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「面白いことが正義」時代から一周回って……“犬猿の仲”だった中山秀征と今田耕司、和解の背景

■「あの当時、テレビのことをわかってたのはヒデさんだった」(今田)

 お笑いファンやコラムニストらから非難される時期が長く続いた中山だったが、いつからか……おそらく、午前の帯番組『ラジかるッ』(日本テレビ系)を成功に導いた辺りから、芸人内の評価が変わった印象がある。

 前述の飲み会で、今田はスタッフに注意されていたそうだ。

「なんで、“中山君”って呼んでるの? “ヒデちゃん”でいいじゃない」

 中山も、今田に「“ヒデちゃん”と呼んで」と伝えていたらしい。

「仲良くなるまでに時間がない。でも、テレビ見てる人には関係ないから、いきなり仲のいいところから始めなきゃいけない。でも、今ちゃんは『なんで知らない奴を“ヒデちゃん”って呼ばなきゃいけないんだ』って“中山君”で通したの」(中山)

 そんな関係性のまま、『殿フェロ』は終了。その後、中山と今田は10数年も顔を合わせる機会を持たなかった。そして、2009年3月に『ラジかるッ』が終了する。今田と仲のいい松尾は、飲みの席で今田がポロッと口にした言葉を聞き逃さなかった。

「(『ラジかるッ』は)むちゃくちゃ面白い番組だったのに、なんで終わったんだろうね」

 続けて、「ヒデちゃん」と言えなかったあの頃の自分を悔やんだというのだ。

「ずっと、『俺、“中山君”じゃないよ。“ヒデちゃん”だよ』って言われたんだよなあ。いま考えたら、あの当時からテレビのことをわかってたのはヒデさんだった。今の自分だったら理解できるけど、あの当時はまったく理解できてなかったんだよ」

 これを受け、松尾は中山と今田が顔を合わせる飲み会をセッティングする。長き没交渉を経て顔を合わせた2人が行ったのは、当時の答え合わせだ。

「バラエティの感覚は、僕は『オールナイトフジ』的なポップなやつで、女の子と飲みながらキャーキャーやる。今ちゃんは“違うんだ、戦いなんだ”と言われていたと。“初めて中山とやるんだから勝負だぞ”と言われていた」(中山)

 2人の和解には、さまざまな理由が作用しているように思う。年を重ねて丸くなったというのが、まず一つ。両者ともに芸能界で成功し、いがみ合う理由はない。

 そして、もう一つ。「時代が変わった」要素も欠かすことはできないだろう。「面白いことだけが正義」と多くの人が尖りまくっていた90年代と異なり、今は「雰囲気作りのうまさ」や「人を傷つけない笑い」が高評価となり、加点される時代。「ヒデちゃんと呼んで」と促す方法論が理解されやすい土壌がある。

「一周回って」という言葉があるが、本当に一周回った。テレビやお笑いへの向き合い方だけでなく、2人の関係性も一周回ったのだ。感慨深い。

(文=寺西ジャジューカ)

最終更新:2018/08/20 14:00
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