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若い世代にわかる漫才を心掛けるEXIT、わからない漫才をぶっ放すナイツ

吉本興業公式サイトより

 5月17日放送『ワイドナショー』(フジテレビ系)でのEXIT・兼近大樹の発言が物議を醸している。テーマは、世代間のギャップについてだ。

「最近までずっと中堅層がテレビ出てたんですよ。だから、若い子たちはそのお笑いしか見れないんで、お笑い界が廃れていってた感じがすげえして。僕の代って初めて舞台に立ったらお客さんが2人しかいなかったんですよ。お笑いライブにお客さんが来ないっていう。その理由って、活躍してる芸人たちが例えるのが『ドラゴンボール』だったりするからなんですよ。昔の芸能人の名前とか、プロレスとか。……プロレスとか、マジ意味わかんなかった! プロレス技とかプロレスの人とかで例えてきたりするけど、こっちは気遣って笑うしかできないんですよ。“何言ってるんだろう、この先輩たちは!?”っていう。それを若い子たちが見てたから“わかんないから見なくていいや”で、お笑いから離れていったと思うんですよ」

 EXITはその状況を打破するため、意識的にネタを作っているという。

「僕は若い子がトレンドを作ると思うんで、『あつ森』を入れたりとか、それこそ『鬼滅の刃』とかやってたほうが若い子は面白いんですよね。でも、その分、上の人たちは離れていくと思うんですけど」(兼近)

 中堅芸人のネタで無邪気に笑っていた層からすると、若い世代の思いにはまるで気づいていなかった。というか、ほとんど眼中になかったと言ってもいい。お笑い第7世代がテレビ界を席巻し始めた今、その状況も徐々に払拭されつつあると思う。それは喜ばしいことだ。

「本当に面白い話は、周りの2~3人しか知らないこと」

 兼近は何も「上の世代(芸人も視聴者も)を駆逐しろ」と言っているのではない。旧世代への気遣いも、彼の発言からはちゃんとうかがえる。「『あつ森』を入れたら上の世代は離れていく」と認識している点など、彼は本当にクレバーだと思う。

 そして、大事なのは「何を言っているかわからないけど面白そう」という笑いも存在するという事実だ。これは筆者の実体験だが、幼少期に売れている芸人の漫才を見ていると、知らない単語がバンバン出てきた。でも、客席はガンガン沸いている。この光景を見て「いつかこのセンスで笑える大人になりたい」と、自然と知識を蓄えるようになり、それがいつしか自分の琴線(ツボ)になった。こんな経験を持つお笑いファンは少なくないと思う。それこそ、ケンドーコバヤシのプロレスネタで、その道筋をたどった人は多いはずだ。

 誰にでもわかる情報より、マイノリティに刺さるネタのほうが鋭角的になりがち。それを、我々は身をもって知っている。何をもってマイノリティとするかは、時と場合による。世代、趣味嗜好、性別や生まれ育った地域による場合もある。

 芸人側から言わせると、理解されることを放棄し、最初から置いてけぼりの笑いに照準を絞る手法だってあるはずだ。ビートたけしから「本当に面白い話っていうのは、周りの2~3人しか知らないことなんだぜ」と言われ、とんねるずの石橋貴明が感激したというエピソードは、まさにそれを指しているように思う。

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