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『家、ついて行ってイイですか?』6年間口を利かなかった父娘。娘がとった策は番組出演だった

「娘への信頼はない」と断言する父、歩み寄りを図る娘<

 南越谷駅でスタッフが声をかけたのは、現在大学生(就活中)だという22歳の女性。今はスポーツジムでアルバイトをしているらしい。奇遇にも、彼女のお父さんが『家つい』のファンだそうだ。

「私、お父さんと仲悪いんですけど、これで仲良くなれるかもしれないと思った。ずっと何年も話してないんですけど、お父さんがこのテレビのファンなんで。(会話しなくなったのは)高校受験落ちたときだから6年前くらい。ガチで話してないんですよ」(娘さん)

 後日、スタッフは日を改めて彼女の家へお邪魔した。実は、『家つい』の取材が来ることをお父さんに伝えていないとのこと。彼女の家は父、母、妹との4人暮らしで、お父さんの職業はバスの運転手。そんな父と会話のない生活を6年も送っている。

「(お父さんは)めっちゃ怖い。『大黒柱だ、俺は』みたいな。私が話しかけてもシカトされるのわかってる。私は寂しいんですよ。昔、出かけた写真とか見たりすると『あー、また行きたいなあ』『連れてってほしい』『家族旅行したいなあ』って思う」(娘さん)

 一方、お母さんとは仲良しで、先月は一緒にディズニーへ行ったと言うのだ。でも、お父さんとは没交渉。そのきっかけは何なのか?

「高校受験落ちたとき。小学3年生のときから(娘を)塾に行かせて投資してきたのに。しかも、成績上がらなくて塾変えて大きい塾に行ってお正月の特訓とかもやって、公立高校の受験に落ちたっていう。ランクをめっちゃめちゃ下げたんですけど、それも受かんなくて(学費が高い)私立に行ったから怒ってる「
「(『サボっていなかったか?』というスタッフの質問に)そのつもりですけど、お父さんは『サボってた』って言う」
「(落ちたとき)大泣きして謝ったの。(父は)『どうしようもないからこれから頑張んなさい』みたいな、確か。たぶん、それが最後かな。ちゃんと、面と向かって(話をしたのが)」(娘さん)

「投資」という言葉を普通に使っているのが気になる。娘が自らこんな言葉を使うだろうか? それとも「お前には投資したのに」と父に言われたのか? 違和感の残る言葉選びだ。親が見返りを求めて掛けた子どもへの期待、のような表現に聴こえてしまった。お父さんの厳しさがわかるエピソードは他にもある。

「お父さんは『上向いて(仰向けで)寝ろ』って言うんですよ。私は下向いて(うつぶせで)寝る人なんですよ」(娘さん)

 そんなことまで指示されるのか……。寝方まで怒られるなんて、息が詰まりそうだ。そうこうしているうちに、お父さんが帰ってきた。番組のファンだけに、撮影にはウエルカムの模様。しかしスタッフと会話を交わす中でも、父娘は決して目を合わせなかった。

 ちなみに、お父さんの趣味は学生時代からやっていたテニス。せっかくだから、テニスで獲得した賞状を見せようとお父さんはリビングを出て行った。賞状を撮った画像がスマホにあり、それを別の部屋へ取りに行ったのだ。しかし、その前に現物の賞状を奥さんが見つけてしまった。そこに書かれてあったのは「栄光をたたえて 優勝 男子ダブルス 初級」という記述。すると、向こうの部屋から「映さないで、それ!」とお父さんの声が聴こえてくる。そして、改めてスマホで撮った賞状の画像を渡してくれたお父さん。見ると、「初級」の文字にシールを被せて隠しているのだ。ここを見られたくないらしい。父の威厳は守りたいということ。

 さて、ここからが本題だ。父娘の不仲について、スタッフは踏み込んだ質問を始めた。まず、「娘さんが一緒に飲みに行きたいと思っている」と彼女の本心をお父さんに伝えてみた。

「飲みに行く気はないですねえ」(お父さん)

 娘が歩み寄ろうとしているのに、そんな遮断しなくても……。スタッフは、なぜ娘と6年前から会話を交わさなくなったのか理由を尋ねた。

「(娘との)信頼関係が失われているからね。(娘が)努力しないから。やっぱり、10代は(努力を)しなくちゃいけないの、1回や2回は。自分で追い込んで追い込んで『これ以上無理だ、もう助けて』ってところまで行った経験がない。こっちはこっちで渡りに船で手を差し伸べて、『乗っかったなら自分で漕いで来るんだよ』って言ったのに、途中でジャポーンって落っこっちゃって。その繰り返しだったからどんどん信頼がなくなっていったの、娘に対して」(お父さん)

 このVTRを見て、筆者には言いたいことがたくさんある。まず、本人の前で実の親が「信頼がない」と言ってしまうのが見ていられなかった。目の前ではっきり断言された娘さんの表情はどんどん暗くなっていった。だけど、「結果が伴わない」=「努力してない」と言い切るのは無理があるし、親が抱いた理想像とかけ離れたら「信頼を裏切った」とするのは断じて違う。そもそも、子どもにかけるお金は「投資」ではなく「経費」だ。期待通りの成果を残せるか否かのギャンブルではない。賞状の「初級」を隠すくらいのお父さんだから、ランクを下げた公立高校受験に落ちた娘が許せなかったのかもしれない。だとしても、自分の思うレールから逸れた娘と6年も口を利かないというのは、ほぼネグレクトではないか。父の敷いたレールの上にはいないが、今の彼女には「スポーツクラブで働きたい」という目標があるのに。

 ロケ翌日、不器用な父はチュッパチャップスを手渡しながら娘に話しかけたそうだ。番組の力を借り、父に歩み寄ろうとした娘の考えは成功した。修復困難な人間関係の仲違いに外部の風を吹き込むと、功を奏して新展開が訪れることはよくある。グレずに明るく、お父さんを好きなままでいる娘さんが救いだった。

寺西ジャジューカ(芸能・テレビウォッチャー)

1978年生まれ。得意分野は、芸能、音楽、格闘技、(昔の)プロレス系。『証言UWF』(宝島社)に執筆。

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最終更新:2021/02/24 21:00
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