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バカリズムのライブ動画も手掛けた!

0円で息子がリュウソウジャーに変身…貧乏パパ芸人の“親心に溢れた異色YouTube動画”に注目

『あらびき団』で活躍していた“渡辺ラオウ”が……

 もしかしたら、『あらびき団』(TBS系)で活躍していた“渡辺ラオウ”という名前のほうがピンとくる人もいるかもしれない。「逆立ちラーメン」「熱々Tシャツ芸」といった体を張ったネタでインパクトを残した、あの体当たり芸人だ。

 彼がYouTubeにアップしたその動画をひと目見れば、とにかく楽しそうに暴れる男の子に、だれもが思わずほっこりとすることだろう。

 その一方で筆者は、ひとつの違和感を感じた。これだけハイレベルな編集とは裏腹に、動画で1発当てて収益化しようという“芸人の欲”がまったく見えなかったからだ。

 お手製の変身セットを玄人はだしのCGでかっこよく演出するというアイデアはウケそうだし、稼ぐために息子を利用していると思われたら炎上もちらつくものの、純粋に刀を振って楽しむ当のこたろうくんを動画で見れば、その心配もなさそうに思える。

 そして、タイトルは「リュウソウジャー」のみ。「完全再現!0円でリュウソウジャーに変身してみた!」のようなユーザーの視聴を煽るキャッチはない。これだけ編集に凝っているのに、オープニング映像もチャンネル登録やいいねを促すようなエンディングもない。芸人YouTube全盛の時代に、ビジネスとしてのロジックは完全に無視している。その結果、1カ月で再生回数は200回ほどに甘んじてしまっている……。

 だが今回、本人に取材を申し込んでみると、それらの違和感は早々に消えた。そして、この動画に込められた複雑な親心を知ることとなった。

「基本的にテレビ番組は好きなものを見せてるんですが正直、貧乏なのでリュウソウジャーが公式で発売しているオモチャの存在には気づいて欲しくなかったんです。以前はずっと棒一本で遊んでたんですけど、たぶんどこかで本物を見てしまったんでしょうね。それで実物を欲しがられてしまって。

 リュウソウジャーって5人それぞれ違う武器を持ってるんですけど、全部買い揃えたとしても、6人目、7人目と新キャラが出てくるんですよ! しかも、みんな“伝説の武器”に持ち替えたりするんです。ロボットもそれぞれあって、合体して大きなロボになるし。ひとつくらいは買ってあげられるかもしれないけど、それを覚えてしまったら、そのあとねだられても悲しい思いをさせるだけになっちゃう……。だったらせめてちょっとでもいい気持ちになって欲しいと思って、この変身動画を作りました。仮面とベルトとコスチュームのギザギザはダンボールとかチーズの空き箱を使って、刀だけ100円ショップで買ったやつです」

 リュウソウジャーの公式のオモチャを振るう動画はYouTube上で散見される。ただ本家さながらに変身できるものはなかった。そこで、動画の中で本物のリュウソウジャーになれたら喜んでもらえると思い、制作に至ったのだという。

「もともと、子どもの動画はよく編集していて、家族や親戚だけで見られるようにYouTubeに限定公開でUPしていたんですよ。でも今回の動画がすごく上手に出来てしまって。たぶんうちの息子の変身動画は、“本物の次にかっこいい”んです。ほかの子には真似できない。息子がそういうほかの子の動画をよく見ていたのもあって、そこに自分が並んでいたら喜ぶと思って公開してみました。あれを見て、親戚の誰かが本物を買ってくれないかなという狙いも少しだけありましたけどね(笑)」

 “芸人のYouTube動画”という先入観で、ビジネス的思考を探りにいった自分の卑しさが少し恥ずかしくもなる。最初に感じた温かなホームビデオ感、それは本当にただただ親の想いに溢れたホームビデオから放たれていたものだった。

 そしてそんな親心は、おかゆ太郎の幼少期の経験にも紐付いていた。

「あまり物を買ってもらったことはなかったですね。実家は食堂を経営してたんですけど、父親も母親も朝から晩まで働いてるし休みもなくて、遊園地に連れて行ってもらったり、旅行に行ったりすることもなかったんです。幼いながら『うちはものすごく貧乏なんじゃないか?』と思ってて、オモチャを欲しがることはなかったですね。実はお店がすごく流行っててバブルだったから結構お金があったことをあとで知りましたけどね(笑)。

 息子にはそんな思いをさせたくないという気持ちももちろんあります。でもオモチャひとつ買えなくても、『楽しむ方法はこんなにあるんだよ』ってことも教えてあげたいです。一緒に変身セットを作るのも楽しんでくれたし。それで『今度は自分で何かを作ってみよう』っていう広がり方もあるかもしれないし……あまりなんでもダメとは言いいたくないので、『でも、こんなことは出来るよ』っていうのは教えてあげたいですね」

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