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これが「おらが国の『ブラックホーク・ダウン』映画」! ロシア映画なのにハリウッドを感じる『バルカン・クライシス』

キャラ立ちもテンションもエスカレート!

これが「おらが国の『ブラックホーク・ダウン』映画」! ロシア映画なのにハリウッドを感じる『バルカン・クライシス』の画像3
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 極限状況でキャラもドンドン立ち上がってきて(歌う人は酷い状況でも歌い、タバコ好きな人は吸おうとするたびに、悲しいかな、何かトラブルが起きて吸えない……!)、戦場の過酷さが増すほど、テンションも上がる一方だ。これぞまさに『ブラックホーク・ダウン』映画の醍醐味である。そしてラスト、急にエミール・クストリッツァ(世界三大映画祭を制した映画監督)が出てきて、映画は驚くほど爽やかなエンディングを迎える。

 もちろん本作がコソボ紛争をめぐる複雑で悲惨な歴史の上にある物語であること、何よりロシア軍の空港占拠自体は事実だが、この異様にキャラの立った特殊部隊の存在は限りなくフィクションであることは忘れてはならない。一応、 実録モノとしてのオチはつくのだけど、基本的には「キリストは青森で死んだ」くらいの話で捉えておくべきだろう(実録モノに対してこういうのも変な話ですが、続編が見たいですね。「ロシアの歴史の影には、いつもこの部隊がいた!」みたいな切り口の)。

 本作がプロパガンダ映画である点は注意が必要だし、 実際の歴史を知るのも大前提だ。ただ、それはそれとして、本作を1本のアクション映画として見たとき、そのクオリティの高さは否定できない。軍の全面協力のおかげか、本物の装甲車でレースをするシーンが出てくるし。

 本作は悲惨な現実を描いた戦争映画というより、個性豊かなメンバーが、文字通り死ぬほど頑張るアクション映画として捉えるべきだろう。ウォッカ片手に男気が爆裂するシーンを楽しみ、エンディングで流れるテンション高めのロックナンバーに身を任せたい、『ブラックホーク・ダウン』映画の快作だ。ウラー!

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そのほか、U-NEXTでも配信中

加藤よしき(ライター)

ライター。1986年生まれ。「Real sound」「tayorini」などで執筆。『別冊映画秘宝 90年代狂い咲きVシネマ地獄』(洋泉社)に寄稿。

Twitter:@DAITOTETSUGEN

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かとうよしき

最終更新:2021/02/19 15:50
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