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ドラマ評論家が徹底分析

『恋はつづくよどこまでも』で彷彿とさせた過去の名作ドラマーー“ベタ”と“アップデート”の両立を叶えたTBSラブコメの現在地

文=日刊サイゾー

 2020年、1月期のテレビドラマが概ね最終回を迎えたが、中でもウェブニュースを沸かせ、SNS上でのコメントを賑わせたのはTBS火曜10時放送の『恋はつづくよどこまでも』だ。今回は、本作のヒットの要因をドラマ評論家の成馬零一氏に分析してもらった。

” 『恋はつづくよどこまでも』公式ホームページより

 ヒットの秘密①ラブコメ成分ふんだんな“幕の内弁当”の安心感

 上白石萌音、佐藤健が主演した本作は、『プチコミック』(小学館)で連載されていた少女マンガが原作とあり、「胸キュン」シーンが盛りだくさんで、主に女性視聴者から「佐藤健がヤバイ!」「萌える!」という反響をこれでもかというほど集めた。特に3月17日放送の最終回では、駄目押しとばかりに佐藤健による胸キュンシーンを連発。「彼女の髪を乾かす佐藤健」「ジェンガの最中にキスをしてくる佐藤健」「脱げた靴をひざまずいて履かせてくれる佐藤健」といった演出が、視聴者のツボを突きまくり、視聴率は15.4%を記録。有終の美を飾った。本作のヒットについて、ドラマ評論家の成馬零一氏は次のように分析する。

「原作が少女漫画ということもあってか、ラブコメのあるあるネタの宝庫でしたね。原作は未読なので、どれくらいオリジナルなのかわからないですけど、具体的な元ネタがあるからというよりは、なんとなくみんなが知っているラブコメのネタが次から次に登場することが、視聴者の“安心感”につながっていたように思います。

 こういう作り方は、2018年にヒットした大石静脚本の『大恋愛~僕を忘れる君と』(TBS)もそうだったのですが、作者と視聴者の間に『ラブコメとはこういうもの』『恋愛ドラマはこういうもの』という文脈が共通認識として成立しているからこそ、ウケるんですね。J-POPやアイドルソングでも“全部がサビ”みたいな加圧縮された曲がありますが、『恋つづ』もまさにそういう感じです」

 成馬氏の言う通り、「ラブコメ」「恋愛ドラマ」のお決まり=「ベタ」な展開が満載だった『恋つづ』。最終回放送後、俳優・綾野剛も上白石のインスタグラムに「めちゃくちゃ萌えました 超幕の内弁当、お腹パンパンです」と感想を寄せたほどだ。では、この「ベタ」な展開、綾野剛の言葉を借りるとしたら「超幕の内弁当」的なストーリー展開の既視感はどこから来るのか? 成馬氏は過去のテレビドラマを振り返りつつ、こう語る。

「まず、“片思いの人を追ってヒロインが仕事を頑張る”っていうのはよくあるパターンですよね。石田ひかりが主演を勤めた『悪女(ワル)』(日本テレビ系)がそうでした。ただ、『恋つづ』のような5年も片思いしているという設定はあまり見ないですね。一人の人をずっと思っているという設定自体、見せ方を間違うとストーカーみたいになっちゃいますので。片思いという設定自体はマンガ『ハチミツとクローバー』(集英社)やドラマ『すてきな片想い』(フジテレビ系)などありますが、これらはもっと複雑な恋愛相関図を楽しむ要素があった。『恋つづ』は最初からヒロインの思いが相手にバレバレで、ひたすら一途な思いをぶつけていく。こういうのはテレビドラマではあまりないかもしれないです。旧来の恋愛ドラマにあるような、恋の駆け引き的な要素があるようでないのが、このドラマの面白さなんですよね」

 また、上白石が演じたヒロイン・佐倉七瀬と佐藤が演じた天堂浬の人物像にも過去のドラマを思い出すと続けた。

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