トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • x
  • feed
日刊サイゾー トップ > 海外  > 医師が不妊女性に自分の精子を注入

不妊女性に自分の精子を注入した医師、23人の子どもを生ませるも「行為は犯罪ではない」として執行猶予へ

「種まき男」ことドナルド・クライン元医師(シカゴ・トリビューン電子版より)

 米中西部に位置するインディアナ州の州都・インディアナポリスで12月半ばに行われた、ある注目の裁判で、裁判官は今年79歳になる元医師ドナルド・クラインに対し、執行猶予1年の刑を言い渡した。

 これに対し被害者たちは、もっと重い刑を科すべきだと不満の声を上げていたという。

 地元紙の「インディ・スター」が報じたところによると、クラインはすでに引退しているが、かつては不妊治療を専門とする医師をしており、過去に、自分のクリニックで、数十人の女性患者に対して内緒で自らの精子を使って体外受精を行っていたのだという。

 コトが発覚したのは3年前。30年ほど前にクラインのクリニックで体外受精を受けて生まれた子どもたちの多くが、遺伝子検査によって異母兄弟・姉妹であることが判明したのである。

 この検査判定によって、彼ら親たちは大きな疑念を抱くこととなった。というのも、当時クラインは女性患者に対して、同じ精子提供者の精子は、3人以上には使わないと明言していたからである。後に彼らがオンライン上の遺伝子検査サービスで検査を行ったところ、彼らの子ども生物学的にクラインが父親であることが判明したという。

 これは、明らかに犯罪的行為である。ところが、インディアナ州の法律では、医師が患者に自分の精子を使って体外受精を行うことを禁止しておらず、訴訟を起こすことができない。そのため彼らは消費者として苦情を申し立てるしか方法がなかったのだ。

 苦情を受けた調査機関がクラインに対して聞き取りを行ったところ、クラインは疑惑を否定。そのため、次にクラインは調査官に対して偽証を行ったとして起訴され、裁判が開かれることになったという。

 地元裁判所で行われた公判で、クラインは調査官に対して偽証をしたことは認めたものの、クラインの弁護士は口頭弁論で「この裁判は偽証に対して行われるもので、何十年も前にクリニックで彼が行ったことに対してではない」と何度も強調。最後に「30年前に起こったことは犯罪ではない」と述べている。

 裁判資料には、クラインは疑惑を訴えてきたかつての患者に対して、かつて50回ほど自身の精子を体外受精に使っており、それは他の提供者からの新鮮な精子を調達することができなかったからだと告白したと残っている。

 すでに被害者たちが個人的に行ったDNAテストでは、23人がクラインの生物学上の子どもであることが判明しており、その数はさらに増える可能性もあるとしている。

 しかし、裁判では2つの偽証罪のみについて審理が行われ、結局、クラインは刑務所に入ることなく、執行猶予となったわけである。

 この判決に怒りが収まらないのが、この裁判で傍聴に押し寄せた被害者たちである。「彼の行為が私たちに対して与えた精神的な苦痛は甚大なもの。もっと重い刑を科すべきだ」と、大きな声を上げているという。

 生物のオスは、自らの遺伝子を持つ子孫をできるだけ多く残そうとする本能を持っているといわれているが、それはメスとの生殖行為を通じてのこと。生殖行為もせずに勝手に遺伝子だけメスに植え付けることは、それこそ自然の摂理を冒涜する行為だといえるかもしれないが……。

最終更新:2018/01/03 16:00
ページ上部へ戻る

配給映画