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オズワルド伊藤のツッコミ技術の真髄を見た!元芸人が「M-1 2021」全ネタレビュー

文=檜山 豊(ひやま・ゆたか)

オズワルド伊藤のツッコミ技術の真髄を見た!元芸人が「M-1 2021」を全ネタレビューの画像1
「M-1グランプリ2021」公式サイトより

 12月も半ばを過ぎると世間はクリスマス一色となり、街は大忙しとなる。しかしそんなムードとは一線を画す、肌寒い季節に熱い戦いが繰り広げられる場所がある。それはM-1グランプリだ!

 毎年恒例となったお笑い界最大のスター発掘イベント「M-1グランプリ2021」が開催されたが、今大会は例年とは違う様相を呈していた。

 決勝に選ばれたコンビは全部で9組、その中の5組が決勝戦初進出。まるでM-1グランプリの若返りを望んでいるかのように思えた。

 M-1グランプリ全体の振り返りはまた別のコラムでやるとして、今回は「M-1グランプリ2021」決勝戦に進出したコンビの全ネタを、元芸人として分析しレビューしていく。

 なるべく前情報を入れずにネタを見ているので、初出場のコンビなどについて知らない点が多いが、そこはご了承いただければと思う。

1組目 モグライダー「美川憲一さんは気の毒」

 出てきた瞬間どっちがボケでどっちがツッコミかが一目瞭然。しかも動き、喋り方、声すらもボケとツッコミで分かれている。最近は見ただけではどちらがボケでツッコミかわからないコンビが多い。そんな中、ここまでハッキリしているコンビは希少で、かなり好感が持てる。

 出囃子の音楽がなり、登場する寸前ツッコミの芝さんはまるで不良のようにズボンのポケットに手を入れていた。普通の舞台袖ではない、M-1グランプリの登場シーンでだ。

 慌ててポケットから手を出したように見えたが、明らかに普段のやんちゃな素行が垣間見えた。真面目な芸人が増えている昨今、こんな不良に見える芸人はそう多くない。僕が芸人時代には良く見た光景で何とも懐かしく思えた。

 そして階段を降りて、漫才特有の自己紹介。ここでもこのコンビの素晴らしさを見ることが出来た。

 それは自己紹介をしている最中、ボケのともしげさんはお辞儀をしたまま一切頭を上げなかった。そして自己紹介が終わり、自分のボケのセリフを言うときに初めて頭を上げた。つまりボケがボケ以外のセリフを言わないのだ。

 これだけ聞くと何が素晴らしいのかわからないかもしれないが、ボケがボケ以外のセリフを言わないというのは実は、かなり難しい。ネタ中に人を笑わす手段は2つある。それはボケとツッコミだ。たまにボケの人がアドリブでツッコミ、笑いをとるパターンがあるが僕はそれが好きではない。ボケがツッコミで笑いを取ると、ツッコミは何もやることがなくなってしまうのだ。だからボケはツッコミを浮かべる暇があったら、ボケを考えろというのが僕の考えだ。まさにそれを体現してくれているようなコンビに見えてとても嬉しかった。

 いざネタが始まると美川憲一さんの「さそり座の女」をテーマにした漫才を繰り広げ、基本的には面白かったが、少しだけ残念なところがあった。それはボケのともしげさんが話を聞いている時に無言だったところと、合いの手がアドリブであったところだ。

 まず無言だったところはなぜいけないかというと、大声で元気のあるキャラクターはずっと元気がなくてはならない。なので「うん」でも「そう」でもいいので、とにかく声を出させるのだ。そうすると静かになるタイミングがなくなるので、空気感がひたすら上のテンションで保つことが出来る。

 さらにともしげさんのような芸人はアドリブを一切禁止しなければいけない。ボケろという意味ではなく、ただの合いの手を入れるようなシーンでもなるべくキャラクターにあったセリフを考えて、それを発したほうが本人のテンションが下がったように見えない。

 それともうひとつ残念だったところは2人の声量の差を計算しきれていなかったところだ。ともしげさんのほうが圧倒的に声量が大きい。お客さんがその声量に慣れると芝さんの大声でも小さく聞こえてしまうのだ。

 お客さんの笑いが起きた後はなおさらその状態になる。2人の場合、ネタ中大きな笑いが起きる、かぶせるようにともしげさんがリアクション。笑いの中、芝さんがつっこむというパターンが多かったが、もっと笑いが起きるようにするには、ネタ中に大きな笑いが起きる、少し笑いがおさまりかけたらともしげさんがぼける、また笑いがおきる、笑い4割くらいになったら芝さんがつっこむ。このパターンの方がより大きな笑いを起こせる。

 僕が組んでいたコンビに近い形だったのでレビューにも力が入ってしまい、1組目からかなり長めになってしまった。

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