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映画『パラサイト 半地下の家族』公開記念Wインタビュー

格差社会をエンタメ化した『パラサイト』が話題  “映画至宝”ポン・ジュノ&ソン・ガンホが来日!

文=長野辰次(ながの・たつじ)

ついに見つかった『殺人の追憶』の真犯人

――03年に公開された初タッグ作『殺人の追憶』についても、お聞きしてよいでしょうか。同作の題材となった「華城連続殺人事件」は軍事政権下で起きた未解決事件として知られていましたが、19年9月に真犯人が見つかったというが日本でも報じられ、驚きました。『殺人の追憶』が大ヒットしたことで、事件が風化されず、真相究明につながったのではないでしょうか?

ソン&ポン (お互いに顔を見合わせる)

ポン ガンホ先輩からお願いします。

ソン 韓国人は、あの未解決事件を忘れることができずにいたんだ。潜在意識の中に、ずっと刻み込まれていたんだよ。『殺人の追憶』が事件の真相を究明したわけではないけれど、ポン監督が撮ったあの映画が高く評価され、強烈な印象を多くの人に与えたことで、みんなはっきりとあの事件の記憶をとどめ続けることができたんじゃないかな。あの映画が、現実世界と韓国人の記憶との一種の媒介の役割を果たしたとはいえると思うよ。

ポン 『殺人の追憶』のシナリオは01年から02年にかけて、いろんな人たちを取材して書き上げました。「華城連続殺人事件」を担当した刑事や現場周辺に暮らしていた住民たち、事件を追っていた記者など、大勢の人に会って、事件の詳細を調べたんです。でも、一番会いたい人には、そのときは会うことができませんでした。それが事件の真犯人です。彼はいったいどんな顔をしているんだろうと考え続け、シナリオを書いていた頃は僕の夢の中に犯人が現れたほどです。一番会いたい人間に会うことができない。それで『殺人の追憶』のラストシーンは、ガンホ先輩が演じるパク・トゥマン刑事がスクリーンから客席をのぞき込むようなカットにしたんです。真犯人はこの映画が公開されれば、必ず映画館にまで足を運んで観るだろう。そのとき、スクリーン越しに刑事と真犯人の目が合うようにと考えたんです。事件が起きてから30年以上たって、ようやく真犯人が見つかったというニュースには僕も驚きました。そのとき、真犯人イ・チュンジェの顔を僕もニュースで見ることになりました。ずっと確かめたかった真犯人の顔を見たときの心境は、あまりにも複雑すぎて言葉にするのはちょっと難しいですね。
(撮影=尾藤能暢、取材・文=長野辰次)

※華城連続殺人事件…1986年から91年にかけて、韓国の華城市周辺の農村地帯で10人の女性の強姦遺体が発見された事件。遺体には両手がストッキングやブラウスで縛られるなどの共通点があった。韓国史上最悪の未解決事件として知られていたが、最新技術によるDNA鑑定によって、2019年9月に義妹殺害で釜山刑務所に収監中だった56歳の男イ・チュンジェが真犯人だと確定。本人は韓国警察が把握していなかった殺人事件も含めて自白したが、すでに時効が成立していたため、公訴することはできずにいる。

『パラサイト 半地下の家族』
監督/ポン・ジュノ 脚本/ポン・ジュノ、ハン・ジヌォン
出演/ソン・ガンホ、イ・ソンギュン、チョ・ヨジュン、チェ・ウシク、パク・ソダム、イ・ジョンウン、チャン・ヘジン
配給/ビターズ・エンド PG12 1月10日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー
(c)2019 CJ ENM CORPORATION, BARUNSON E&A ALL RIGHTS RESERVED 
www.parasite-mv.jp

●ポン・ジュノ
1969年大韓民国大邱広域市生まれ。ぺ・ドゥナ主演作『ほえる犬は噛まない』(00年)で監督デビュー。ソン・ガンホを主演に迎えた『殺人の追憶』(03年)は韓国だけで520万人を動員する大ヒットとなった。同じくソン主演作『グエムル 漢江の怪物』(06年)は国内動員1240万人という記録的大ヒット。その他の監督作に『母なる証明』(09年)、『スノーピアサー』(13年)、Netflixオリジナル映画『オクジャ okja』(17年)がある。オムニバス映画『TOKYO!』(08年)では“引きこもり”をテーマにした香川照之、蒼井優出演作『シェイキング東京』を東京で撮影した。『パラサイト 半地下の家族』は韓国映画として初めてカンヌ国際映画祭パルムドールを受賞。

●ソン・ガンホ
1967年大韓民国金海市生まれ。舞台俳優としてキャリアをスタートし、ホン・サンス監督作『豚が井戸に落ちた日』(96年)で映画デビュー。主な出演作に『グリーン・フィッシュ』(97年)、『クワイエット・ファミリー』(98年)、『シュリ』(99年)、『JSA』(00年)、『復讐者に哀れみを』(01年)、『シークレット・サンシャイン』(07年)、『渇き』(09年)、『弁護人』(13年)、『タクシー運転手 約束は海を越えて』(17年)ほか多数。ポン・ジュノ監督作への出演は『殺人の追憶』『グエムル 漢江の怪物』『スノーピアサー』に続いて4度目となる。

長野辰次(ながの・たつじ)

長野辰次(ながの・たつじ)

フリーライター。著書に『バックステージヒーローズ』『パンドラ映画館 美女と楽園』など。共著に『世界のカルト監督列伝』『仰天カルト・ムービー100 PATR2』ほか。

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最終更新:2020/01/08 09:38
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