日刊サイゾー トップ > インタビュー  > 『5時に夢中!』名物Pを直撃!
絶好調のTOKYO MXを支える看板番組

テレビ界の“明日のジョー”『5時に夢中!』名物Pが明かす、お化け番組の作り方

――サイゾーもそうですが、表層部分だけを見て「悪口だ」とされるのが一番つらい(笑)。

大川 「こういう見方もあるんじゃないの?」っていう問題提起なんですよね。こうやって見たら、もっと面白いんじゃない? と。僕らが王道になっちゃうほうが世の中おかしいな、って思うし(笑)。

――『5時に夢中!』がサブカルだという意識は?

大川 まったくないですね。ただ、僕自身は吉田豪さんや水道橋博士さんのようなサブカル的な人が好きです。それは「こういう見方があるんだな」っていう視点が好きなんです。キャッチボールをしていても、とんでもない方向から球が来るような。

――『5時に夢中!』は、いつサブカルのアイコンになってもおかしくないと思いますが、番組がずっと「下世話」を貫き通しているのがすごいなと。

大川 サブカルは、もう「権威」ですからね。本当にいつ終わるかも分からない低予算番組なので、出てくれる人はみんな“ほかで飯が食える人”です。テレビがなくても飯を食っていける人のほうが、本当のことを言ってくれるから。それが、いい意味での下世話感を生んでいるのかもしれません。

――刹那的に始まったものが、ここまで長く続いている。

大川 結局は「偉大なるマンネリ」を作った人が勝ちなんですよね。ドリフみたいな。僕も40で、見てくれている人も同世代だと仮定すると、新しいことを追い続けるよりも、水戸黄門的な定番モノが欲しくなると思うんですよ。昔の人は情報も多くなかったから、みんな似たような生活をしていて、同じようなモノ見て、同じようなモノ食って。そういう共通項が多いほど、共感を呼ぶのかなとも思います。『5時に夢中!』を始めて、最初にリアクションがあったのは、実はゲイの方たちと水商売の人たちだったんです。コアに反応にしてくれた層です。『5時に夢中!』は、水商売の人のための“めざましテレビ”でもある。これから接客する人たちの情報収集として。もしできることなら朝の5時くらい、水商売の人たちが帰ってくるくらいの時間に再放送したいですね。

――再放送! ぜひお願いしたいです!

大川 ギャラの問題がね(笑)。ほら、皆さん大手事務所に入ってるから、二次使用とかなんとか大変で。今でも番組予算の3分の2くらいはギャランティーじゃないですかね。だからこっちはいつまでたっても人が足りない。人も足りなきゃ機材も足りない。編集室なんて奪い合いですよ、わが社は(笑)!! しかし、あえてそういう配分にしているのは、何はさておきトークが番組の生命線だから。とはいえ、キー局の10分の1にも満たないギャラです。本当によく出てくれるな、って涙が出ます。皆さん義理堅いんです。

――これからの『5時に夢中!』は、どんな展開を考えていますか?

大川 ちょっとやってみようかなって思ってるのは、祝日だけコメンテーターを一人足そうかと。3人いると、いろいろシャッフルもできるし。ふかわさんがようやく溶け込んできて、チームワークが取れてきたところですしね。DVDもね……新聞使ってるから難しいんだよなぁ。それこそイベントやったり、本出したりしてみたいですけどね。いざやるとなると、僕が全部やらなきゃいけないから、めんどくさい(笑)。なんで権利処理まで僕がやらなきゃいけないんだと。会社として専門家が全然いないし、前例もないから、なるべくその第一歩になりたいと思ってはいるんですけど。一番いいのは、地方局に買っていただくことでしょう。暴走族みたいに全国制覇していきたいですね。

――昨今のテレビ界では「地方から東京へ」というインパクトが目立っていますが、『5時に夢中!』が地方にもたらす影響は大きいと思います。

大川 『5時に夢中!』というか、MX自体がマイノリティなんです。東京という都会のマイノリティ。出演者さんが弱者の味方なのは、ご自身もマイノリティの自覚がある方が多いから。だから根底にあるものが優しいんですよ。スポンサーニーズには全然応えてくれないけど(笑)。もしウチがフジテレビみたいに恵まれている会社だったら、マツコさんはすぐに辞めていたと思いますよ。視聴者からのお便りで「もう何年も笑ってなかったけど、この番組で笑うことができた」ってもらった時、あぁ誰かの役には立ってるんだなって。常に逆風の中で生きている人たちの味方でありたいなと思っています。リアル“明日のジョー”として。
(取材・文=西澤千央)

※註 スナックのママが己の波瀾万丈な人生を赤裸々に語り、魂を込めて熱唱する、月曜日の人気コーナー。

最終更新:2014/08/01 14:06
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