日刊サイゾー トップ > 社会  > モラハラ妻は被害者!?
「モラハラ」のトリセツ第6回

モラハラ妻は被害者!? モラハラ問題をこじらせる「ジェンダーバイアス」(前編)

文=中村カズノリ(なかむら・かずのり)

イメージ画像

※これまでの話はこちらから

 DV・モラハラを理解する上で重要なことのひとつに、男性が加害者/女性が被害者とは限らない、というものがありますが、この点は皆さんに非常に理解されづらい部分でもあります。

 当事者ですら、自分は男だから/女だから、そんなはずはないと思い込んでしまっている場合も少なくありません。

 事件化しているものの、認知件数に少なからず男女差があるのは確かです。それゆえに可視化されず、女性加害者の苦悩がなかったことにされがちな事実を、見逃してはならないと思っています。

 DV・モラハラの被害者は当然のことながら、加害者もつらい。加害者が抱えている問題を解きほぐし、脱暴力化していくのが肝要で、そこに男女の違いはありません。

 今回お話しするのは、女性モラハラ加害者のNさん(30代)について。結婚3年目で、夫のSさんとはマッチングサイトで知り合って結婚。子どもはいません。

 結婚して1年ほどたってから、自身のモラハラ的な一面に気づき始めたというNさん。夫に対し「怒鳴りつける」「ものを投げつける」「激しく人格を否定する」等の行為を頻繁にしてしまうといいます。

 状況だけを聞けば確かに「DV」や「モラハラ」と直結する印象が強いですが、これだけでは問題の根っこがどこにあるかはわかりません。そこで、Nさんにさらに深く話を聞きました。

 Nさんは、今の状況はよくないことに気づいているのに、夫にどうしても腹を立ててしまい、加害行為をやめられないのがつらい。なんとかしたいとDV更生のためのプログラムを行っている民間団体のいくつかに問い合わせてみたところ「女性加害者は対象としていない」と言われ、さらには「あなたはDVを『させられている』のだから、被害者の可能性が高い。男性優位社会なのだから、きっと夫から見えないDVを受けているのよ!」など、「あなたは悪くない」と言わんばかりの話の流れに疑問を感じてしまったそうです。

 残念ながら、このような対応は支援者や支援機関によっては十分にありえることで、「女性=被害者」でしかないという先入観により、問題を正しく捉えられないがゆえに、女性が加害者になってしまうパターンが見過ごされてしまいがちです。同様に、男性被害者に対する世間の目も非常に偏ったものになってしまうことが多くあります。「男のくせに被害者ぶるなんて。きっと本性は加害者に違いない!」や「女は男に力で勝てるわけがない、ゆえに被害者に決まっている」というジェンダーバイアス(性的な偏見)はDVやモラハラという問題に限らずさまざまな場面に持ち込まれ、それが当事者の問題をややこしくしてしまっています。

 モラハラの加害・被害当事者の話を聞く際は、当事者が抱えている問題について、ジェンダーバイアスに引っ張られず、また、善悪で判断しないことが肝要です。安易に「あなたは悪くない! 悪いのは相手だ」とは、とても言えません。でないと、当事者自身が問題の根っこに気づくことができず、傷つけ合う関係がこじれてしまうことになりかねないからです。

12

モラハラ妻は被害者!? モラハラ問題をこじらせる「ジェンダーバイアス」(前編)のページです。日刊サイゾー芸能最新情報のほか、ジャニーズ/AKB48/アイドル/タレント/お笑い芸人のゴシップや芸能界の裏話・噂をお届けします。その他スポーツニュース、サブカルチャーネタ、連載コラムドラマレビューインタビュー中韓など社会系の話題も充実。芸能人のニュースまとめなら日刊サイゾーへ!

ページ上部へ戻る

配給映画

トップページへ

アイドル・お笑い・ドラマ…ディープなエンタメニュースなら日刊サイゾー

  • facebook
  • twitter
  • feed
イチオシ企画

庄村聡泰(ex-[Alexandros])が乃木坂46から迷作映画まで斬る!

庄村聡泰(ex-[Alexandros])が、乃木坂46から迷作映画までさまざまなカルチャーを語る不定期連載
写真
特集

『旅サラダ』KAT-TUN・中丸を見守りたい

『朝だ!生です旅サラダ』の「発掘!ニッポン なかまる印」リポーター・中丸雄一の奮闘記
写真
人気連載

小栗旬が事務所から独立決意か

 自身のYouTubeチャンネルで過去に交友...…
写真
インタビュー

『満州アヘンスクワッド』インタビュー

関東軍の兵士として満州にやってきた日方勇(ひがた...…
写真