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養子縁組、ハンセン病、虐待……NHK『ノーナレ』に見る、家族のカタチ

兄の子どもを引き取り、養子に

「最終的には、そんな親のところに来る子どもはかわいそうだって。産むか産まないか悩んでいる親のところに来るのはかわいそう、ましてや経済力のない親のところに来る子どもはかわいそう。それを考えたら、次にちゃんとした相手との間に子どもが生まれたら、その子を2人分愛しなさい。けじめをつけなさいって」

 子どもを産めなかったからこそ、鬼となって自分を諭してくれた母親。この件をきっかけに、2人は本当の意味で親子になったという。

 そんなマユミさんは現在、夫と3人の息子たちと一緒に幸せに暮らしている。長男はマユミさんの実兄の子どもだが、DVが原因で離婚し、両親は失踪。マユミさん夫婦が引き取り、養子にしたという。長男は、母親と別の男性の間にできた子どもだったため、実際は叔母でもなんでもないが、「この子を引き取りたい」というマユミさんに、夫も同意してくれた。

「ワケありってちょっと傷がついてる、規格外なだけ。だけど中身は変わらない。ワケあり大歓迎です」(マユミさん)

 養子縁組、ハンセン病、虐待という重いテーマながら、全編から伝わってくるのは悲壮感ではなく、家族の温かさと強さだ。

 特に、病気の影響で指が変形してしまったきみ江さんが、慣れた様子で包丁を持ち、丁寧に皮をむいているシーンは印象的だ。

 きみ江さんは言う。

「私はよく食べる物に例えるんだけど、同じりんごでも、お店に売られてるピカピカの物はりんごって呼ぶけど、木から落ちちゃったりしたら“ワケあり”とか言われる。木から落とされて蹴飛ばされて踏まれてるような果物があるとするなら、私はそういう人間かもしれない。でも、踏まれても蹴られても私はりんごなんだ。人が食べてくれるまで頑張ろうって、そう思うから。りんごはりんごなんだ。人間は人間なんだって」。

 一方、マユミさんは、「もし家族を色に例えるならレインボー、虹そのもの」と笑う。

 血のつながりだけが家族ではない。それぞれ事情を抱えた他人同士が型を寄せ合い、家族を築き上げることもできる。自分が人から傷つけられ、”キズモノ”として扱われてきた分、誰にでも優しくあろうとするきみ江さん、そして杉山家には、笑顔があふれていた。

最終更新:2019/11/27 09:48
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