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医師会は明確な理由なく「時期尚早」で煙に巻き…政府「緊急避妊薬」薬局販売検討も中絶利権に群がる医師界の反対

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緊急避妊薬の市販化においては、性教育も重要な課題になっている。(ピルコンYouTubeチャンネルより)

──日本で経口避妊薬(ピル)をめぐる議論が進んでこなかった背景には、女性差別や、薬や人工妊娠中絶をめぐる産業が抱える利権構造がある。ところが、菅義偉内閣になってすぐの10月頭、薬局での「緊急避妊薬」(アフターピル)販売を検討する新方針が発表され、にわかに議論が加速しそうな状況となってきている。(「月刊サイゾー」12月号より一部転載)

 政府が「緊急避妊薬」(アフターピル)の薬局販売を検討しているというニュースが報じられ、大きな話題となっている。従来、医師の診察および処方箋がなければ、アフターピルを購入することはできなかったが、今後は薬局で気軽に買えるようになるかもしれないのだ。

 この緊急避妊薬の話題は、10月8日に開かれた内閣府男女共同参画局・第5次基本計画策定専門調査会(第7回)の資料「第5次男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方(案)」で言及されている。正確を期すため、資料の文面を引用したい。

「避妊をしなかった、又は、避妊手段が適切かつ十分でなかった結果、予期せぬ妊娠の可能性が生じた女性の求めに応じて、緊急避妊薬に関する専門の研修を受けた薬剤師が十分な説明の上で対面で服用させることを条件に、処方箋なしに緊急避妊薬を利用できるよう検討する」

 これまで弊誌でも幾度となく特集を組んできた日本のタブーのひとつ「アフターピル問題」が、突如として前進しようとしている。

「本当に急展開でびっくりしています。一体、何があったのでしょうか」

 そう話すのは、ナビタスクリニックの内科医・山本佳奈氏だ。ナビタスクリニックは日本でも数少ないアフターピルのオンライン処方を行っているクリニックである。山本氏自身、同病院で医師として勤務する傍ら、NPO法人・医療ガバナンス研究所に研究員としても従事。豊富な処方経験を持ち、クリニックを訪れる人々の背景事情に詳しい。これまでアフターピルのオンライン処方や市販化などの制度の拡充を求め、リサーチや積極的な情報発信を続けてきた。いわば、「アフターピルの民主化」に真っ向から取り組んできたひとりなのだが、そんな山本氏にとっても政府の急な方向転換は寝耳に水だったという。

「ここ数年、診療のオンライン化の議論の中で、遠隔診療でアフターピルを積極的に出せるようにする・しないという議論が続いてきました。また3~4年前からは、OTC化(市販化)を許可する薬のひとつに、アフターピルを含めようという議論も一部にはあった。しかし医師会を中心とした業界団体の強力な反対で、いずれもあまりうまく進んでいませんでした。それが突然、政府の意向で議論が再燃しています」(山本氏)

 菅政権が発足して以降、「携帯の値下げ」「ハンコ廃止」「不妊治療への保険適用」など、潜在的な民意を汲み取ったような政策が続々と掲げられ、実際に検討が始まっている。アフターピルの市販化問題をかねてから主張してきた団体も多く、ここへきてその声が政界に届き始めたという見方もできる。

「個人的には政治的ポーズに終始せず、議論が再燃したこの機会にぜひ市販化を進めていただきたいと考えています」(山本氏)

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