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『チコちゃんに叱られる!』官公庁の縦割り行政を暗に批判!? ことごとく対照的な文科省VS農水省

『ケンミンSHOW』みたいなことをやり始めるチコちゃん

 この日2つ目のテーマの回答者を決めるべく、チコちゃんはスタジオの3人に「この中で一番、和食が好きそうなステキな大人ってだーれ?」と問いかけた。結果、選ばれたのは小島だ。彼の前にごはん、味噌汁、おかず(焼き魚)が運ばれてきた。これをどうやって並べるか、ちょっとしたテストが行われたのだ。すると、小島は手前の左側にごはん、手前右側に味噌汁、そして奥に焼き魚を配置した。どうやら、これはマナー的に正解らしい。

 ここで、チコちゃんから「なんで自分から見てごはんを左、味噌汁を右に置くの?」という問題が小島に出題された。はて、なぜなんだろう。ごはんのお茶碗を左手で持ち、おかずをワンバウンドさせるため? チコちゃんが発表した答えは「太陽が東から昇るから」だった。

 ごはんが左側にあるのは、味噌汁より偉いからだそう。日本には昔から「左のほうが偉い」という左上位の思想が存在した。例えば、着物の襟は自分から見て右を下、左を上にして着る。左上位の考え方ゆえだ。舞台では、ステージに立つ自分から見て左を上手、右を下手と呼ぶ。左が上で右が下と、明らかに左を重視しているからだ。でも、だとしたら「右に出る者はいない」という言葉はどうなる? あと、商売が上手くいかず貧しくなることを「左前」と言うし……。

 とにかく、話を進めよう。この左上位の思想は中国からやって来たものだ。日本が平安時代の頃、中国の思想書『申鑒(しんかん)』には天子南面(てんしなんめん)、つまり皇帝は南向きで座って天下を収めると記されているのだ。それが日本に伝わり、明治時代の初めまで天皇のお住いであった京都御所でも、天皇は南向きに座っていた。南に向かって座る皇帝から見て太陽は東、つまり左から登り、西(右)に沈むのだ。太陽が昇る東は沈む西よりも尊重され、左が右より上位という考えが生まれたとされている。

 興味深い逸話だ。でも、だとしたら「左遷」という言葉はどうなる? 辞書にはこう書いてある。「《昔、中国で、右を尊び左を卑しんだところから》低い地位・官職におとすこと。左降。『閑職に左遷される』」。つまり、中国では右が偉いか、左が偉いかは時代によって変わるのだ。

 さて、ここからはごはんが左の偉いほうへ置かれるようになった理由について。日本に現存する最古の歴史書『日本書紀(にほんしょき)』によると、天皇の祖先とされているニニギノミコトが地上に降りる際、「天上で育てた神聖な田んぼの稲穂をわが子孫に授けましょう」と伝えたらしい。つまり、米は神からの恵みの象徴だったと言える。神話にもあるように日本では稲作が中心となり、お米は主食として生活していく上で欠かせない命の糧となった。稲の語源は生命(いのち)の根→いのちね→いのね→いね→稲から来ているという説もあるほど、お米は日本人の生活と切っても切れない関係なのだ。日本人にとって特別な存在だったごはんは、太陽が東から昇ることにより生まれた左上位の思想によって左に置かれるようになった。

 しかし、関西地方や九州地方の一部では味噌汁を右手前ではなく左奥に置く人が多いそう。そこで、番組は大阪市の老舗定食屋堂で調査を開始する。すると、確かに味噌汁は右手前ではなく左奥に置いて出されていたのだ。そこでお店に協力してもらい、今度は味噌汁を右手前に置いて出してもらうことに。すると、わざわざ味噌汁を左奥に移動させるお客さんが続出! やはり、大阪では味噌汁を左奥に置くのが定番のようだ。なぜなのか? お客さんに直接聞いてみた。

――味噌汁を左奥に置いてましたよね。なんでですか?
お客さん 「味噌汁が右手前にあると手に当たって邪魔だから。箸を持った右手を切ったときに当たるじゃないですか。こぼしそう!」

全国的にはごはんは左、味噌汁は右に置くのが一般的だ。でも、合理性を考えたら確かに関西風も一理ある。図にすると、以下のような配置だ。

【味噌汁】
      【おかず】
【ごはん】

 全国式だと、味噌汁をわざわざ越えておかずを摘まむ必要がある。それが作法だと全国区で継承されてきたが、関西のみ合理性を優先して上記のような配置になったのだ。確か、2018年1月4日放送『秘密のケンミンSHOW』(日本テレビ系)でも、味噌汁のポジション問題は取り上げられていたもんな……。ちなみに、岡村と四国出身の高畑は味噌汁を左奥に置く配置が心地いいらしい。両者ともに関西出身の人である。

 そもそも、全国式は昔からの慣習を続けているに過ぎない。その配置を正解とする根拠が脆弱だ。それに囚われず、ガラパゴス化していった大阪の合理性はらしさ満点。それはそれで筆者は尊重したい。そういえば、大阪ではエスカレーターで並ぶ側も東京とは逆である。なぜなのだろうか? 色々と興味深い。

寺西ジャジューカ(芸能・テレビウォッチャー)

1978年生まれ。得意分野は、芸能、音楽、格闘技、(昔の)プロレス系。『証言UWF』(宝島社)に執筆。

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最終更新:2021/03/26 15:00
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