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『青天を衝け』の竹中直人好演で注目を集める徳川斉昭と違い、外国人に寛容だった家康の功績

文=本田路晴(ほんだ・みちはる)

『青天を衝け』の竹中直人好演で注目を集める徳川斉昭と違い、外国人に寛容だった家康の画像1
NHK『青天を衝け』ウェブサイトより

 今年のNHK大河ドラマ『青天を衝け』の主人公は、日本資本主義の父、渋沢栄一だ。

 だが、ドラマの中で意外な存在感を示しているのは、栄一を演じる吉沢亮ではなく、竹中直人が怪演する“烈公”、第九代水戸藩主・徳川斉昭(なりあき)。栄一が後に仕えることになる江戸幕府最後の将軍(第十五代)、徳川慶喜(よしのぶ)の父でもある斉昭は、幕末に幕府の海防参与、軍制改革参与を務め、尊王攘夷派のアイコンと崇められた人物だ。

 ドラマ中でも竹中演じる斉昭は「異人など皆殺しにしてくれるわ」、「ハリス(初代米総領事)は首を刎ねて当然然り」など終始過激な発言で周囲を翻弄する。あまり歴史を知らない視聴者が見たら、“斉昭は危ない殿様”という強烈な印象だけが植えつけられるだろう。

 徳川幕府といえば「鎖国」とすぐに連想してしまうぐらい、私たちは中高の歴史の授業でたたき込まれた。教科書で習う鎖国の形は、三代将軍・徳川家光時代の1639年に、キリスト教を広めようとしたポルトガルと断交した時点で完成した、とされる。ただし完全に国の門扉を閉ざしていた訳ではなく、オランダ人は長崎の出島に住まわせ、中国人も長崎に居住地域を限定し、幕府管理のもと細々とした交易が行われていた。

 徳川幕府はキリスト教が持ち込まれることを恐れ、交易のあったポルトガルやスペインを鎖国して締め出したが、少なくとも初代将軍、徳川家康の頃は彼らとの交流や交易そのものを否定していた訳ではなかったようだ。

外国人との接点もあった家康

 実際、外国人嫌いの斉昭と違い、史実からも徳川家康と外国人との交流は確認できる。

 その中でも有名なのは三浦按針(あんじん。本名はウィリアム・アダムス)。オランダ船に乗った英国人航海士のアダムスは1600年に漂着した。日本で初めての洋式帆船を作るなどし、家康に重用された。

 そして、家康ともう1人の西洋人との交流が、3月7日の読売新聞日曜版で藤原善晴記者によって紹介された。当時はスペイン領だったフィリピン総督を務めたドン・ロドリゴ・デ・ベビーロ・イ・ベラスコ(ロドリゴ)だ。

 総督の任を無事に終えロドリゴは1609年9月、スペイン船サン・フランシスコ号に乗り故郷のメキシコ(当時はスペイン領)に向かっていた。千葉県房総半島の御宿町・岩和田地区の田尻海岸沖で台風に遭遇し、船が座礁沈没したが、海女を中心とした村人たちの懸命な救助で乗組員373人のうち、317人が救出された。

 海女たちは溺れかけた自分たちよりも大きな体の男を救い上げ、海岸に引き上げ、衣服を脱ぎ、自分たちの肌で凍えた乗組員たちを温め蘇生させた。ロドリゴはその姿にキリストを抱く聖母マリアを連想したと後に回想している。

 治世は二代将軍秀忠だったものの、家康もまだ健在だった。その家康とロドリゴとの間には1607年、マニラで起きた日本人による暴動をきっかけに接点が生まれていた。暴動は総督府により鎮圧され、約200人の日本人が投獄された。マニラの高等法院は200人を処刑するという案を検討していたが、総督に着任して間もないロドリゴは国外追放が妥当であるとし、彼らに船を与え日本に帰した。家康からは「処置に感謝する」との書簡と共に、“海難の際は日本に船を避難させても良い”という朱印状も添えられていたという。

 日本の海岸に漂着した時、ロドリゴの頭に、「家康がこのことを覚えているのなら、必ず自分たちの帰国にも尽力してくれる」という淡い期待があったのかもしれない。

 一方で多くの乗組員の脳裏には秀吉時代の1596年のサン・フェリペ号事件が焼き付いていた。同じくスペイン船でマニラからメキシコへ向かっていた同船は嵐に遭い四国の土佐の海岸に漂着した。積荷はすべて没収され、乗組員は処刑を恐れた。そして航海長は秀吉の使者に「日本と違ってスペインは広大な領土を有する強国だ。スペインは布教とともに領土拡大を行っている」と述べた。一行は翌年フィリピンに帰ることができたが、これをきっかけに秀吉は宣教師の活動に警戒感を強め、京都に住む宣教師や日本人キリシタン(20人)ら計26人が1597年に処刑された。

 乗組員たちのそうした懸念も、様々な僥倖が重なり払拭されていく。ロドリゴたちが流れ着いた浜が徳川家康の四天王の1人、本多忠勝(ただかつ)の次男、忠朝(ただとも)の治める上総大多喜藩の領内だったこともあろう。

 忠朝は漂着したロドリゴ一行らに理解ある措置をとり、乗組員たちを岩和田村の大宮寺に滞在させ食料や衣料を与え、ロドリゴを大多喜城に招いたりしてもてなした。念のため、幕府の意向も確認したが、返答は「ロドリゴ一行を斬ることはまかりならぬ」だった。忠朝のはからいで、ロドリゴは江戸の徳川秀忠、駿府の徳川家康に謁見する。そして翌1610年、ロドリゴ一行は家康から貸し与えられた船(三浦按針が建造した洋式帆船)で無事、メキシコに帰還した。

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