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『この恋あたためますか』はBLをオマージュ!? 本当にオリジナル脚本といえるのか疑問の声も

この恋あたためますか』公式サイトより

 10月20日、森七菜主演の火曜ドラマ『この恋あたためますか』(TBSテレビ系)がスタートした。初回の世帯平均視聴率は9.4%(関東地区・ビデオリサーチ社調べ/以下同)。前回、同枠で好評のうちに最終回を迎えた『私の家政婦ナギサさん』の初回視聴率が14.2%だったことを踏まえると、スローなスタートだ。

 「人を幸せにしたい」という思いで活動していたアイドルグループをクビになり、業界下位のコンビニ「ココエブリィ」でアルバイト生活を送っていた主人公・井上樹木(森)。樹木はアイドル時代から、コンビニスイーツの感想をSNSに投稿することが趣味だった。ある日、樹木が新作スイーツの感想をライブ配信している最中、ひょんなことから男と口論になるのだが、その正体はココエブリィ代表取締役社長に就任したばかりの浅羽拓実(中村倫也)。別会社から出向し、経営の立て直しを命じられている浅羽は、定番商品であるスイーツのリニューアル案を打ち出したのだが、風当たりは厳しい。

 そんな中、樹木がココエブリィの従業員であることを知り、そのスイーツ批評の的確さを目の当たりにした浅羽は、樹木をスイーツ開発に強引に誘い、最初の課題であるシュークリームづくりに乗り出すのだ。最初は乗り気でなかった樹木も、辛い時期をコンビニスイーツに救われた思いと、人を幸せにしたいという思いを胸にシュークリームづくりにのめり込んでいく。

 浅羽の地元の後輩であり、ココエブリィのスイーツ開発を担当する株式会社ドルチェキッチンに勤める新谷誠(仲野太賀)から、スイーツ開発のノウハウを学び、ひとつの商品にどれだけの時間と工程がかけられているのかを経験した樹木。しかし、苦労してつくった最初の試作品は、浅羽から「ビジュアルに意外性がない」と食べる前にダメ出しされてしまう。樹木は一度は投げ出したくなるものの、新谷の「じゃあ帰れよ。きみはただの遊びでも、俺は仕事だから」という言葉にハッとして、再び奮起。ついに、誰もが思わず手に取りたくなるシュークリームをつくり上げるのだ。

 ここ最近の火曜10時枠は、女性をターゲットにしたドラマで徐々に視聴率を上げていくパターンが多い印象で、『恋あた』もその路線であることは間違いない。初回はサービスシーンも多く、中村倫也との相合傘(しかも、はみ出した中村の肩がびしょ濡れ)に、仲野太賀の壁ドンなど、リアタイ視聴者もSNSで大いにざわついていた。そして、意外とおもしろかったのが、コンビニの商品開発というお仕事ドラマの要素だ。ネット上では「食品業界あるあるすぎてめちゃ共感する」という声もあり、身近なコンビニの裏の仕事に興味がそそられる。

 一方で、オリジナル脚本というふれこみの作品ながら、モチーフにした作品があるのではという憶測も囁かれている。それが、3年前に発表されている舞木サチのBL漫画『この恋、あたためますか?』だ。

 ウェブサイトの作品紹介では「コンビニ会社の商品企画部に所属する里中は、自社ビル1Fにあるコンビニ店員の柳瀬と成り行きでバレンタイン用の新しいスイーツを一緒に考えることに。」というあらすじ紹介がされており、今回のドラマに似ているという声にも頷ける。タイトルも含めて、偶然の一致とは思えないが、しかしクレジットタイトルなどにもこの作品の記載はない。

 両者の関係性は不明だが、ドラマ自体は楽しんで見ることができた。第1話の最後では、役員会議でなぜかさっそく辞表を差し出す浅羽の姿が。一方、スイーツ開発を終えて再びアルバイト生活に戻った樹木のもとに、再び浅羽が現れる。第2話ではどんな展開が待っているのか、来週が楽しみだ。

■番組情報
火曜ドラマ『この恋あたためますか?』
TBS系/毎週火曜日22時~
出演:森七菜、中村倫也、仲野太賀、石橋静河、佐野ひなこ、利重剛、市川実日子、山本耕史 ほか
脚本:神森万里江、青塚美穂
演出:岡本伸吾、坪井敏雄大内舞子
プロデュース:中井芳彦、黎 景怡
音楽:木村秀彬
主題歌:SEKAI NO OWARI 「silent」
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/koiata_tbs/

早乙女りこ(ライター)

東京生まれ神奈川育ちのフリーライター。映画・ドラマはジャンル問わず幅広く鑑賞しており、物語の展開を予想したり、役者の演技を複数作品で見比べたりすることが趣味。

さおとめりこ

最終更新:2020/10/23 00:29
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