“キング・オブ・アウトロー”瓜田純士が見たピエール瀧出演作『麻雀放浪記2020』

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“キング・オブ・アウトロー”こと瓜田純士(39)が、森羅万象を批評する不定期連載。今回のテーマは、ピエール瀧の逮捕で一時は上映が危ぶまれたが、最終的にはノーカットでの公開が決まった話題作『麻雀放浪記2020』(白石和弥監督)だ。「麻雀はあまり好きじゃないけど、白石監督とピエール瀧は好き」という瓜田は、果たしてこの映画を気に入るのかどうか――。

 原案は、阿佐田哲也の250万部を超えるベストセラー小説『麻雀放浪記』。1984年には、和田誠監督、真田広之主演で映画化もされた。

 それから35年ぶりの映画化となった『麻雀放浪記2020』は、白石和彌が監督を務め、斎藤工が主人公の“坊や哲”を演じる。1945年の戦後から、第三次世界大戦により東京オリンピックが中止になった2020年の新たな戦後へ、主人公がタイムスリップする設定でリメイク。20台のiPhoneを駆使して全編を撮影したらしく、これは邦画では初の試みだという。

「原案の本は読んでないし、前作の映画も見てない」という瓜田だが、「白石監督の作品はこれまでハズレがないし、ピエール瀧の演技も楽しみ」と言って、愛妻と共に映画館に入っていった。ピエール瀧逮捕によるPR効果もあってか、キャパ80席ほどの場内は満員。客層は20代風から60代風まで幅広く、男女比は7:3といったところか。

 以下は、上映終了後の瓜田夫婦のコメントである。

 * * *

――まず映画の感想に入る前に、おふたりの麻雀歴を教えてください。

瓜田純士(以下、純士) 小学生のときに麻雀の教本を買って、一生懸命ルールを覚えようとしたけど、点数計算や役が頭に入らず、麻雀ゲームをやっても負けっぱなしだったから、以後ドンジャラに逃げました(笑)。でも、ある程度の役や、燕返しとかのイカサマは知ってますよ。少年マガジンで『哲也-雀聖と呼ばれた男』を読んでたからかな。

瓜田麗子(以下、麗子) ウチは小学生の頃、ファミコンの麻雀ゲームにハマって、一時期やりまくってました。ルールや役はほどんどわかりませんが、この映画に出てくる麻雀シーンの意味は、イカサマも含め、ある程度理解できました。

――そんなおふたりから見て、この映画はいかがでしたか?

純士 最初の30分ぐらいはあまりに幼稚くさい展開に目と心が追いつかなかったけど、「あ、これは完全にコメディタッチなのか。原案や前作とはまるで別物なんだろうな」とわかってからは、そこそこ楽しめました。ただ、二度見たいとは思わない。

麗子 軽くて薄くて、おもんなかった。悪く言えば、学生の映画研究会の作品を見てる感じ。よく言えば、『世にも奇妙な物語』(フジテレビ)の中の一話をスペシャル版として映画化した感じ。どっちにせよ、内容的には15分で十分。2時間以上はきつかったわ~。

純士 確かに。でも原案や前作に失礼がないように、タイムスリップという新たな構想を入れてるところは面白いと思った。設定や作風をガラリと変えたんでしょうね。僕、あれを思い出したんですよ。北野武監督の『座頭市』を。昔の『座頭市』があまりにも素晴らしかったから、北野監督は金髪やタップダンスを交えたりして別物に仕上げたでしょう。それに近いんじゃないか。北野監督が昔の作品を傷つけまいとしたように、白石監督もあえてポップにAIとかも入れてエンタメにした。そういう作り手の仁義みたいなものを感じたし、そこがたいしもんだと思いました。

麗子 でも、白石監督のカラーが出てへんかったんちゃう? 『凶悪』とか『日本で一番悪い奴ら』とか『孤狼の血』は、めっちゃおもろかったのになぁ……。

純士 映像では(白石カラーが)出てたよ。戦後の雰囲気とか、暴力シーンとか、お札の置き方とか。

――話題のピエール瀧はいかがだったでしょう?

純士 いてもいなくても一緒。これまでの白石作品のピエール瀧はすごくよかったけど、今回の役は、彼じゃなくてもよかったんじゃないかな。

麗子 出番もそれほど多くないしな。

純士 逮捕者が出演することによる社会的影響が問題視されてるけど、心配しないでも、「そんなにヒットしねえよ!」って思いました。

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