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中国人エリート留学生の動向に変化 中国“海亀”たちの新ヒエラルキー

中国であぶれたエリート人材はどこへ?

「米国に留学していた親戚(36歳)は、ジョージア工科大学でポスドクの研究者をやっている間に杭州のある国家重点大学のポストに採用され2018年に帰国しました。杭州市と大学が求める科学技術人材の条件をうまくクリアしていたので、80万元(約1300万円)の定着費と新築マンションが無償で提供されましたよ。会社に就職してから一度会いに行ったことありますが、想像以上の豪華な家だったのでびっくりしました」(趙氏)

 同じ海亀内にあっても新たなヒエラルキーが形成されようとしている中国社会だが、中国政府は現在、海亀の帰還を奨励する政策を取り続けている。

 地域ごとに差異はあるものの、例えば、戸籍の取得が空の星を捕まえるように難しいと言われる北京・上海などの「一線都市」で、留学派人材に戸籍を与える「落戸制度」がその典型例だ。中国最先端都市と呼ばれる深圳では、高級人材が帰国して企業する場合、最大500万元(約8,170万円)まで、無償で創業支援資金の援助を受けることもできる。国内大卒者も巻き込んだ格差のピラミッドは、今後も拡大していくとみられる。

 ただ少子高齢化が進み優秀な海外人材の獲得が急務となっている日本においては、才能を持つ隠れた中国留学派を取り込むチャンスともなる。中国国内の就職競争に揉まれる海亀=海帯たちの実情は、日本経済の行方にも直結すると考えればウォッチしていく価値が高まりそうだ。(取材協力/洪龍日)

河 鐘基(ジャーナリスト)

リサーチャー&記者として、中国やアジア各国の大学教育・就職事情などをメディアで発信。中国有名大学と日本の大学間の新しい留学制度の設置などに業務として取り組む。「ロボティア」「BeautyTech.jp」「Forbes JAPAN」など、多数のメディアで執筆中。著書に「ドローンの衝撃 」(扶桑社新書) 「AI・ロボット開発、これが日本の勝利の法則」 (扶桑社新書)、共著に「ヤバいLINE 日本人が知らない不都合な真実」 (光文社新書)など。

Twitter:@Roboteer_Tokyo

はじょんぎ

最終更新:2021/02/10 20:19
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