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映画『宇宙でいちばんあかるい屋根』公開記念インタビュー

“日本アカデミー賞監督”藤井道人「清原果耶さんはシャーマンのよう」「コロナ禍の映画界を変える」

藤井道人監督

 今年3月の日本アカデミー賞授賞式は、かつてないサプライズに満ちていた。『キングダム』『翔んで埼玉』といった東宝、東映が配給した大ヒット作を差し置いて、インディペンデント系の『新聞記者』が主演男優賞、主演女優賞、作品賞で最優秀賞に選ばれ、多くの映画ファンをどよめかせた。『新聞記者』は「森友学園」などで騒がれた現政権の疑惑をモチーフにした問題作だっただけに、より驚きがあった。
 
 そんな『新聞記者』のメガホンを取ったことで一躍、脚光の的となった藤井道人監督に、日本アカデミー賞の舞台裏、『新聞記者』で初めて描かれた「内閣情報調査室」について、9月4日に公開を控えた清原果耶主演作『宇宙でいちばんあかるい屋根』、そして2021年公開予定の最新作まで語ってもらった。

ダークホースが受賞できた理由は?

ーー日本アカデミー賞の受賞は、事前にスタッフから知らされていたんでしょうか?

藤井 いえ、まったくありませんでした。会場の席順は、今でもはっきり覚えています。『翔んで埼玉』『閉鎖病棟』の東映さんが最前列でスポットライトを浴びていて、2列目が『蜜蜂と遠雷』『キングダム 』の東宝さん。僕はその後ろで、照明すら当たっていませんでした(笑)。『新聞記者』は6部門でノミネートされていたので、ひとつでも賞が獲れるといいな、でも申し訳程度に呼ばれただけかなとも思っていたんですが、シム・ウンギョンが最優秀主演女優賞に選ばれた瞬間に会場がざわついて、そこからガラリと雰囲気が変わりました。松坂桃李くんには最優秀主演男優賞をぜひ獲ってほしかったですが、本当に獲って。僕が監督賞は逃すというオチが一度あってから、最優秀作品賞を受賞。驚きました。

ーー漫画原作の『翔んで埼玉』や『キングダム』に最優秀作品賞を与えるのは、日本アカデミー賞会員たちも抵抗があったようですね。

藤井 僕は個人的には、作品としてのクオリティーが高い『蜜蜂と遠雷』が受賞するのかなと思っていました。日本アカデミー賞の投票権を持つ会員は、大手映画会社の社員が多いので、大手配給作品が有利だと言われていますが、今回の優秀作品賞5作品の中には松竹が選ばれず、東宝と東映から2本ずつだったので票が割れて、『新聞記者』に票が流れたのでは?との噂をきいたことがあります。消去法的に選ばれたのかもしれませんね。隣に河村光庸プロデューサーが座っていたんですが、腕が震えていて、でも顔は喜んでいて、それを見てよかったなぁと思いましたね。

ーー藤井監督は冷静ですね。下世話なことを尋ねますが、副賞として賞金があったりするものですか?

藤井 優秀作品賞に選ばれた時点で、「お支度金」みたいな感じで数万円が振り込まれました。多分、そのお金でちゃんとした衣装を用意して、授賞式に来るようにということだと思います。賞金はありません。トロフィーと「日本アカデミー賞」とネームの入ったトートバッグをいただいただけです。トートバッグはどこで使うのか悩みますね(笑)。『新聞記者』は内容が内容なだけに、地上波では放送されませんし、日本アカデミー賞受賞直後にコロナ騒ぎが起きたので、受賞効果による興収の大きなアップもありません。でも、一緒に仕事した仲間や関係者が喜んでくれたのは、すごく嬉しかった。新しいオファーも来ていますが、今はある程度先の予定まで入っているので、なかなか応えられない状況です。

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