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テレビウォッチャー・飲用てれびの「テレビ日記」

広末涼子とバービーの「自分の体を取り戻す抵抗」

広末涼子

テレビウォッチャーの飲用てれびさんが、先週(1月19~25日)に見たテレビの気になる発言をピックアップします。 

広末涼子「それはたぶん、ただの中年太りかもしれないので」

 1980年生まれ、高知県出身。14歳で芸能界にデビューした後は、ポケベルのCMが話題となり人気に火がつく。ドラマや映画などへの出演も相次ぎ、歌手としてもヒットを記録。大学への入学と中退、結婚や再婚など私生活も注目され、ワイドショーや週刊誌で「奇行」「プッツン」などと取り上げられる時期もあった。映画『おくりびと』の国際的な評価などを経て、現在は女優として確かなポジションを築いている。

 そんな広末が、25日の『サワコの朝』(TBS系)で語る。

「やっぱりお仕事を辞めたくなったときはあって。このまま芸能界を続けていても、限界だって思っていたので」

 広末いわく、芸能界に入ったのは、小さいころから夢見た世界だったからだ。テレビを見るのが好きで、自分も出る側に回りたいと思った。しかし、デビューしてすぐに多忙を極める生活に移行する中、仕事を楽しいと感じることが少なくなった。インプットの時間もとれなくなり、成長しているのか不安になった。このまま女優を続けるのを限界に感じた。

 20歳のころにフランス映画『WASABI』に出演した。この海外経験も、辞めたいという思いを後押しした。

「日本の芸能界の矛盾みたいなものも、すごくやっぱり感じて。すっごく言い方悪いんですけど、汚れた世界に見えてしまって、芸能界自体が」

 どうすれば人に迷惑をかけずに立ち去れるか。出した答えは――。

「故意に太る。それはすごい、誰も傷つけずに仕事がなくなるなっていう、すごい大発見だったんですけど」

 当時は多くのCMも抱えていた。太れば自然に契約も打ち切られると思った。結果、体重は15kgほど増えたという。

「ラーメン、ビール、ラーメン、ビール、炭酸、クッキー、炭酸、クッキー。全然好きじゃなかったんですけど、それを頑張って」

 広末は14歳でのデビュー早々に、その顔と名前が全国に知れ渡っていた。人気絶頂だった大学入学のころには、自分の名前が独り歩きし、「自分が取り残されている」ような感じもあったという。

 周囲に多くのスタッフがおり、お金もたくさん動いている中で、簡単に「辞める」と口にするのは難しいのだろう。”広末涼子”のイメージが自分の手元から離れるなか、当時の彼女が自由にできたのは、自分の体だけだったのかもしれない。生身の自分から離れて商品となった”広末涼子”の主導権を、その商品価値を傷つけることで取り戻す。評価の揺れが激しい広末に関しては何が事実なのかよくわからないし、知れるわけでも知りたいわけでもないけれど、一連の語りには、社会の視線が交錯する自分の体を舞台にした、ひとりの女性の抵抗を読み込んでしまう。

 そんな想像もまた、散逸する“広末涼子”のイメージのひとつかもしれない。

 番組では、3人の子どもを持つ母親として、子育てと仕事に奔走する現在の生活も語られた。エンディングで阿川佐和子に「もう急に太ったりしませんか?」と尋ねられ、広末は答えた。

「それはたぶん、ただの中年太りかもしれないので(笑)」

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