日刊サイゾー トップ > 海外  > 香港デモ、きっかけは痴情のもつれ

「元交際相手との性行為動画を見せられ……」香港デモの発端となった殺人事件の知られざる動機

陳と、被害者の潘さん

 香港立法会(日本の議会に相当)は23日、大規模デモの発端となった逃亡犯条例改正案を正式に撤回した。ただ改正案の撤回は、デモ参加者が求める「5大要求」の1つにすぎず、抗議活動が収束する可能性は低い。

 そもそもこの改正案が持ち上がったのは、ある殺人事件がきっかけだった。

 香港人男性の陳同佳(チャン・トンガイ/20)は昨年2月、恋人の潘暁穎(プン・ヒウイン/20)さんと共に台湾へ旅行に出かけた。ところが最終日の朝、ホテルをチェックアウトのは陳ひとりだった。実はこの日の未明、部屋で潘さんを殺害し、その遺体をスーツケースに入れてホテルを出た後、遺体を公園の茂みに遺棄して香港に帰国したのである。

 台湾からいつまでたっても帰ってこない潘さんの安否を心配した両親は陳を問い詰めたが、陳は「台湾で潘さんと口ゲンカとなり、その後はどこに行ったかわからない」とウソをついていた。

 そこで両親は香港の警察へ通報。しかし、3週間たってもなんの情報も得られなかったことから、3月11日になって台湾の警察へ通報。現地警察が捜査したところ、ホテルの監視カメラには最後の晩に2人が一緒に部屋に入ったところは映っていたが、その後、潘さんが部屋から出た形跡はなかった。

 陳は犯行後、潘さんのクレジットカードを使って台湾で2万台湾元(約7万1,000円)、香港に帰ってから3回に分けて計1万9,200香港ドル(約27万5,000円)を引き出しており、それ以外にも潘さんのデジカメやiPhoneなどを盗んでいた。この件で、香港警察は3月13日に陳をマネーロンダリング(資金洗浄)の罪で逮捕。その際の取り調べで、陳は潘さんを台湾で殺害し、遺体を公園に捨てたことを自供した。

 その自供を元に台湾の警察が公園を捜索したところ、潘さんの遺体を発見。すでに1カ月近くがたっており、遺体は腐敗がかなり進んでいたが、検視の結果、潘さんは妊娠していたこともわかった。

 陳の供述によれば、台湾滞在の最終日の未明、ホテルで潘さんから「元交際相手の男性の子どもを妊娠している」と明かされ、性行為の動画を見せられた挙げ句に口論となり、かっとなって潘さんの首を絞めて殺害に至ったという。若気の至りともいえる痴情のもつれが、香港を大混乱に陥れているデモの発端だったのだ。

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