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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】Vol.611

“ご近所トラブル”にはどう対処すればいいのか? 篠原ゆき子の初主演映画『ミセス・ノイズィ』

負のスパイラルに落ち込みやすい閉鎖的空間

ご近所トラブルにはどう対処すればいいのか? 篠原ゆき子の初主演映画『ミセス・ノイズィ』の画像2
騒音おばさん役を怪演した大高洋子。ワークショップを経て、タイトルロールをつかんだ。

 3年間の歳月を掛けて『ミセス・ノイズィ』 の脚本を書き上げた天野監督は、 さらにワークショップを開くことで、 騒音おばさん役の大高洋子ら個性的なキャストを配役している。天野監督に企画の経緯や制作内情について語ってもらった。

「企画を考え始めたのは2015年ごろです。人と人とが理解し合えない、ディスコミュニケーションをテーマにした作品を考えていたんです。いちばん身近な題材であるご近所トラブルについてリサーチしていたところ、騒音おばさん事件を思い出しました。ネットで検索すると、騒音おばさんは実は病気の家族を守るために闘っていたなど、いろいろな説が語られていました。二次情報だけでは真実は分かりませんし、おそらく当事者たちに会っても、どちらが正しいのか白黒をつけることはできないでしょうね。お互いの言い分があるはずです。そこに第三者が介入することで、さらに騒ぎが大きくなってしまう。ケンカも国際的な紛争も、同じ構造ではないでしょうか。騒音おばさん事件を映画のモチーフのひとつにしていますが、事件をそのまま描いたわけではなく、隣人トラブルをはじめ、妻と夫との立場の違いや同じ家族でも価値観の違いがあることなど、身近にあるいろんな形のディスコミュニケーションを描いた作品にしたつもりです」

 隣人がおかしいことを真紀は夫・裕一(長尾卓磨)に訴えるが、外で働く裕一は「うまくやってくれよ」と受け流すだけ。遊びたい盛りの娘・菜子は「公園に連れていけ」とせがみ、締め切りの迫っている真紀のストレスは募っていく一方だった。非常識なのは真紀なのか、それともお隣りの美和子なのか。常識と非常識の境界線はとても曖昧だ。その境界線上であるベランダで、真紀と美和子は激しくやり合うことになる。

「自分は常識内だと思っていても、他人には非常識や迷惑行為になることは多々あると思います。真紀が家事や育児に追われてストレスを溜め込んでいる様子は、私自身の実体験です。出産した直後は精神的に思うように仕事ができないし、周りも子育てで大変だろうからと仕事を回さなくなってしまう。部屋にずっと篭っていることもあり、負のスパイラルに落ち込んでしまいがちです。自分のことを理解してくれない周囲に怒っている真紀は、私自身ですね」

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