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『灘校物語』出版記念特別コラム

お上からばくちの権利を得て稼ごうとする、頭を下げることを忘れた政治家たち

日本は民主主義国などではなく、世襲のほうが偉い封建国家

 ついでに、内閣改造で西村康稔なる私の灘校の後輩も大臣に選ばれた。どういうつてか、私が灘校の先輩ということで、自民党の機関誌で彼と対談をすることになったが、20分ほど遅刻してきて、まともなわびもないし、その後の態度もひどいものだった。

 こんな一般人の心理学がわからない人間に、経済再生ができるとはとても思えない。

 別の灘の後輩の鈴木寛なる男も、先輩に対する口の利き方がわからないようだった。文教行政をやるならもう少し日本語を覚えろと言いたいが、国会議員という地位につくと、先輩か後輩かより、国会議員か一般人かという区分けをするようだ。

 彼らに限らず、頭を下げたことがない、頭を下げることが嫌いな奴が、当たり前に政治家になる時代になった。

 小泉進次郎だって、菅氏とかには頭を下げるのだろうが、大衆には上から目線なのに、タレント性が強いので、人気はすごい。

 前から言っているように日本は民主主義国などではなく、世襲のほうが偉い封建国家なので、威張るタイプの政治家のほうが、腰が低い人より票が入るのだろう。

 大阪でも庶民派から、中国や韓国に頭を下げる必要のないというような偉そうな奴が、政治家でも文化人でも人気を得ている。

 公務員にも威張り散らして、お前らが税金の無駄だと言い放っているが、それで彼らのモチベーションが上がるのだろうか? 私が子どもの頃は、大阪商人の血を継ぐ祖母から「頭を下げるのはタダ」と散々聞かされた。

 そのほうが経済がうまくいくなら、気に入らない客でも頭を下げて、帰ってからアカンベーすればいいという本音も聞いた。今の日本の政治家にはそれができない。

 大阪では、商人でなく、お上から仕事をもらう土建屋の息子が府知事から市長になった。

 市長から府知事になった男も、頭を下げる必要のない弁護士先生だ。その親玉の橋下という人も弁護士先生。それを引き上げたたかじんとかいう歌手はええとこのボンボン。今の大阪文化人の代表も作家先生。

 自分たちが頭を下げて商売繁盛というより、お上からばくちの権利を得て稼ごうとする魂胆がいやらしい。大阪も終わりに近い。

 もっとも、日本のトップが、地元に年に一回しか帰らず、有権者にすらろくに頭を下げないで済むボンボンだ。アメリカのトップには、オバマとトランプという、政治信条がまったく違う人間にヘコヘコできる立派な方ではあるが。

和田秀樹(わだ・ひでき)
1960年大阪府生まれ。東京大学医学部卒。国際医療福祉大学心理学科教授。和田秀樹こころと体のクリニック院長。「I&Cキッズスクール」理事長。一橋大学経済学部非常勤講師。製作・監督した『受験のシンデレラ』はモナコ国際映画祭で最優秀作品賞(グランプリ)を受賞し、『「わたし」の人生 我が命のタンゴ』もモナコで4部門受賞、『私は絶対許さない』でインドとニースの映画祭で受賞するなど、映画監督としても活躍している。

●『灘校物語』(和田秀樹・著/サイゾー・刊/定価1600円+税)
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最終更新:2019/12/20 16:17
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