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新型コロナ、ワクチン接種に続きイギリスで治療薬研究進む報道

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※イメージ写真(GettyImagesより)

 新年早々、英国から新型コロナウイルス治療薬に関する朗報が相次いでいる。

 欧米ではすでにワクチンの接種が始まっているが、治療薬については、まだ確立されていない。それ以前に日本国内では、ワクチン接種も始まっておらず、治療薬も確立していないため、今後の動向が注目される。

 英国「デイリーメール」は1月4日、リバプール大学のウイルス専門学者アンドリュー・ヒル博士が臨床試験として、「イベルメクチン」が投与された患者573人中で8人、プラセボ(偽薬)が投与された患者510人中44人が死亡したことから、「イベルメクチンは患者の身体で新型コロナウイルスが除去されるのにかかる時間を大きく短縮させることがわかった」と発表したと報じた。

 イベルメクチンは、大村智氏が1970年代に静岡県で採取した土壌から発見した「放線菌」と呼ばれる、新種の細菌で開発した寄生虫感染症の治療薬。大村氏は2015年ノーベル医学生理学賞を受賞している。

 1月7日には、英国のボリス・ジョンソン首相が記者会見で、関節炎治療薬の「トシリズマブ」と「サリルマブ」が新型コロナウイルス感染症の治療にも有効だと発表した。

 ジョンソン首相は「イギリスの科学研究はより多くの新しい救命治療の創出に貢献しています。2つの治療薬が厳格な臨床試験に合格しました。トシリズマブとサリルマブの2つの治療薬が間もなく患者の皆さんに投与されます」と述べた。

 英国インペリアル・カレッジ・ロンドンの発表では、353人の患者にトシリズマブ、48人にサリルマブが投与され、それとは別に402人の対照群を設けた。死亡率は対照群では35.8%だったのに対して、トシリズマブは28%、サリルマブは22.2%だった。トシリズマブとサリルマブを投与した患者は、平均して約1週間早く集中治療室(ICU)から出られた。

 ジョンソン首相は、トシリズマブとサリルマブについて、「重症患者の死亡リスクを約4分の1削減し、集中治療に費やす時間を10日も短縮した。これらの救命薬はNHS(イギリスの公的医療サービス)を通じてすぐに利用できるようになり、数千人の命を救う可能性がある」と述べた。

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「トシリズマブ」は大阪大学の岸本忠三特任教授らのグループと、中外製薬が開発した関節リウマチの薬。「サリルマブ」はフランスのサノフィが開発した関節リュウマチ薬。

 新型コロナ感染者では、急に容体が悪化するケースがある。これは、免疫が暴走して自分の細胞を攻撃してしまう「サイトカインストーム」という現象だが、トシリズマブとサリルマブにはサイトカインストームを抑える効果があると見られている。

 英国政府では1月8日、「トシリズマブ」と「サリルマブ」を新型コロナ感染者の治療に有効と認め、集中治療室(ICU)の患者への投与を広く開始している。

 これまで、新型コロナ治療薬としては抗炎症薬「デキサメタゾン」などが使用されている。デキサメタゾンもサイトカインストームを抑える効果があると見られており、英国ではすでに治療薬として使用されている。

 翻って、日本国内では「トシリズマブ」などが治療薬として治験が進められているが、未だに政府が治療薬としての使用を認める段階には至っていない。

 日本と比べ、新型コロナ感染者数が圧倒的に多い欧米では、政府がワクチン、治療薬とも積極的に使用許可を行っている。この結果が日本国内で使用を許可する場合に、有効な参考となるだろう。

鷲尾香一(経済ジャーナリスト)

経済ジャーナリスト。元ロイター通信の編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで様々な分野で取材・執筆活動を行っている。「Forsight」「現代ビジネス」「J-CAST」「週刊金曜日」「楽待不動産投資新聞」ほかで執筆中。著書に「企業買収―会社はこうして乗っ取られる 」(新潮OH!文庫)。

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最終更新:2021/01/21 16:00
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