日刊サイゾー トップ > 連載・コラム >  パンドラ映画館  > 徳永えりのフェロモン充満映画
深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.533

セックスすれば、友達ではなく恋人になるのか? 徳永えりのフェロモン充満『月極オトコトモダチ』

友達と恋人との狭間に立ち塞がる”何か”

珠希(芦那)と柳瀬は共にミュージシャン。音楽の波長も合い、すぐに仲良くなっていく。

 珠希によれば、「曲をつくることは自分をさらけだすこと。恋愛と似ている」という。取材を口実に、レンタル契約を結ぶ形でしか柳瀬と接することができない那沙の押さえ込んでいた感情が爆発する。R18映画『ジムノペディに乱れる』(16)で体当たり演技を見せた芦那と演技派・徳永との一人の男をめぐるバチバチ対決は、かなりの迫力がある。

 3月に公開された黒川芽以主演の実録恋愛コメディ『美人が婚活してみたら』では、友達付き合いするには最適だが、恋人にはなれない残念なサラリーマン・園木(中村倫也)という共感を覚えるキャラクターが登場した。園木がいくら努力しても恋愛対象となるには、何かが足りなかった。那沙もそうだ。友達と恋人との狭間に立ち塞がる、その“何か”をウェブでの連載が終わった後も探り続けることになる。

 そういえば、『ドラえもん』の静香ちゃんとのび太はいつから男女の関係になったのだろうか。たぶん、静香ちゃんはドラえもんと別れた後のひとりぼっちになったのび太に、その“何か”を感じたに違いない。芦那のミュージシャン名義であるBOMIが歌う主題歌「ナニカ」を聴きながら、ふとそんなことを考える。その“何か”は、ドラえもんの四次元ポケットには入っていないものらしい。多くの男女が、その“何か”を求めてのたうち回っている。

(文=長野辰次)

『月極オトコトモダチ』

監督・脚本/穐山茉由 音楽/入江陽 劇中歌・主題歌/BOMI

出演/徳永えり、橋本淳、芦那すみれ、野崎智子、師岡広明、三森麻美、山田佳奈

配給/SPOTTED PRODUCTIONS 6月8日(土)より新宿武蔵野館、アップリンク吉祥寺、イオンシネマ板橋ほか全国順次公開

(c)2019「月極オトコトモダチ」製作委員会

https://tsukigimefriend.com

『パンドラ映画館』電子書籍発売中!
日刊サイゾーの人気連載『パンドラ映画館』
が電子書籍になりました。
詳細はこちらから!

 

最終更新:2019/06/04 09:29
123
ページ上部へ戻る

配給映画

トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • twitter
  • feed
特集

【4月開始の春ドラマ】放送日、視聴率・裏事情・忖度なしレビュー!

月9、日曜劇場、木曜劇場…スタート日一覧、最新情報公開中!
写真
インタビュー

『マツコの知らない世界』出演裏話

1月23日放送の『マツコの知らない世界』(T...…
写真
人気連載

水原解雇に間に合わなかった週刊誌スクープ

今週の注目記事・1「水原一平“賭博解雇”『疑...…
写真
イチオシ記事

さや香、今年の『M-1』への出場を示唆

 21日、『アメトーーク!』(テレビ朝日系)で「賞レース2本目やっちまった芸人」の完結編が放送された。この企画は、『M-1グランプリ』(同)、『キ...…
写真