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ラジオ批評「逆にラジオ」第7回

「安住二世」と呼ばれたくないTBS若手アナが解き放つ、暗黒のポテンシャル『ザ・トップ5~リターンズ』

 そんな極度にマイペースかつネガティブな山本の面白さは、初回の番組後半に本人の口から飛び出した「人に嫌われたくない。かといってあんまり人のこと好きじゃない」という、「自己愛の強さ」に根っこがあるのだと思う。だが、この「自己愛の強さ」というのは、実はラジオリスナーが安住紳一郎を讃える際のキーワードでもあって、本人はそう呼ばれることを快く思っていないとはいえ、やはり彼が「安住二世」と呼ばれるにふさわしいポテンシャルを感じさせるのは間違いない。過剰な「自己愛」の表明は、ラジオにおいては反転して「可愛げ」として受け入れられることがしばしばある。ただし、安住が若い時分から新人離れした落ち着きを見せていたのに比べると、その点において大いに不安を感じるのもまた確かで、そこを「何が飛び出すかわからない面白さ」ととるか、「不安定すぎて面白さどころではない」と感じるかで、評価は大きく分かれるところだろう。個人的には、「何が飛び出すかわからない」度合いの大きさにおいて安住よりも勝っているところに、「安住二世」の枠には収まらない得体の知れぬ可能性を感じるのだが、それもこの番組をどう乗り切っていくのかで変わってくるだろう。

 しかし、彼のネガティブさが、“残業支援系”という番組キャッチコピーにある通り、結果として疲れたサラリーマン(というより、OLや主婦かもしれないが)への癒やしをもたらしてくれることもまた間違いない。もちろん方向性はちょっと違うが、近ごろ話題のネガティブ・モデル栗原類が万人に大いなる癒やしを結果的に与えているように、正直と不器用を由来とするネガティブさは、時にウソをつき常に器用な振る舞いを求められる現代の大人にとって、数少ない心の支えとなる。
(文=井上智公<http://arsenal4.blog65.fc2.com/>)

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