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明石市がLGBTのための新制度導入―社会的地位向上に“一石を投じる”か?

現状不十分なパートナーシップ制度でまた一歩進展

 ここまでして初めて、性別の変更が可能となり、婚姻が可能となるのだが、生殖腺の機能をなくしているため、子どもが欲しければ、養子縁組などに頼らざるを得ない。性別の変更を行っていない同性カップルでは、婚姻もできなければ、パートナーが自分の子どもの、あるいは自分がパートナーの子どもも親権を持つことはできない。

 同性カップルの場合には、婚姻に代わる方法として、婚姻関係に関する取り決め(例えば貞操義務や同居義務など)を「公正証書による個別契約」などの方法もあるが、法的に認められた婚姻関係のように様々な配偶者優遇は受けられない。

 また、パートナーやパートナーの両親と養子縁組をすることで、パートナーと親子や兄弟(姉妹)になり、戸籍上は同じ姓の家族となる方法もあるが、婚姻関係となることはできない。

 そこで登場したのが「パートナーシップ制度」と言われるもので、法的な婚姻関係ではないが自治体がパートナーシップ宣誓書を発行することで、婚姻関係に相当する関係性を証明することが出来る。東京都渋谷区が15年に開始し、その後、全国の自治体に広がりを見せている。

 しかし、これまでのパートナーシップ制度は、あくまでもカップルを対象としてものであり、同居する子どもを含めた家族関係を証明するものではなかった。そこで、明石市ではパートナーの子どもや養子などを含め、同居する子どもも家族と認める制度を導入する。

 これにより、法的な拘束力はないものの、同性婚の子どもも事実上の親族として、公的なサービスや協力する民間企業のサービスなどが受けられるようになる。

 明石市の取り組みは、いち地方自治体の取り組みでしかないが、今後、LGBTの社会的な地位の向上に“一石を投じる”ものとなるだろう。

鷲尾香一(経済ジャーナリスト)

経済ジャーナリスト。元ロイター通信の編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで様々な分野で取材・執筆活動を行っている。「Forsight」「現代ビジネス」「J-CAST」「週刊金曜日」「楽待不動産投資新聞」ほかで執筆中。著書に「企業買収―会社はこうして乗っ取られる 」(新潮OH!文庫)。

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最終更新:2020/12/12 18:00
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