「森見登美彦先生の変化が一番見られる作品」!? 『有頂天家族2』プロデューサー&P.A.WORKS代表・堀川氏インタビュー
―― 一流のクリエーター同士ならでは、という感じでかっこいいエピソードです。そういった信頼関係を、アニメ第1期でしっかり作れたということですね。
堀川 そうですね。先生はそれを楽しみにしてくれているし、アフレコにも何回も足を運んでくださって、非常に面白かったと言って下さいます。純粋にアニメとして楽しんでくれているところがあるんだと思います。
■「京都に行って『有頂天家族』の世界に触れよう、あそこに行けば『有頂天家族』に会えるというような浸透の仕方をしてくれるとうれしい」
―― その吉原監督をはじめ、いわゆる主要スタッフさん方は、1期からほぼ変わっていません。1期から引き継いでいるポイント、あるいは1期とでここを意識して変えていますみたいなポイントがありましたら教えてください。
※第1期でシリーズ構成を務めた菅正太郎氏は2015年死去。第2期では檜垣亮氏がシリーズ構成を務める
堀川 意識して変えるところはあまりないです。ないですけど、吉原監督がP.A.WORKS本社(富山県・本社スタジオ)で作画部長を務めていて、長年作画、演出を社内で育ててきましたので、1期の頃よりも社内で作れる比率が上がりましたかね。
むしろ、何かを変えようというよりも、1期の時もみんなすごく思い入れもあって楽しんで作ったので、もう一度あれができるだろうかって。
―― あの時のテンションでいけるだろうかと。
堀川 そうですね。自分たちで目一杯上げたハードルがありますから。そこを超えることが当然求められちゃいますからね(笑)。
―― 実際、前半戦の手応えや周囲の反応をどう捉えてらっしゃいますか。
堀川 基本的にできてくるものに関しては全く心配してなくて、僕は制作に携わってるというよりも視聴者側の目線で(笑)、またこの世界に帰ってこれたんだなっていうのを毎週実感しています。もちろん森見先生の原作の魅力があってこそですが、久米田(康治)先生のキャラクターデザインや、素晴らしい背景美術も相まって、見ると行きたくなるアートな“京都”の世界感を表せていると思います。
それと音楽とベテランの声優陣の相乗効果が素晴らしい。さらにmilktubの元気のいいOP主題歌から始まり、EDでfhánaが切なく締めて終わるあの世界に、毎週毎浸れるという喜びがあって。
実際1、2話が放送された後のネットでの反響を見たんですけど、「空気感がいい」というような感想が多いんです。ファンもこの世界を待ち望んでくれていたんだなと安心しました。このまま最後までいければと思っています。
―― P.A.WORKSさんの作品は、どれも緻密に取材されるという印象があるのですが、やはり2期が始まるにあたっても、相当綿密に取材されたんだろうなと思うんですが。
堀川 それはそうです。新たに出てくる舞台もありますから、南禅寺や清水寺とか。もう何度も訪れてかなり吉原監督も京都通になっていますから、いい取材ができたと思います。
加えて下鴨四兄弟が京都の観光大使(京都市が定める「京都特別親善大使」に今年1月任命)になったこともあって、1期の時よりもかなり京都や一般の方に注目をされているんですね。スタンプラリー(「京都特別親善大使」任命を機に、「おもしろき古都は、良きことなり」キャンペーンを開催中)もそうですが、宣伝スタッフたちが非常に頑張ってくれていて。
アニメの放送時期だけでなく長い期間にわたって、京都に行って『有頂天家族』の世界に触れよう、あそこに行けば『有頂天家族』に会えるというような浸透の仕方をしてくれるとうれしいですね。
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