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医師会は明確な理由なく「時期尚早」で煙に巻き…政府「緊急避妊薬」薬局販売検討も中絶利権に群がる医師界の反対

緊急避妊薬の普及は女性のヘルスケア

 今回、政府が議論にあげたアフターピルの市販化は実現していくのだろうか。報道後の動きを見る限り、まだまだその道のりは長そうだ。政府が検討を発表するや否や、日本産婦人科医会が記者会見を開催。またしても「時期尚早」「性教育の不備」などを理由に、改めて反対意見を表明した。山本氏は、利権もさることながら、「議論する医師会の中に女性が少ないというのが大きな問題のひとつ」だと指摘する。そもそも男性はアフターピルを使うことがないため、どうしても当事者意識は持ちにくい。「アフターピル問題」からは、そんな医療の世界の構造的矛盾が浮かびあがる。

 山本氏はまた、女性たちが置かれた状況や、女性の性生活に対する黙殺や決めつけも、日本が「ピル後進国」である理由のひとつだとする。

「性暴力まではいかなくても例えば、断りきれず無理にお酒を飲まされて避妊できず性行為をしてしまったとか、女性が望まぬ妊娠にさらされるリスクは生活のいたるところにあります。もしくは、そのときに相手に好意を寄せていても、行為の後で後悔するケースだってあり得ますよね。医師が根掘り葉掘り聞かなければ処方されないというのは、もはや時代に合わないでしょう」(山本氏)

 言われてみれば、アフターピルの市販化議論を性暴力や犯罪リスクばかりと結びつけるのは、賛成派にしろ、反対派にしろ極端な話だ。女性が性行為を楽しむことは普通のことで、さらに安心や健康が手軽に手に入るとなればそれに越したことはない。

 ちなみに、内閣府男女共同参画局による今回の案では、緊急避妊薬の問題は「生涯を通じた女性の健康支援」という章で論じられている。今風に言うならば「女性のヘルスケア」の一環だ。「女性に対するあらゆる暴力の根絶」という章は別にあり、少し切り離されて提言されている。

 またアフターピルの普及は女性のこととして語られがちだが、「女性に優しい社会」が実現することは、男性にとっても大いにメリットがあることとなろう。家庭を支えるためのキャリアを積もうと、計画的な妊娠を考えている男性陣も少なくないはず。コンドームがあるにはあるが、避妊成功確率は100%ではない。互いが避妊を徹底することで、より望まぬ妊娠が防げるようになる。また今回取材させてもらった方々の中には、「過去の妊娠経験がストレスとなり、新たに子どもができるのが心配でセックスレスになってしまった」という意見もあった。多くの夫婦が充実した性生活を過ごすためにも、転ばぬ先の杖は気軽に手に入ったほうがよいだろう。

「現状、パートナーのために男性がクリニックを訪れたとしても、何かしらの猜疑の目で見られてしまうでしょう。男性にとっても、薬局で気軽に買えるほうが楽だと思います」(山本氏)

 前出A氏は、加えて「アフターピルの市販化は地方医療にとってもセーフティーネットになるのではないか」と話す。地方によっては、気軽にアクセスできる産婦人科が少ない、もしくはあったとしても都心部より人目を気にしなければならないケースがある。薬局でアフターピルが手に入るようになれば、健康被害が著しく減る可能性もある。地方の女性のリスクが減ることは、日本社会全体にとってもプラスが大きいはずだ。

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