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英政府はBBCに「従量制」の圧力をかける!有馬哲夫が訴えるNHK受信料“不要”論(後編)

英政府はBBCに「従量制」の圧力をかける! 有馬哲夫が訴えるNHK受信料不要論(後編)の画像1
『NHKオンデマンド』ウェブサイトより。

 2020年からヒートアップしているNHK受信料の値下げをめぐる議論。著書『NHK解体新書』(WAC)などで知られる早稲田大学教授の有馬哲夫氏が、この問題の本質に前編に続いて切り込む!

「NHKは皆さまの受信料で支えられています」とよくいう。また、NHKはみんなで支えるべき公共財だともいう。だから、受信料を払わない人がいるのは、払っている人に対して不公平なのだそうだ。

 では、そもそも「公共放送は国民から強制的に集めた受信料で支えなければならない」という考えは世界的に見て常識なのだろうか。

 日本の常識の多くは世界では非常識だが、この考え方も、世界では非常識だ。先進国では、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、オランダなどが受信料に当たるものを廃止している。ただし、まったく廃止したものと、税金に含めてしまったものがある。いずれにせよ、受信料の廃止は世界の趨勢だといえる。

 前編で述べたように、CMを流して収入を得ることで自助努力している「公共放送」も世界では珍しくない。ドイツ、フランス、韓国がそうだ。できればCMを入れないほうがいいだろうが、それよりも国民のお荷物にならないほうが重要だと考えられている。どのようなメディアでもバイアスは避けられないので、中国やロシアや独裁国家の放送のようにならなければ、それでよしとしている。

BBC受信料不払いを犯罪扱いしない法案

 確かにヨーロッパなどには「公共放送はみんなから強制的に集めた受信料で支えなければならない」とする国がある。だが、これらの国の共通点は、もともと国営放送や公共放送が強く、民放が育っていなかったことだ。

 国民として、市民として必要な情報を「公共放送」に頼らなければならなかったので、その供給を受けることが権利であり、したがって、「みんなで公共放送を支えること」が義務化されたのだ。

 日本も戦前と終戦後しばらくは、このような状態にあった。だから、受信料支払いを義務づける理由があった。だが、現在は民放が4局もあり、それぞれ地上波とBSチャンネルを持っている(テレビ東京系は東京、名古屋、大阪の3大都市圏限定)。国民として、市民として必要な情報はNHKがなくとも十分に得られる。放送以外にも、インターネットなどからも好きなだけ得られる。もう「みんなで公共放送を支えること」は必要ではない状況にある。

 現在イギリスは、BBCの受信料不払いを犯罪扱いしない法案を成立させようとしている。これは、受信料不払いを勧めるものではないが、少なくとも国民すべてから受信料を取る制度を改める一歩を踏み出したといえる。英連邦のオーストラリア、カナダ、ニュージーランドが受信料を廃止したのだから、圧力を感じているのだろう。

 BBCはまた、BBC iPlayerという通信アプリを無料で提供し、番組の放送からネット配信へのシフトを計っている。これによってBBCの番組をAmazonプライム・ビデオやNetflixのような見方ができるようになっている。

 ネット配信となれば、受信量を把握できるので、見た人が、見た分だけ払うという従量制が可能になる。事実、イギリス政府はこの従量制をとるようにBBCに圧力をかけている。日本もそうなれば、よく話に出るスクランブル化(放送電波を暗号化し、解読する装置がないとテレビで番組が見られないようにすること)もイラネッチケー(NHKの放送の信号を除去するフィルター)も必要ない。

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