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モンスターアイドルレビュー6

クロちゃんはWACKに“使われた”だけ? 水ダウ「豆柴の大群」につきまとう不安要素

“プロデューサー・クロちゃん”という最大の武器を失った

 12月19日よりタワーレコードで発売中の「豆柴の大群」デビューシングル「りスタート」には、バリエーションがあった。「クロちゃんプロデューサー続行ジャケ」「クロちゃんプロデューサー解任ジャケ」「クロちゃんプロデューサー解任&罰ジャケ」の3種類である。結果、最高売上枚数を記録したのは「解任&罰ジャケ」の3万1,736枚だった。こうして、クロちゃんのプロデューサー解任は決定した。

 着地点としては、まさにバラエティの王道だ。しかし、SNSではクロちゃんの解任を惜しむ声が多い。彼のプロデュースセンスを評価する視聴者は意外に多く、「スキップしながら唾かけて」というクロちゃんの作詞能力を、あの川谷絵音も高く評価していたほど。彼が手掛ける2曲目も、なんだかんだ聴いてみたかった。

 クロちゃん解任が決定した瞬間、豆柴の大群のメンバー全員は喜びをあらわにした。でも、喜んでばかりではいられない。この日、ステージでデビュー曲「りスタート」が披露されたが、正直、声量は頼りなかったし、ダンスもいまいちだった。豆柴の大群のライブパフォーマンスは、まだ及第点には程遠い。

 なのに、“プロデューサー・クロちゃん”という最大の武器を彼女たちは失ってしまった。「解任&罰ジャケ」を選んだ購入者は「クロちゃんに虐げられるメンバーがかわいそう!」という感情がモチベーションだったはず。つまり、デビュー1週間後で早くもハッピーエンドを迎えている。クロちゃん解任というオチが付けば、満足してグループから離れてしまう層ということだ。事実、「りスタート」のCDがメルカリに大量出品されている現状がある。「好きの反対は無関心」という道を豆柴の大群は行ってしまわないか? この日が豆柴の大群のピークにならないか? 今、彼女たちにはたくさんの不安材料がつきまとっている。

 罰ゲームを受け終えたクロちゃんが吐き捨てた「俺いなくなったらお前ら潰れるからな!」の一言は、恐ろしいほどに核心を突いていた。だって、クロちゃんありきのグループだったから。今までの合宿と同じく最後の最後に正論を言うところが、あまりにもクロちゃんらしい。

 付け加えると、クロちゃんへの罰ゲームもいまいちだったと思う。逆さ吊りにされたクロちゃんが、氷の入った冷水と温水へ交互に入れられる拷問。「ひどい」「笑えない」「BPO案件」といった非難の声が数多く上がっているが、最大の問題は「誰もが容易に予想できるオチに着地した」ことだと思う。凡庸な罰だった。こんなエンディングなら、クロちゃんにプロデューサーを続行させるto be continuedのほうがよっぽど良かった。

 ただ、体を張って拷問を受けたクロちゃんには「ご苦労さま」の気持ちしかない。ヒールの役割を全うし、過酷な罰ゲームに耐え、テレビのおもちゃにされながらキャラを崩さなかったプロ根性。放送直後、クロちゃんのTwitterアカウントはなんだかんだで視聴者からの優しげなリプライであふれていた。

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