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写真集『隣人。38度線の北』発売記念インタビュー

違和感ではなく、共感を拾い集めたい――メディアが報じない「北朝鮮の日常」

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初沢 「共感」とは、決して深いレベルの話ではありません。例えば北朝鮮でもマラソンをやっているんだとか、ボウリングをしているんだとか、そういうことです。我々が日本でやっているのと近いことをしている姿には、やはり驚かされますよね。

――僕も、本書を見ながら、北朝鮮人が水着を着ていることを意外に感じてしまいました。

初沢 そういう意味の共感を拾い集めたいと思ったんです。先入観によって形成された北朝鮮像を狙い撃ちする写真は必要ありませんでした。

――初沢さんが特に共感された部分はどこでしょうか?

初沢 女性が腋毛を生やしているところでしょうか。あれはグッと来ましたね~。

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――(笑)。北朝鮮では腋毛を生やすのが普通なのでしょうか?

初沢 そうです。そのくせ、無防備に、濡れた髪を縛ったりするんです。

――脇がガラ空きになる!

初沢 ですから、腋毛が写っているカットも掲載しています(笑)。

■マスメディアと北朝鮮

――……話を戻しますが、北朝鮮人も同じように生活の営みがあること、それに共感することは、日本人が北朝鮮という国を考える上で、とても大切な視点だと思います。ただ、日本に伝えられる情報からは、北朝鮮人の体温が伝わってくることはほとんどありません。

初沢 日本人が持っている北朝鮮観は、マスメディアによって形成されてきたイメージです。そのことに、この写真集を見て気付いてもらいたいですね。

――“マスメディアによって形成されてきたイメージ”というのは、上流階級が住む平壌などの都市部と、貧困にあえぐ地方部というステレオタイプな見方ということでしょうか?

初沢 そうですね。ただ、誤解してほしくないのは、マスメディアと真逆のことをしたいということではありません。そういった先入観や思い込みを持って北朝鮮に行かない、ということです。実際に訪れてから初めて撮影は始まります。「北朝鮮だからこういうカットを狙おう」というのは、先入観です。それを持たないのは表現者にとって、とても大事なことだと思います。

 東日本大震災の被災地を撮影した写真集『True Feelings』(三栄書房)を昨年発表したのですが、この作品でも、メディアで伝えられている被災地像とは違う側面を切り取っています。『隣人~』と併せて見ていただければ「マスコミとはなんなんだろう?」「今まで見ていたものはなんなんだろう?」と、あらためて問い直すきっかけになるでしょうね。

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