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「不便だけど、不幸じゃない――」義足カメラマンが語る、11人のカッコイイ“義足美女”

gisoku32.jpgモデル=高桑早生さん

 義足に対して、マイナスなイメージを持つ人は少なくないだろう。不幸にも足を切断することになってしまい、義足生活を「余儀なく」される……。だが、必ずしもそうなのだろうか?

 写真家・越智貴雄氏による写真集『切断ヴィーナス』(白順社)を見れば、もしかしたらそんな認識は覆ってしまうかもしれない。義足をつけた11人の美女たちは、サッカーやスノーボード、水泳などのアクティビティを楽しんだり、神輿を担いだり、ライブを行ったりと、誰もが健常者と変わらない姿を見せているのだ。

 いったい、越智氏は義足の女性たちの姿を通じて何を表現したかったのだろうか? そして、その撮影からは何が見えてきたのだろうか?

――まず、義足の女性たちを撮影しようと思ったきっかけを教えてください。

越智貴雄(以下、越智) 2000年のシドニーからずっと、パラリンピックの写真を撮り続けてきました。その中で出会った義肢装具士の臼井二美男さんが作る義足がカッコイイと思ったんです。臼井さんに写真を撮影させてほしいと話したところ、義足を使用している女性を紹介していただくことができ、このプロジェクトがスタートしました。昨年写真展を開催したところ大好評で、写真集にしようという話が持ち上がったんです。

――写真集のタイトルは『切断ヴィーナス』。障害者に対して、「切断」という言葉を使うことにためらいはなかったのでしょうか?

越智 「切断」という言葉は、どうしても使いたかったですね。最近ではだんだんと使われるようになりましたが、かつては「切断者」という言葉すらタブーでした。でも、本人たちは、それを現実として受け止めています。臼井さんとも話し合いを重ねて、このワードを使おうと決めました。

――本作のこだわりは、どんなところですか?

越智 一番大切にしようと考えたのは、本人たちの個性を表現すること。撮影前に本人たちを何回も取材し、ヒアリングを重ねました。好きな食べ物、好きな写真、好きな音楽、彼女たちの個性を写真に収めたいと思ったんです。「僕のことをプリクラと思って」と話しながら撮影を行ったんです。

――そこまでモデルの「個性」にこだわった理由は?

越智 義足って、本人の個性が詰まったものなんです。義足を作るときにも、その人が何をしたいか、その人の目的によって、ひとつひとつ違います。速く走りたいという人もいれば、おしゃれに見せたいという人もいるし、リアルな足に見せたいという人もいます。そんな義足の個性を、写真で表現したかったんです。

 例えば、義足でお祭りに参加している女性のカットは、彼女が義足になった現在でも夢をかなえながら生活しているということを表現したいと考えました。また、銀座で撮影した女性は、この義足姿で通勤しているので、その日常に密着したいと思ったんです。モデル本人たちが服も全部用意して、彼女たちのイメージ通りに撮影しています。

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