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韓国芸能人の自殺報道の裏側

女性嫌悪もすごいが男性嫌悪もすごい!? 芸能人を追い込み遺族を愚弄する「韓国ネット民の闇」

ファンに口答えするな!誹謗中傷の裏に独自文化

 まずは、韓国におけるインターネット・コミュニティの成り立ちは、日本と大きく異なるという点から説明していきたい。「クーリエ・ジャポン」(講談社)創刊号より、朝鮮半島担当スタッフとして従事していたライター・翻訳者の金香清氏は、こう語る。

「フェイスブックやツイッターが広く普及される前、韓国のネット界で流行したのが“カフェ”と呼ばれる会員制コミュニティでした。イメージとしては『mixi』のコミュニティに近いですね。代表的なカフェは国産ポータルサイトの『NAVER』や『Daum』で提供されているものです。この2社はヤフーやグーグルといった海外勢力を凌ぐほどで、現在も『NAVER』がポータルサイト国内利用率1位です。理由としては、話者の少ない韓国語は英語などに比べて、利用できるネットコンテンツが少ないという事情があります。そこでNAVERなどは、カフェなどのサービスを増やしたり、カテゴリーを細分化することによって、韓国語コンテンツの検索結果を増やしていったのです」

 NAVERとDaumの設立は共に1999年。同時期の日本では、ネットコミュニティとして匿名掲示板の「2ちゃんねる(現・5ちゃんねる)」が勢力を伸ばしていたが、韓国にも“カフェ”以外にそのような掲示板は存在したのだろうか? 韓国に関する著作を多数持つノンフィクションライターの高月靖氏はこう語る。

「韓国版2ちゃんねると言えるのは『dcinside』という掲示板ですね。もともとはデジカメのレビューを目的とする画像掲示板だったのが、さまざまな方面に拡散して巨大化したという経緯を持っています。韓国で親しまれているネットミームのほとんどは、ここから生まれたと言っても過言ではないでしょう」

 そして、こうした掲示板やカフェで芸能人の話題が上るのは日本と同じだが、ここで注目するべきは、そこには日本とは大きく違う独自のファン文化が出来上がっているということだろう。最新のK-POP事情に詳しい、ライターのDJ泡沫氏は語る。

「韓国の芸能界ではファンカフェと呼ばれる、無料のネットコミュニティの影響力が強いです。ファン個人が開設する私設のファンカフェもありますが、事務所が運営する有料のファンクラブを持っているのは、金を出してでも入りたい人が大勢いるような、ひと握りのグループだけですので、公式のファンカフェも存在します。ファンカフェのメッカといわれているのはDaum。韓国の芸能界ではデビューするとDaumにファンカフェが立つ、というのが定番の流れとなっています。好きなトピックのファンカフェに入会して、掲示板で同好の仲間と語らうといった具合ですが、特徴的なのはファンの間に存在する階級制です」

 ファンクラブの中に上下関係があるのは日本人の感覚からすると不思議に思えるが、ファンカフェの階級制度は韓国でのヲタ活(アイドルオタク活動)において非常に重要な意味を持つという。

「事務所公式のファンカフェには、正確なイベントスケジュールなどが掲載されます。ファンカフェに入会すると、まずはみんな準会員からスタートし、そこから掲示板への書き込み、熱心なファンにしかわからないクイズに正解するなどして、正会員を目指していくことになります。なぜ、正会員を目指すのかというと、アイドル本人が降臨することもある公式カフェには、正会員しか見られないコンテンツがありますし、音楽番組の公開収録に参加するためです。韓国のヲタ活でもっともポピュラーなもののひとつがこの公開収録なのですが、これに参加するために番組側から提示される最低条件にたいてい“ファンカフェの正会員”であることが含まれるのです」(同)

 正会員になるだけでもハードルが高そうなのに、そこからさらに先着順の公開収録に臨む……このような“ガチ勢”がファンカフェの中核を担っており、その結束力や統率力は、かつて日本に存在した“親衛隊”を思わせる。ただ、その分「自分たちが支えている」という自負も強いようで、中には暴走してしまう者もいる。

「そもそも、グループのファン同士が対立しており、合同ライブなどではライバルグループに対してブーイングしたりということも以前はありましたし、ファンカフェの逆であるアンチカフェも存在します。また、韓国のアイドルへの距離感はファンがオッパ(お兄さん)やオンニ(お姉さん)と呼ぶように、日本の感覚からするとかなり近いものに思えますし、アイドルのことを公人のように見る傾向が強いと思います。これは、アイドルが何かやらかしたときに公人のような対応を求めるという意味で、ファンの要求には基本的になんでも応えるべき、という考えが強いようです。また、住所やパスポート番号など、プライバシーに関わる情報なども密かにネットに流れますし、ファンに対して文句を言うことは許されない空気があるんです。例えば昨年、iKONのメンバーであるジュネが、インスタグラムで北野武のサインの写真を投稿しました。するとファンから『北野は右翼的な思想をもつ日本人だ、そんな人物を好きだなんて公言しないほうがいい』と、苦言を呈されたんですが、彼はそこで『私は彼の映画のファンであり、思想は関係ない』といった趣旨の“反論”を行ったのです。すると、これが大炎上。批判する側のトーンが『右翼思想の日本人が好きだなんて』から『心配してアドバイスをしたファンに反論するなんて』に変わっていったのが印象的でした。最終的にジュネは手書きの謝罪文を投稿して収束しました」(同)

 このように理不尽なバッシングは日常茶飯事で、ファン=親、アイドル=子、といったような力関係が窺える。芸能人が“問題行動”を起こせば、ファンは即座に掌を返し、事務所も手がつけられないほどの制裁が加えられるのだ。

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