらえない可能性、あるいは店頭に並んでも女性は恥ずかしくて手に取らないのではないかという懸念があったのだ。

「まさに未知の領域ですから、まったく売れないかもしれないけど、それでも出版してみようと決まったんです」(同)

 こうして始まった編集作業。18禁だからと躊躇する作家はおらず、「久々に自由に描くことができた」と喜ぶ声が多かったという。

「とにかく作家さんには自由に描いてほしいし、読者さんが望むものを作っていきたいと思っていました。もちろん、全年齢向けでも表現の部分はあまり縛りを設けず、自由なテーマで描いてください、とお願いしていますが、今回はあらためてその部分を強調しました」(同)

 問題なのは性器の消しの部分だが、これもやはり未知の領域。そこで、男性向けを参考に30冊あまりを読み込んで「参考」にしたのだとか。これらのエピソードから、誰もやったことがない領域を切り開いていく作家と編集の情熱を伝わってくる。

 その情熱は読者に届いているようで、ネット上や編集部に寄せられている反応は「おおむね好評」なのだとか。

「官能的な描写が読めるだけではなく、近親相姦や18歳以下のキャラクターのエッチといった全年齢向けでは描きづらくなっている作品が収録されているので、読み応えがあったという意見もいただいています」(同)

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