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中国に倣え!? ヤバすぎる防犯テック【1】

警察庁も採用するアリババ級の監視技術 世界を“監視する”NECの技術!「顔認証」監視国家へ進む日本

■中国の民族自治区は巨大な収容所!?

今年4月の開催で3回目となった日本の『AI・人工知能EXPO』。多くの日本企業や記者が詰めかけ、顔認証技術などの進化がかなり進んでいることを確認。もはやこれらの技術は、一過性のブームではない。

 アリババだけでなく、BATIS――中国を代表する大手IT・AI企業のバイドゥ、アリババ、テンセント、アイフライテック(音声認識大手)、センスタイム(画像認識大手)――はすべて政府や警察部門に協力している。例えば米ウォール・ストリート・ジャーナル(17年12月4日付)によれば、北京在住の人権活動家・胡佳氏がWeChatペイを通じて「爪楊枝ボウガン」をネットで購入したところ、国家安全保障局の職員がやってきて「これでお前の家の前の監視カメラを破壊しようと思ったのか」と忠告されたという。WeChatを運営するテンセントは、購入履歴などを簡単に当局に手渡していたわけだ。ほかにも深セン市では顔認証による交通違反取り締まりが有名だが、その顔認証技術はタッグを組むセンスタイムのものが利用されている。

 BATISの持っている個人情報―購入履歴、メッセージ内容、財務状況、趣味嗜好、健康医療情報などあらゆるプライバシーはいつでも、中国政府がのぞき見ることができる。加えて顔、虹彩、指紋、声などの生体情報のデータベース化も進んでいる。

「すでに中国では13億人の顔認証スキャンが完了しているといわれていますが、中国政府は15年に発表した『996号通知』で、20年までに全土のネットワーク化を完了させるとしています。英調査会社IHS Markitによれば、18年末時点における中国の防犯カメラの台数は1億7600万(ちなみにアメリカは5000万台)で、20年には4億台を突破すると予想されています。加えて、一部の自治体では警察部門がタクシーに外向きにカメラを設置することを義務付け、走行中の数千台ものタクシーを“動く防犯カメラ”として運用しています。また最新の防犯カメラは、カメラ自体にAIが内蔵され、映像から瞬時に個人の特徴点を検出しクラウドに送信できるので、ほぼリアルタイムで誰がどこを歩いているのかがわかる。政府系ファンドから出資を受けた顔認証企業の雲衆科技(CloudWalk)は、中国の半数以上の省でその技術が採用され、4年間で1万人の犯罪者を逮捕したと報じられました。また最近では、顔だけでなく歩き方で個人を識別する『歩行認証』や『虹彩認証』も広がっています。並行して遺伝子情報のデータベースの蓄積も進めているので、個人のあらゆる情報が政府によってコントロールできる時代が到来しつつあります」(シリコンバレーに住む中国系アメリカ人)

 ディストピアの壮大な社会実験は、すでに新疆ウイグル自治区で行われている。ロイター通信は、中国の顔認証企業がウイグル族の住民250万人の追跡データベースを誰でも閲覧できる状態にしていたと報じたが(2月17日付)、そこには生年月日や住所、職業、顔情報など個人情報に加えて過去24時間に訪問した場所がすべて記録されていたという。同自治区では17年から、「健康診断」と称して約1800万人の遺伝子情報を採取していることを欧米メディアが暴いたが、人間の持つすべての情報が政府によって握られている状態というわけだ。多数のウイグル族が不当に「再教育キャンプ」という名の収容所に入れられているが、自治区自体が、巨大な“収容所”となる日も近いだろう。

 ところが、こうした状況に対して、中国人からは懸念の声はあまり聞かれないのが実情だ。新中国(中華人民共和国)成立以降、アナログな密告制度が長らく続いて慣れっこになっていることが影響しているが、それよりも人民の利便性と安全性が桁違いに向上したからだ。

「都市部に限ってですが、地下鉄内のスリや窃盗なんかがずいぶん減りましたし、交通ルールが改善して車も電動バイクのマナーもよくなった。私の住むマンションの隣の団地でも、以前は不法投棄のゴミだらけで、自転車窃盗団の倉庫になっていて歩けないくらい自転車が山積みだったんです。でも今はすべてなくなってキレイですね。ニセ領収書を売るオバサンや羊串を売るウイグル族の露天商などもいなくなって寂しい気もしますが……。体感治安は確実によくなっています」(上海在住の日本人駐在員)

 現地の日本人でさえ、そう感じているのだ。中国人自身も、プライバシーや自由より生活の質の向上を求めているのかもしれない。

■世界中を監視するNECの防犯テック

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