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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】Vol.572

のん、6年ぶりの実写映画で見せた多彩な表現力 スターにはなれない人々の哀歓劇『星屑の町』

文=長野辰次(ながの・たつじ)

のんをヒロイン役に迎えた映画『星屑の町』。25年間にわたって上演されてきた舞台が、のんが参加することでオリジナルの展開を見せている。

 地に足を着けて生きていくことができない人々がいる。旅の生活は楽しいが、将来の保証はまったくない。そんなドサ回りを続ける、売れない男性コーラスグループの哀歓を描いた水谷龍二作・演出の舞台「星屑の町」シリーズは1994年に初演されて以来、約25年間にわたって上演を重ねてきた。大平サブローの芸達者さ、ラサール石井と小宮孝泰の絶妙な笑いのアンサンブル、渡辺哲、でんでん、有薗芳記の名バイブレイヤーぶりが楽しめる舞台だった。主に小劇場で上演されてきた愛すべきオッサンたちの世界だったが、ヒロイン役にのんを迎えたことで、華のある音楽映画となって甦った。

 今回の映画『星屑の町』は、シリーズ7作が上演された舞台版の第1作『星屑の町 山田修とハローナイツ物語』をベースにしたもの。レコード会社で演歌部門を担当していた修(小宮孝泰)はリストラに遭い、飲み仲間である市村(ラサール石井)、込山(渡辺哲)、五郎(有薗芳記)、西(でんでん)を誘って、歌謡コーラスグループ「ハローナイツ」を結成。ボーカルには大阪の遊び人だった真吾(大平サブロー)をスカウトした。オリジナル曲は「MISS YOU」の1曲だけ。温泉旅館の宴会場で、営業活動を続ける日々を送っていた。

 冴えないオッサンたちの旅の暮らしに、大きな転機が訪れる。修の故郷で凱旋リサイタルを開くため、ハローナイツは東北の田舎町へ。リサイタルの前夜、お調子者の市村が地元のスナックで働く東北なまりの強い女の子・愛(のん)が歌手志望だと知り、メンバーに誘ったのだ。酒の席での軽口を信じた愛は、公演直前の楽屋へと現れた。追い返すつもりで試しに1曲歌わせてみたところ、思いのほか歌唱力がある。ステージ映えもしそうだった。本人の意思も固い。愛を新メンバーに迎え入れるかどうか、ブレイクするチャンスに恵まれなかったオッサンたちは右往左往することになる。

 のん演じる愛がハローナイツのメンバーに認めてもらうために歌うのが、藤圭子(宇多田ヒカルのママ)が1969年にヒットさせた「新宿の女」。“怨歌の女王”と呼ばれた藤圭子のデビュー曲を、のんは独特のハイトーンボイスで歌い上げる。「バカだな バカだな 騙されちゃって~」とギターで弾き語るのん。実写映画への出演は6年ぶりだが、その分溜め込んでいたエネルギーを炸裂させたような熱い歌いっぷりだ。ハローナイツのメンバーならずとも、思わず聴き惚れてしまう。

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