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ゴーン逃亡から一年…拘置所で生身で責め続けられる日本の刑事司法制度の現在地

文=見附太郎(みつけ・たろう)

ゴーン逃亡から一年…拘置所で生身で責め続けられる日本の刑事司法制度の現在地の画像1
写真/GettyImagesより

 元日産自動車会長のカルロス・ゴーン氏の日本脱出から今日で丸一年……。当時、日本中で大々的に報道された逃亡劇も、いまとなっては風化してしまっている感もある。今も問われ続ける日本の刑事司法制度の問題点とは――。

 日本中を震撼させた、元日産自動車会長のカルロス・ゴーン氏のレバノンへの逃亡から12月30日で丸一年となる。

 2018年11月19日に金融商品取引法違反容疑で逮捕され、以降130日間を拘束下で過ごしたゴーン被告は、日本脱出時は保釈中の身だった。報道によれば、ゴーン氏はまず新幹線で品川駅から大阪に向かい、関西空港からプライベートジェットでトルコのイスタンブールに向かい、そこから空路でレバノンの首都ベイルートに入ったとされる。関西空港の税関検査を潜り抜けるため、X線検査機が通れない、大きな楽器ケースに身を潜めるなど、スパイ映画さながらの脱出劇は、内外の大きな注目を集めた。

 ゴーン氏は逃亡先となったベイルートで1月8日、記者会見を開き、一連の事件について、「日本の検察と日産の経営陣が画策した陰謀に過ぎない」、「人質司法である」、「有罪率が99%であり公平な判決を得ることができない」などとする従来の主張を繰り返し、改めて無罪冤罪を訴えた。

 こうしたゴーン氏の主張を多くの欧米のメディアが額面通りに受け止めた。米経済紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」は1月2日付の紙面に、「カルロス・ゴーンの体験 虐待を受けて日本から逃げてきたことを責めるのは難しい」というタイトルの社説を掲載、「65歳の彼(ゴーン氏)は数週間にわたって拘束され、当初は罪状もなく、弁護士が立ち会うこともなく、また彼の仕事の記録にアクセスすることもなく、尋問を受けた。

 検察は自白を強要しようとしたが、ゴーン氏は無実を訴え続けている」などと日本の刑事司法制度を批判した。それぞれのトーンは違うものの、他の欧米の主要メディアも日本の刑事司法制度について、「長期の身柄拘束によって自白を強要する」、「逮捕の嫌疑もないのに検察側の思惑だけで逮捕、起訴する」などとする批判を展開した。

取調べに弁護士が立ち会えない、日本の刑事司法制度

 こうした数ある日本の刑事司法制度の批判の中で特に問題視されたのが取調べに弁護士が立ち会えない点だ。米、英、仏、ドイツなど欧米の主要国、近隣では韓国と台湾が取調べ時における弁護士の立ち合いを認めている。

 弁護士抜きで取調べに応じるなど、想像するだけで怖くなる。後に無罪となるが、厚生労働省の村木厚子元事務次官は局長時代に逮捕され、164日間拘留された郵便不正事件の取調べ時のことを「プロのボクサーである検察官と、アマチュアの私がリングに上がって試合をするようなものだった。セコンドも、レフェリーもいない状況だった。せめてセコンド(弁護士)が付いていれば、ずいぶん、まともな形になったのではないか」と振り返る。

 日本では、一度逮捕されると否応なしにリングに引き上げられ、取調官である検察官に一方的に滅多打ちにされるしかないのか?

 取調べでの弁護士の立ち合いは絶望的なのかと思いきや、法務省が今年10月15日開いた第6回法務・検察行政刷新会議で、「弁護人立ち合いは可能、個々の検察官の裁量」とする新しい見解を出した。

 この日の同刷新会議の議題は「『我が国の刑事手続きについて国際的な理解が得られるようにするための方策』についての議論」だった。同会議の議事録(16~17頁記載)によると、委員の1人で一橋大学、青山学院大学名誉教授の後藤昭氏の「検察庁の中で弁護人の立ち合いは認めないという方針をどこかの機会で公式に決められたことがあるのか?」という問いに、吉田雅之刑事法制管理官は「検察庁において、公式に、弁護人を取調べに立ち会わせないという方針決定がなされているとは承知していない。

 検察官による被疑者の取調べに弁護人の立ち合いを認めるかどうかは、その取調べを行う検察官において、取調べの機能を損なう恐れ、関係者の名誉やプライバシー、捜査の秘密が害されるおそれを考慮して、個別の事案ごとに適切に判断すべきものと承知している」と回答した。まどろっこしい同監理官の回答をざっくり解説すると、「弁護人立ち会いは実は可能、個々の検察官の裁量」という見解が初めて示された。

 この新たな見解通り、取調べでの弁護人の立ち合いが今後認められるとなると、日本の国連人権理事会司法制度の中でも最も海外に反論しにくいといわれる「弁護士の立ち合いを許していない」にも堂々とした反論を展開できるようになる。

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