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本当にみんなのお金で支えるべき「公共放送」なのか? 有馬哲夫が訴えるNHK受信料“不要”論(前編)

本当にみんなのお金で支えるべき「公共放送」なのか? 有馬哲夫が訴えるNHK受信料不要論(前編)の画像1
NHKウェブサイトより。

 2020年からヒートアップしているNHK受信料の値下げをめぐる議論。著書『NHK解体新書』(WAC)などで知られる早稲田大学教授の有馬哲夫氏が、この問題の本質に前編・後編の2回に分けて切り込む!

 コロナ禍で、多くの人は、「おうち時間」が増えている。うちにいて楽しむものといえばテレビだが、どのテレビ局も制作費を削っているため、面白くない。ニュースも、この1年、コロナ感染症の脅威とか、飲食店の時間制限とか、失業とか、ウツになりそうなネタを飽くことなく流している。確かに必要な情報もあるが、それにしても同じことの繰り返しが多すぎる。

 自然にAmazonプライム・ビデオとかNetflixを見るようになる。これらの動画配信は、放送ではないので、見たいときに、見たいところから、見たいだけ見ることができる。なにより、あのウザいCMがない。

 AmazonもNetflixも去年、最高益を記録した。コロナ禍は世界的現象だから頷ける。これらが流す質の高いコンテンツを見ると、現在の日本のテレビのコンテンツがどうしようもなくレベルが低いことに愕然とする。

 ただし、BSなどで再放送されている過去番組の中には、制作費をかけ、配役も豪華で、丹念に作っているために、質が高く楽しめるものもある。だが、所詮は再放送である。

 コロナ禍の中で、日本製テレビコンテンツ離れが進んでいる。このままでは、日本はAmazonプライム・ビデオ、NetFlix、そして新たに参入してくるDisney+などの文化帝国の属国になってしまう。まあ、楽しければ、そんなことどうでもいいという考え方もある。

菅総理のブレーンが投げかけた波紋

 一方、どうでもよくないのはNHKの受信料である。海外のコンテンツに比べても、アマチュアレベルのあのNHKの番組になぜお金を払わなければならないのか。大体、私たちの誰がNHKを見ているというのか。Amazonプライム・ビデオやNetflixにお金を払っているのだから、NHKなんぞには払いたくない。民放で十分だ。NHKに何の存在意義があるのか。

 このような空気が支配的になってきたので、昨年の末からNHK受信料の問題がマスコミで取り上げられるようになった。菅義偉総理大臣のブレーンの高橋洋一氏(嘉悦大学教授)が教育チャンネルの放送をネット配信に切り替え、放送に伴うコストをなくし、使わなくなった電波をオークションにかけて売り、受信料を半額にしろと主張し、波紋を投げかけた。これに反応して、関連するネット記事も多数出たが、いずれも値下げ論だ。

 高橋氏の「NHKの2つの地上波チャンネルのうち、ひとつを減らせ、そして受信料を半額にしろ」という主張は、単純でわかりやすい。もちろん、高橋氏はこの問題がもっと複雑なことは知っての上で、世論を盛り上げるために大衆にわかりやすくアピールしている。

 値下げは、少しでも状況を動かし、NHKを規模縮小に導く短期的処置としては意味があると思うが、最終的に目指すことではない。最終目標は、見ない人にはNHKに受信料を払わなくてもよくすることだ。あるいは、見た人が、見た分だけ払う料金体系、つまり従量制だ。多くの人がこれを求めていることは、受信料値下げ関連のネット記事に対するSNSのコメントを読んでも明らかだ。

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